エピソード 12 俺たちの大冒険はここからだ 〜ご愛読、お続けください〜
《デフェテリ マジキアス 本部》
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本部のみんなが焦りを見せている
当たり前だ、頼みの綱の一つとも呼べる魔導士を俺なんかを助けるために失ったようなモノなんだから
.....なんだよあれ
俺の華麗な修行編じゃなかったのかよ
あのストーカー女、何者だ?
そこへシュッサが声をかけてきた
「アガタくん...その、修行と観光を兼ねてあの地に招いたのに、その...ごめんなさいっ!! 僕が役立たずにも何もしなかったばかりに」
「シュッサ、あんたが落ち込んでるなんてらしくないじゃない、そもそもアタシが連れ込んだも同然じゃないのよ、あのガルガガスの軍勢にあたしのSM技をかけられなかったのが残念って思ってるアタシを見習いなさいよ!」
「二人とも」
マッショがらしくもなくシリアスなトーンで語りかけてきた
「....俺がお前らの看病をしながらも二人を回復させるのに手間取った挙句、アガタが入り込んだ洞穴に何者かが忍び込んで精神を乗っ取ろうとしていたのを止められなかったのはかなしいことだ、結界を解き放たなければならないほどの魔法をベルダ様が使わなければならない事態になり、その邪悪を止められなかったのはオレ自身の問題だ、オレだけが責められるべきなんだ。」
「...何よ、あのムカデに食われかけてピンチになったのはアタシとこいつのヘマよ?あんたがそんなにしょげてたららしくないじゃないの」
「だ、だが...」
「残念ながらナハロちゃんのいう通りなんですよ、それにあの後谷が大爆発を遂げて崩壊し、ガルガガスがそれを見つめながら逃げたとあの後谷を見にきたメンバーの諜報機関より告げられましたし、ガルガガス単体で乗り物になりながら逃げているのを見るに、ベルダ様は誘拐されたわけではないようなのが幸いですが生死は...」
「ま、まじか、でも生死不明ならばまだ希望はありそうだ...だがあの谷の人たちには申し訳ねえ...」
「本来は精神を鍛えた挙句アガタ君にはあそこの人たちに交流しもらおうと思ったのに、とんだ展開狂わせの下衆どもですよ」
...オレには勉強と同じく、修行も向かないらしい
ダメだなぁ 変態呼ばわりしていた三人はオレよりも立派な精神と他人への気遣いができるようだ
俺は三人に対する考えを変えるべきなのだろうか?
しかしいかんな 俺は修行もできない、勉強もできない不幸を呼ぶバカとしか言いようがない。
あの女にマーキングされているんだとすれば...俺はこのままいても良いのか?
...いや、そうだ
そうだよ、このままで居なくてもいい 俺にはまだあれがあったじゃないか!
「...三人とも、俺のせいだというべきだろう?この状況を作ったのはさ」
「アガタ!そんなわけがないだろう!お前にはなんの罪もないしお前の強化を終わらせることさえ俺たちは何も「修行なんか需要じゃねえ」えっ?」
「修行なんかどうだって良い、俺はまだベルダとろくに話もしていないのにいきなりお別れになるくらい力不足の情けない男だったんだよ、俺は野生児程度のバカなんだから無理なモノだったんだ。」
「アガタ君!自暴自棄になったんですか!?」
「ちがうっっっ!!」
「「「!?」」」
「俺にだって、俺にだって考えはあるのさ...いきなり日本に帰ってこれたと思いきや意味深な発言を言われて戸惑った挙句真相が掴めないまま打ち切られて、結局その後の修行も変な存在が現れて中途半端に妨害されたから全てがわからねえ...俺は過去を捨てて得るはずだった力さ得られないし、なにか俺に伝えようとしたメッセージさえ読み取れなかった不完全なポンコツだ」
「...アガタ...」
マッショが細々と心配そうに言うが俺は続ける
「...だがそんなポンコツでもよ、やれることがあると思うんだ」
立て続けに俺はこう言う
「この世界にはまだあの谷みたいに魔法で隠された場所があるかもしれないだろう?それを見つけられるかもしれないぜ?」
「マジかよアガタ...」
「え、まさかそこを探し出したいと?」
「確かにそうかもしれないけどね...あんたそれで何する気よ」
「そこは言わばガルガガスがまだ見つけてさえいない秘境、それも誰かの依頼なんかには絶対に乗らない地とも呼べるんだろう?そこに行けば修行を積まずとも何かしらの力を得ることができる魔術があるかもしれない」
「確かに...そうかもしれないんだが、要点を言ってくれよ、俺たちにはわからねえ!」
「だからまずはよぉ、遺跡や秘境を巡ることから始めないか?!」
「遺跡?秘境? あの谷がアンタに力を与える儀を行えたようとしただけであって見つかってない所の全てがそうだとは限らないわよ、それに、そもそもそこに行ったからって何になるって言うの」
「あの猿を倒した際にくだらないリング、手に入れたろ?」
「!! アガタ君 まさか?」
「そのまさかさ...言わなくてもわかるだろう?」
「「「あのお尻がデカくなるリング、そんなに欲しかったんだ」」」
「ちげー!シリアスな雰囲気をいきなり壊してんじゃねえ!」
「いやぁ、すまんすまん あれがどうしても欲しかったんだろうなって」
「いや、どうなったらそうなるんだよ...」
畜生、せっかくかっこいい雰囲気だったのに台無しじゃねえか
「装備をすれば俺の強化をできるって言ったよな?でもあの力っていうのはとどのつまり、何かしらの場所から奪い取り、それを元に力を得たとするなら?」
「!! そうかっ、元々あの猿もあんな姿じゃなかったって事か?」
「そうさ!あのアーティファクトは敵から奪える物じゃなくて...元々納めれて居た場所や作成者がいたはずなんだ、それを与えたことによって奴らは力を得ているんじゃないか?」
「なるほど!でもってそんなのがさまざまな遺跡などに隠されているとすれば...」
「その通り、異界の侵略者は俺が来る前から頻繁に来てたんだろ?だったらそいつらに対抗するためにアーティファクトを作って隠しておいた可能性があるってわけさ」
「でもそれがアガタくんの強化に繋がると言うわけでは...」
「それでもやるべきだ 何もしない、絶望したままの人生なんて俺には合わねえ、ベルダとだっていつか再開してみせる、そしたら今度はもっとこの世界のこととかを聞いておかねえといけねえからな」
「...そうなると尚更アーティファクト探しに専念した方がいいかもしれないわね、その中には人を尋ねる力を持っている物もあるかもしれないわ」
それを聞いた途端マッショが笑顔になり始めた
「ナハロ、良いこと言うな、その通りだ! みんな、まだ希望を捨てるべきではないかもしれないな、ならば行くか?宝探しによ!」
「待ってください!」
シュッサが止めに入った
「気持ちはわかります、でも少し難点があるじゃないですか、緊急指令や迎撃任務の場合、僕たちが呼ばれたらどうすればいいんでしょうか?」
確かにシュッサの言う通りだ、でも問題ない
「それならその時はそちらに向かえばいい、ベルダが捕まったわけじゃないから焦りなんか見せる必要もないじゃないか
寧ろその時は邪魔者を潰した方が力を得られやすいし、奴らの方からアーティファクトを奪えるかもしれないからな」
「...アガタくん、君 本当は地頭がかなりいいんじゃないでしょうか?」
「いいや、俺が言っているのは 邪魔者殴る! それを奪い取る! 力を得る!の野蛮人ムーブだからな お前ら三人と違って賢しい部分はゼロだ」
「それでも!俺はお前達に頼みたいんだ、元いた世界に帰れないこの状況でも、俺に力を活かす機会があると言うならば!」
....
三人が黙り続けた後、こう言ってきた
「なるほど」
「よくわかったわ」
「仕方ありませんね...」
「さ、三人とも...!」
ああ、これでようやく大冒険活劇の幕開けだな...
「おれらに頼りたいってことは俺たちの美しさを利用してあげたいって訳だよな?」
ん?
「よっしゃぁぁぁぁぁ!!そうと決まれば...お前も服を脱げ!俺と同類になる日が来たんだ!」
そう言うとこいつ、服を全部脱ぎ出した!何してんだこいつ!
\きゃーー!/
\変態よー!!!/
「あんたもアタシらと同じ道を歩む、、、そう言うことだったのね!ならばアタシがいたからSMを!」
「ちげぇ!やめろ!俺は変態じゃないんだけど!」
「大丈夫!僕は違いますよ!」
「シュッサ!お前はわかってくれたんだな!」
だが振り返るとそこにはでかい注射器をもったシュッサが居た
「」
「唖然しなくてもいいんですよ、大丈夫 僕はただこれを注入して力を与えるだけですからぁぁぁぁぁあ」
「や、やめろ、さっきまでのシリアスでかっこいい雰囲気はどこに行ったんだよ マジでやめろ 俺に刺そうとするなそんなもの! やめろーー!来るなー!」
\うわあああああああああああああ/
いよいよ次回より冒険の本格スタートですがやはり三人は変態のようです()




