第2話 骸の山
オークは笑いながら、射撃を楽しんでいた。
その上空では、OKBが静かに様子をうかがっている。
やがて、オークのミニガンの残弾が尽きた。
OKBが合図を送る。
「今です、マスターッ!」
オリバーは即座に腕を向け、刃を射出した。
刃は一直線に飛び、オークの脳天を貫いた。
オリバーはその死体から銃火器を回収し、友の亡骸を担いで前線基地へと戻る。
基地には負傷兵があふれていた。
腕や脚を失った兵も多く、慌ただしく治療が行われている。
友の亡骸は、ひとまず医療班に預けた。
――だが、休む暇はなかった。
「槍だ! 空から槍が降ってくるぞ!」
次の瞬間、上空から無数の槍が降り注いだ。
それは兵士たちを次々と貫き、
オリバーのいた建物の屋根すら突き破った。
オリバーはOKBに問いかける。
「敵は何体いる?」
「山からの攻撃です。敵は五十体――マスターッ!」
オリバーは即座に森へ飛び込んだ。
走り、跳び、山へと駆け上がる。
地面を砕くように着地すると、目の前のゴブリン二体を一閃で両断した。
山の森は伐採され、代わりに地面には無数の槍が突き刺さっている。
そこには骨や胴体、頭部までもが飾られていた。
――まるで、トロフィーのように。
「……人の命を、何だと思っている」
オークとゴブリンの群れが迫る。
オリバーの内側から、怒りが湧き上がる。
それは、沸騰する水のように。
やがて、言葉となって漏れた。
「……殺すべきだ……すべての魔物を……」
「この世の――すべてを!」
オリバーは突撃した。
迫る魔物を次々と切り伏せる。
槍で動きを止めようとする敵もいたが、
オリバーはそれを掴み、逆に投げつける。
槍はオーク五体をまとめて貫いた。
その場に、彼を止められる者はいなかった。
闘牛のように突き進み、
出会う者すべてを斬り伏せていく。
――そして。
山頂付近。
槍に埋め尽くされた地に、一体のゴブリンが座っていた。
あぐらをかき、槍を手にしている。
その槍には――誰かが縛られていた。
OKBが視界を拡大する。
「……女性です」
「――ッ!! あの野郎、人質を取っています!」
オリバーはゆっくりと、ゴブリンの長へと歩み寄る。
ゴブリンは、血に染まったオリバーの鎧を見つめていた。
その鎧には、わずかな傷跡しかない。
(この槍で、傷つけられるか……?)
「ヨ、ヨロイのデカブツ……新しいオモチャだ」
ゴブリンは嗤った。
「ギャハハハハハッ!」
乾いた声が響く。
ゴブリンの長は、縛られた女の耳元で囁き、恐怖を煽る。
女はぼろ布で体を覆い、槍に縛り付けられていた。
必死にもがくが、逃れることはできない。
全身は鉄の鎖で巻かれ、
顔には黒い袋――さらに猿轡までされている。
「――ムッ!!」
そして――
オリバーとゴブリンの長の決闘が、今まさに始まろうとしていた。




