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闇の烏:THE CROW  作者:
便所の世界? 嫌だな
6/22

見張るカラス(3)

首を少し後ろへ巡らせた。頬のあたりの血管が浮き出るほど、俺は怒りを堪えていた……


「よくも、俺の背中から……やったな」

俺は激昂(げっこう)して言った。


……俺の後ろで、奴は息を切らせていた。

歯が数本抜け落ち、体は少し前かがみになり、その手にあるナイフは俺の体に突き刺さったままだ。


奴の顔は血にまみれ、ボロボロになっていた。


「大人の世界をなめるな!!」奴は怒りをあらわにして言った。


そして、両手でナイフを引き抜いた……


……その手は震えており、ナイフから滴り落ちるほど血に染まっていた。


「お、俺は正しい……は、早く行かないと……」

奴は恐怖で手を震わせ、数歩後退しながら言った。


それから身を翻し、走って逃げようとした。

しかし、傷を負っているせいで、素早く動くことができない。


激しい目眩に襲われているかのようにふらつき、痛みを抑えるために肩を押さえながら、ただゆっくりと走っていた。


それを見た瞬間、俺の目は見開かれ、瞳孔(どうこう)収縮(しゅうしゅく)した。


「逃げる!?……俺から!?」

怒りを堪えながら、頬の血管を浮き出させて俺は低く呟いた。


……ガラスの破片の近くにあった俺の手のひらが素早く動き、そのガラスを固く握りしめた。


ガラスは鉄格子の隙間にきつく挟まっていたため、無理やり引っ張り出すと、下の部分だけが砕け散った。


破片を握った俺の手のひらから、血が数滴したたり落ちた。


三角形の形をしたガラスの破片を頭の近くまで掲げ、いつでも投げられるよう構えた……


「逃がすか」俺は怒り狂って低く言った。


――その鋭いガラスを、7メートル先へ逃げる奴へ向けて投げつけた。


時間がゆっくりと流れるようだった。


キィィィィン〜……薄暗い街灯の光の下でガラスは回転し、そのすべての面が眩しくきらめいた。


――ガラスは奴の後頭部に鋭く突き刺さり、空中にわずかに血が舞った。


奴は地面にうつ伏せに倒れ込んだ……


……血がゆっくりと地面を染めていき、奴はピクリとも動かなくなった。



「ハァ……ハァ……ハァ……」


俺は少し視線を落とし、荒い息を吐いた。


目の下には、大量に出血した時のように黒い隈のような影が差していた。


少し体を屈め、傷ついた脇腹を押さえながら、俺はゆっくりと身体を反転させた。


倒れないよう、手がかりを求めて鉄製のゴミ箱の縁を掴んだ。


掴んだゴミ箱の縁に沿って、ゆっくりと手を前に滑らせていく。

血にまみれた俺の手のひらの跡が、鉄の表面に残された。


「こりゃあかんな……」俺の顔面は蒼白(そうはく)で、声は弱々しかった。


血が地面へと滴り落ちる(したたりおちる)


俺は路地裏からゆっくりと歩き出し、大通りを渡ろうとした。


虚ろな目で、俺は少し思考を巡らせた。


(生きものはみな、いずれ死ぬ。問題はそこじゃない。

どう死ぬか……それだけが、俺にとって大事なんだ)


……ビルの上にいるカラスが、まだ俺を監視(かんし)している。

その瞳には、道を渡ろうと歩いている俺の姿が映っていた。


(綺麗な女性を守って死ぬ……か?……悪くないな)


道を渡る一歩ごとに、俺の体から流れ出る血が路面(ろめん)を濡らしていく。


血まみれの俺の手が、ゆっくりと前方へ伸ばされた。


(いや!諦めるな……まだ助かるかもしれない、早く手当てを)


《 道路は中央に白い線がある片側2車線の通りだ。

俺は右側を歩いており、左側へと渡ろうとしていた》


「プーーーッ!!!プーーーッ!!」

俺を撥ねようとするトラックのクラクションの音が響き渡る。


車のライトの光が、ゆっくりと俺の体を照らし出した。

俺は驚いて、すぐにそのトラックの方を振り向いた。


(トラックくん!?)

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