71.帰国⑥
【人物】
藤原夏良 主人公 33歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家。良岑安世の名をもらう。妻は雪子、桜、京子。子は長松、宗貞、豊晨姫、宮目姫。
818年 弘仁9年10月
翌年に渤海使派遣を決定したと大明民さん経由で藤原夏良に伝言があった。
日本でも飢饉に苦慮していたが、渤海も同じく食料難、特に蝗害に苦しんでいた。
そこで、米を輸出して大明民さんのお兄さんを助けることにした。
819年 弘仁10年11月20日
渤海国から渤海使一団、李承英が特産物を献上した。
820年 弘仁11年1月
渤海使が帰国するまで、毎晩のように渤海使との宴が行われた。
藤原夏良は敦賀から護衛と共にで福良津まで船で運んだ。
李氏からは「なぜこんなに無償で米を送ってくれるのだ?」と不思議がられた。
「渤海でお世話になった礼ですと、お伝えください。そして、家族全員元気で過ごしている。ともお伝え願います」藤原夏良は握手しながら答えた。
「かしこまりました。必ず大仁秀国王に伝えます」
深々と礼をする渤海使李承英。
荷物を運び込みながら李氏に藤原夏良が話しかけた。
「今回渤海に帰られる方々と一緒に、私の部下を二人お連れいただけますですしょうか。貿易の礎を築きたいと考えております」二人の従者を紹介した。
「それは、個人的な依頼という事でしょうか」
「はい。今上天皇には許可を得ていますが、商団は個人的なものです」
「かしこまりました。日本との交易は我が国とのつながりの長い出羽国とが多いですが、中央都市との結びつきも歓迎いたします。」
「あと、鉄製品の技術を教えられる人物を日本にお送り願えないでしょうか」
「難しいと思いますが、進言してみます」
いよいよ 福良津から渤海へ帰国する。
二人の二口職員が渤海で諜報兼商売を行う。
今回の米とは別に日本酒を持ち込んだが、アルコール度数はまだ高くないため、寒い国で人気が出るかは未知数である。
渤海へ行く二口の二人には大明民さんの事は説明していない。
彼らの安全の為にも知らない方が良いのである。
高橋彦兵衛の妻として貿易に関与していて、渤海と渤海の言葉に詳しい程度の事である。
日本から離れて行く渤海船。
再度来る時にはどんな情報が入り、交易ができるのだろうか。
今回二人で行ったが、落ち着けば交代で日本と渤海を行き来する予定である。
数日かかって平安京に戻ってきた。
家に帰る前に「晨」に寄った。
大明民さんが商店を切り盛りしている。
「いらっしゃい」笑顔で藤原夏良に声をかけた。
渤海へ行った二人の事を説明し、米も大量に送った事も付け加えた。
安心した顔となる大明民氏。日本にいてもやはり渤海の事は心配のようだ。
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