67.帰国②
【人物】
藤原夏良 主人公 31歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家。良岑安世の名をもらう。妻は雪子、桜、京子。子は長松、宗貞、豊晨姫。
817年 弘仁8年3月
難波港から牛車で平安京へ向かう。
半日の距離であるが、難波港に夕方に着いたので途中で1泊する事になった。
現在の枚方の辺りでの一泊である。
宿泊所に二口の従者が書を持ってきた。
渤海への帰国希望者は10人ほどいるとのことで、一緒に行く人員を2人絞り込んだので、一回会ったほしいという書状であった。
「平安京へ報告後にお寺に向かう旨伝言をお願いする」
同じ宿泊所に止まっている、大明民さんの部屋にお邪魔した。
「こんばんは、遅くにすみません。良岑安世です。今大丈夫ですか?」
扉が開き、大明民さんが「どうぞ」と出迎えてくれた。
「先ほど連絡があり、10人ほどが帰国したいという事と、併せて2人を情報収集のために送るのですが、牧渤海との交易の中心に大明民さんになってほしく、相談しに来たんです」
「大変な仕事ですが、私で役にたつのでしょうか」
「言葉が喋れる事も重要ですが、多少の文章も書けるように覚えていただけますよう、お願いします。不明な点は、誰か適切な人員を付けますので、ご安心ください。手配は彦兵衛に任せるので、何なりと申し上げてください」
「ありがとうございます。その仕事を是非させてください。宜しくお願いします」感謝の合掌をされた。
部屋に戻った藤原夏良は片付けを終えた彦兵衛に大明民さんが貿易の責任者として受け入れてくれた事を説明すると。
「よかった。嬉しいです。日本語の教授は誰が適切でしょうか」
「元大学頭だった紀広浜氏がいいのだが、聞いてみてほしい」
「渤海人の人への理解があるかが問題ですが、確認します」
翌日、平安京へ向かい、嵯峨天皇に渤海王からの書状を渡し、報告をしたのであった。
良岑安世には絹等繊維物を賜る。
彦兵衛は、「高橋」姓と正六位上を賜った。
羽栗馬長 は正五位下に昇格した。
平安京を出る時に藤原夏良が話しかけた。
「高橋殿 おめでとう」
彦兵衛が恥ずかしそうである。
「ありがとうございます」
「羽栗殿もありがとう。渤海との外交は今後羽栗家に頼む事になるが、一つお願いがある。渤海の言葉だけでなく、唐との2国語を覚えるように子供達に伝えてほしい。今後、唐との交易が重要になると思う。文化は唐の方が西からの伝道も含めて重要になってくる。宜しく頼む」
「戻ってきたら、流石に左大臣という感じですね」
「いやはや。一旦帰るが、溜まった書類に目を通さねばいかんので、明日から帰れないかもな」
雪子や桜、京子の怒る姿が目に浮かぶが、日本にいれば安心だろうが、寂しがるだろうな。
家に帰ると三人が飛び込んできた。
「長松たちは?」
「いいのです!」
『仕事に専念できるかな?』
下にスクロールしていくと、広告の下に評価を付ける【☆☆☆☆☆】ボタンがあります。
本文を読んで面白いと思われた方、続きが気になると思われた方は是非とも応援をお願いします。
今後の作品作りのモチベーションにも繋がります!
感想も是非!




