↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
2/2

番外編 王子、大暴走! ――ミヤを誰にも取られたくない!?――

 その日の朝。

 公爵家の玄関に――。

ドォォォン!!

 ものすごい音が響いた。

「きゃっ!?」

 厨房にいたミヤが飛び上がる。

『な、何事!?』

『敵襲!?』

『また五百年前の事件!?』

 食器たちが一斉に騒ぎ出す。

「何ですか!?」

 ミヤが玄関へ走っていくと――。

 そこには王子が立っていた。

 しかも、ものすごく険しい顔。

「王子様?」

「ミヤ!」

「はい?」

 王子はミヤの肩を掴む。

「大丈夫か!?」

「え?」

「誰かに何かされていないか!?」

「されてませんけど……」

「本当に?」

「本当です」

 王子はホッとした。

 ところが――。

「では、今日から私もここにいる!」

「……え?」

 公爵様が後ろから現れた。

「何を言っている?」

「決まっているだろう」

 王子が胸を張る。

「ミヤを守るためだ!」

「必要ない」

「なぜだ!」

「私がいる」

「あなた一人では心配だ!」

「……」

 公爵様の眉がピクッと動く。

「私は公爵だ」

「私は王子だ!」

「だから何だ」

「王子のほうがミヤを守れる!」

「意味が分からない」

「私のほうがミヤを大切に――」

「私もだ」

「……」

 空気が凍った。

 ミヤは顔が真っ赤になる。

「二人とも朝から何をしてるんですかーー!!」

王女まで乱入

「お兄様ーー!!」

 そこへ王女が走ってきた。

「何をしていますの!?」

「ミヤを守っている」

「お兄様、またですの!?」

「またとは何だ!」

「ミヤを取られたくないだけでしょう?」

「……」

 王子が黙る。

「図星ですわね」

「違う!」

「絶対そうですわ!」

 王女がミヤの腕を掴む。

「ミヤは私のお姉様ですもの!」

「だから違いますって!」

 さらに――。

「僕もそう思うよ」

 アルトまで現れた。

「アルトさんまで!?」

「ミヤは妹みたいなものだから」

「僕の妹でもある!」

 王子が即座に反応する。

「いや、僕のほうが先だ」

「何の勝負ですか!?」

公爵家、完全崩壊

 その時。

『ミヤー!』

 厨房からスプーンが飛んできた。

『大変よ!』

「どうしました?」

『ドーナツが一個足りないわ!』

「え?」

 全員が固まる。

 王女が目を逸らす。

「……」

 ミヤがじっと見る。

「王女様?」

「違いますわ!」

『口の周りに砂糖がついてるわよ』

「スプーンさん!!」

 王子がため息をつく。

「妹よ……」

「食べたのか?」

「……一個だけですわ」

「一個?」

『三個よ』

「スプーンさん!」

 ミヤは笑いながら厨房へ戻る。

「じゃあ、みんなで食べましょう」

「私はミヤの隣!」

 王子が即座に言う。

「いや、私が隣だ」

 公爵様も譲らない。

「では私はミヤの反対側!」

 アルト。

「私はミヤのお姉様なので向かい側!」

 王女。

「……」

 ミヤは頭を抱えた。

「どうしてドーナツを食べるだけなのに席取り合戦になるんですか!」

 食器たちが大笑いする。

『人気者ね、ミヤ!』

『愛されてるわね!』

「嬉しくないです!」

 結局――。

 ミヤの隣を公爵様。

 反対隣を王子。

 向かいに王女とアルト。

 全員でドーナツを食べることになった。

 王子がドーナツを頬張りながら、ミヤを見る。

「……やっぱり、私はミヤを誰にも取られたくない」

「王子様!?」

 公爵様が静かにドーナツを置く。

「それは私も同じだ」

「公爵様まで!?」

 王女が笑う。

「まあまあ、お二人とも!」

 アルトも笑う。

「ミヤは誰かの所有物じゃないよ」

「アルトさん、正論です!」

 するとアルトが続けた。

「ただし、妹としては僕が――」

「それはもういいです!!」

 屋敷中にミヤの叫び声が響いた。

 今日も公爵家は――

恋愛どころか、家族全員入り乱れの大騒ぎだった。

 そしてテーブルの上では――。

『ドーナツあと二個!』

『足りない!』

『誰が食べたの!?』

 新たな戦争が始まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。