表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
事件  作者: 竹仲法順
91/230

第91話

     91

 その日、初仕事を終え、午後五時には刑事課を出て、署外へと歩き出す。疲れていた。だが一晩眠れば、また体力が回復する。思っていた。刑事でも、俺は働き詰めの部類だと。一日課内で仕事をするにしても、きついのだ。夜は休養に充てる。

 新宿駅から地下鉄を乗り継ぎ、自宅に帰ってから、上下ともスーツを脱ぐ。そして部屋着に着替えた。幾分気を抜き、ゆっくりする。自炊して食事を済ませ、入浴してから、眠る前に缶ビールをきっちり一缶飲む。そのままベッドに入り、眠った。

 一夜明け、また今日も仕事だ。通常通り出勤する。コーヒー一杯で朝を済ませ、スーツに着替えてから、コートを一枚羽織った。そして最寄りの地下鉄の駅へと歩き出す。新宿は都心で、人口密集地帯だ。思う。危ない街の治安を守るデカは大変だと。

 その日も刑事課内で内勤だった。パソコンに向かい、仕事する。隣のデスクに吉倉がいて、

「井島、二件の殺しのヤマはどうなったんだろうな?」

 と言ってきた。

「ああ、俺も気になってる。……本庁のデカさんたちはまだ例の島にいるのかな?」

「多分ね。だけど、マル被が見つからないとなると、撤収するだろうな」

 相方がタバコを銜え込み、先端に火を点けて燻らす。時折コーヒーを飲みながら、タバコを吹かしていた。ある程度名の知れた銘柄のタバコを吸っている。安物は吸わないんだな。そう思っていた。

 課内は慌ただしい。ゆっくりする間もなく、仕事に追われていた。窓口業務は休みなのだが、二十四時間電話が繋がるから、婦警などが電話応対している。

 九竜興業関係者がまた街で暗躍しているだろう。とにかく警察は極度に警戒していた。特に歌舞伎町は年始とあって、悪い連中がやりたい放題だ。暇はない。またパトロールなどをする必要性があった。所轄のデカは何でも屋で、引き受ける仕事も多数ある。気を引き締めていた。今年も去年と同等か、それにも増して忙しくなるだろうなと思いながら……。(以下次号)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ