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プロローグ 1


 ――とある世界。

 ――とある場所。

 ――とある時間。

 

 まだ、誰も認知していない。

 まだ、誰も認識していない。

 まだ、誰も把握していない。

 

 そんな誰の為かも定められていない偉業を、成し得た者がいた。


 誰かに頼まれた訳でもなく。

 誰かに願われた訳でもなく。

 誰かに望まれた訳でもなく。

 

 ただ、その者は成し得た。

 

 それがきっと、世界を救うべく事だと信じて。



 「・・・貴様、名は」


 今にも死にそうな息遣いで相手は訊ねた。

 その意味を理解する事が出来ず、その者は応えない。


 「なんだ。 我のような存在には名を教える事もないというわけか?」


 分かっているじゃないかとその者が口にせずとも表情で読み取れた。


 「まったく。 可愛げの欠片もない。 そんな思考でよくも我の場所まで辿り着いたものよ」


 これ以上の会話は無意味だと思ったのか。

 それとも見苦しさのあまり、早急に終わらせようとしたのか。

 その者は(つるぎ)の先を胸に当て、とどめを刺す準備を構えた。


 「・・ハッ。 全く、貴様のような勇ましい者は後にも先にも現れたりしないだろうな・・ならば」

 「!」


 今にも胸に差し込まれそうな(つるぎ)()を掴み、相手は咆哮の叫びの様に声を上げた。


 「我こそは魔王ッ! この世界を支配してすべての頂点へと成る存在ッ!」


 死ぬ前の最後の足掻き。

 相手は全身の身体から血を流しながら今まで1番の魔力を心臓へ集め始めた。


 「覚えておけ勇ましい者よッ! 我がここで死んだとしても必ず復活して見せるぞッ!!」


 100年、1000年。

 ・・いや、もしかしたらそれ以上の年月がかかるかもしれない。

 しかし、ここで終わらせるわけにはいかない。

 ここで終わらせてしまうわけにはいかない。

 その為であれば、何度だって・・・。


 「―― ■■■■ ――」


 相手が何かを口にしたと同時に、相手は黒い粒子となって消えていった。

 一体相手が何をしようとしたのか分からない。

 相手は何を願っていたのかは分からない。

 それでも、その者はやり遂げた。


 まだ誰も知る由もない、大きな大きな偉業を。

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