↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレム男を振るだけの簡単なお仕事。あるいは、彼女を救い出すための手段を考える一回。  作者: あかね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/52

死亡フラグ(×3)をへし折るだけの簡単なお仕事。2

 ユーリクスの出立より遅れること一ヶ月、私は王都を出てレティシアの実家に向かう旅に出ることになった。名目は戻らぬつもりで出てきていないので、荷物の整理をしに、である。他のものに送ってもらえばよいというものではない。いろいろな人への挨拶もしていないと言えばおかしくもないだろう。

 幸い、王家への義理も果たしたあとなので横槍のはいることもない。


 出かける前に一度、ルイーゼ殿下からの呼び出しがあったが短時間だった。王家から私の義理の兄に婚約の打診があること、次期王の即位後、私というより侯爵家の令嬢であるレティシアに騎士団の副団長への就任依頼があることの2点を伝えてくれた。私を取り込めないので、王家からやってくるということだろうか。また、騎士団についても廃止するわけには行かないから橋渡しとして私を置く。

 即時とはいかず、数年の猶予をもって実行される予定であるということで、実質拒否権のなさそうな提案である。それでもかなりの譲歩に見えた。私からすればあまりありがたくない。でもそう返答するものでもないので、伝えておきますとだけ言う。

 これも新規ルートなんだよなと思うと意外な気もした。副団長はともかく、侯爵家に王女様が嫁ぐというのはありそうなのに。

 政略結婚としても今までは対象外ということだったのだろう。関わりを持たなくても王家と敵対しないと思っていたと。今は違うから関与するというのはとてもわかりやすい。


 それからこれは独り言なのだけど、と、ルイーゼ殿下は前置きした。なにか重要情報と身構えるが様子がおかしい。殿下が頬を染めておっしゃったのは、結婚したら同居じゃなくて新居で暮らししたいという要望……。さらに婚約したら同居したい、そうでもしないと一緒の時間が取れない、うちの兄がひどすぎると続いた。

 ……お姫様、義兄のこと、すごく好きなんじゃないかな。祖父にも伝えておきますと言えば、がしっと両手を握られて、よろしくと頼まれた。独り言ではなかったのか。

 そのあとハッと気がついたように取り繕われたけど、終始上機嫌だった。そういう表情を作っているのではなく、端々に現れる嬉しさがこぼれている。

 これって義兄のこと、ものすっごい、好きじゃない? という思いを抱えつつ帰宅した。


 で、帰宅後、祖父に伝えると絶句していた。手に持っていた書類がぱらりぱらりと落ちる音がよく聞こえた。同室にいた秘書たちも動きを止める完全時間停止。

 大体の処理を平気でこなす人たちを止めるほどのすごいことらしい。

 しばらくして、そう取り計らおうと言っていたけども。それでも半信半疑といったところだった。殿下が、殿下が? とつぶやいているところに動揺が見えた。

 祖父いわく、女性に好かれそうな要素はない、ということらしい。政略結婚ならありだが、好意をもってというところが信じがたいそうだ。

 私は会ったことないからわからないけど、そんな? と執事に尋ねたら、気まずそうに好まれる方は少数かもしれませんねと言っていた。


 その義理の兄というのは出立前に一度だけ食事をした。とはいっても朝食である。どうも、とお互い少々気まずい挨拶をして、そのままに食事食事が始まり、話を振っても、はいかいいえで答えられるような会話で終了した。いつになく爆速で食べ終わったのは気まずい間を埋めるために口を動かした結果である。いつもは遅くとも朝食の半ばでやってくる祖父が間に合わなかったんだから。

 最後のお茶を飲んでいる時にやってきた祖父はたいへん驚いていたようだった。

 祖父からしてみれば、あの、孫が? ということらしい。自発的に来るなどおかしいって……自宅でしょうに。気を使って帰ってきていないのかと思っていたが、そんなこともなかったんだなということを知れたのが唯一の収獲だ。


 他はなにごともなく、出立の準備が終わり、当日となったわけである。私は準備することもなく、通常通りの日常を送っていた。私、運ばれるだけ。悲しいくらいに役立たず。

 同行してくれるのは従兄殿とキリル、執事と護衛としてさらに3人ほど、私の世話をしてくれるメイド2名である。二頭立ての馬車二つと乗馬用として2頭で収まったのは、地味によろしくとお願いした結果である。なにも言わないでいると倍以上になったらしい……。

 侯爵家の令嬢としてと言っていたけどねぇ。今回は速度が命であるわけで壮麗な馬車で優雅に移動するわけにはいかない。


 本当は直接、砦に乗り付けたいところだ。しかし、ちょいと頼りなしな神が他の者に知られぬように伝えたことだ。察知された段階で間に合わぬように横槍がはいる可能性が捨てきれなかった。

 一度領地に行きその後、砦に向かうというほうが良かろうと判断した。いや、ほんと、ギリギリ間に合わないかもしれないというスケジュールなのですでに胃が痛い。先に何でもやりたいけど、やると危険が増すかもしれないとか。無理ゲーなの?

 この辺の事情はイルクまでは伝えた。悪いけど、キリルの方は信用できない。アルテイシア様への気持ちはまったくないようなんだけど、もしもということがある。家族が人質にとられるとかね。今のところ侯爵家の庇護下においていいるようだけど。余計な難癖をつけられぬためにと周知しているので、表面上は反対意見もない。

 ただ、居心地は悪いだろうなあとは思う。そこは我慢してほしいものだ。公爵家からの支援はゼロなんだから。本気で切り捨てておると遠い目をしたくなった。可愛い娘とかじゃなかったの!?とか、新たなる驚きはあったんだけどね。悪い意味で。

 公爵閣下、イカれておる。あそこまでいくと話し合いという気にもならない。排除一択。適宜速やかにご退場いただくことになるだろう。王家も扱いに困っていそうだし。


 ほんとレティ巻き込まれもいいとこだな。そして、コレに気がつくには婚約破棄が必須とか……。無理ゲーだな。

 ……まあ、婚約破棄でなければいけないという確定が取れただけでよかったと思うことにしよう。そうでないとやってられない。


 レティの不幸はレティのせいではない。しかし、その後の被害というのは、レティが存在したことにより起こることだ。これは切り離さなければいけない。あのヤバい日記帳を確保して、その他メモ類も回収しておかないといけない。

 殿下が生き残って情報の離散ルートに入る前に。


 全く、忙しい。

 なにもかも、黙っていったユーリクスが悪い。一度しかないというのなら、両方取りするに決まってる。今までにないものを見にきたのだから。


「首を洗って待ってらっしゃい」


 大人しく死なせてやるつもりはない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。