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藤原夏良  作者: m@ho
嵯峨天皇
57/76

54.従二位①

※本筋のみエピソード番号を付けました

【人物】

藤原夏良 主人公 27歳。 10歳の時、高熱から前世の記憶がよびおこされる。 父親は桓武天皇。養父が藤原冬嗣。藤原北家。良岑安世(よしみねのやすよ)の名をもらう。


ニンニク(大蒜、学名: Allium sativum)は、ヒガンバナ科ネギ属の多年草。香りが強く、強壮・スタミナ増進作用があると信じられているため、球根(鱗茎)を香辛料などとして食用にするほか、茎も「ニンニクの芽」(トウ)と呼ばれて野菜として調理される。強烈な風味を持つことから、肉食の習慣がある地域で肉類と併用し、くさみを消す食材、香辛料として普及している。強精効果の為、禅門では敬遠された過去がある。

814年 弘仁5年8月

徳丹城に来ていた。今では岩手県紫波郡あたりである。

陸奥の北、津軽手前である。津軽から奥は山岳民族がいて言葉が通じない他民族が居ると思われていた。

実際、アイヌ系の村が多い狩猟民族地帯であり、友好的な民族と思われ、毛皮などの交易が盛んであった。

藤原夏良は、会いたい人が居た。

阿弖流為である。現在は徳田為三郎と名乗っている。


「徳田さん、お久しぶりです」違和感のある名である。

「内大臣おめでとうございます」

「ありがとうございます。情報早いですね」

「半蔵さんから聞きました」

「あ、晟と貿易しているんですね」

「はい。野菜中心ですが、お世話になっています」

「今日来たのは、栽培するものの情報です」

「何でしょう」期待した顔の徳田氏。

「いやね。これを植えたらどうかと思いましてね」根を渡した。

「これは?」不思議なものを見る目である。

「にんにくです。滋養強壮に良いにですよ」

「にんにくですか。いつ頃植えるので?」

「根を分けて薄皮にしたものを秋に植えて、冬を越して春に収穫です。根が増えていく感じですね。」

北国が栽培に適した植物である。

「栽培してみます。ありがとうございます」

生き生きとした阿弖流爲を見て安心した。


814年 弘仁5年9月

豊作により、陸奥国は大盛況である。

坂上鷹養指示のもと、各国からの研修生と一緒に鈴星が氷雪庫を造っていた。

豊作のため、三班に分かれ、前回より下流に設置する。昨年の様子で設置場所を決めていた。


「どのくらい設置できましたか?」現地に視察に来ていた藤原夏良は坂上鷹養に確認した。

「十万束の氷雪庫が三カ所です。昨年は最下層を廃棄しないといけなかったので、板をすのこ状にして水が捌けるように工夫しました。」三十万束は現在の900トンである。

「高床式氷雪庫ですね」

「そこまで高くないですけどね。積雪が楽しみです。」研修生も聞いていて、同じように雪が楽しみのようである。

「鈴星さん、お久しぶりです。」稲束の積上げ方を教えていた鈴星に挨拶するが、周辺の研修生が不思議そうな顔をしている。

「今は実恵(じつえ)という名で教えています」と鈴星が答えると、

「すみません、そうでした。実恵和尚でしたね。すみません」謝る藤原夏良。

「いやいや、しかし、これだけの作物を夏まで保管できるとは驚きでいっぱいです」

「これだけの量になるので、獣もそうですが盗賊にも注意してください」

「大丈夫です。雪が降るまで交代で番をします。それも訓練の一つなので、研修生も楽しみにしています」頷く研修生。

814年 弘仁5年10月大雪が降り、氷雪庫の効果が発揮できる予定で、雪を固める作業に専念した。

『弘仁五年十月丁未、大雪』(日本後紀12巻)


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