アウラ登場
唐突に寝袋の話をされた。
出会った時にねだられて購入してあげた寝袋の事だ。
使い心地も大分良かったようで絶賛した後に謝られた。
あの寝袋を他の人にも広めたくて
商品開発のために提供してしまったと言うのだ。
「あれはもうサマサさんの物でしたから別に構いませんよ」
私がそう言うと話はそれだけじゃなく
他にもこの世界で活用出来そうな物は無いかと聞かれた。
そんな事を急に言い出され戸惑っていると
この世界を少しでも便利にしたいのだと熱望されてしまい
私は諦めて取り合えず冒険中に等価交換様から購入した品々を出した。
ソーラパネル付きの充電も蓄電も出来るポータブル電源は
そもそも電化製品が無いこの世界では無用かとも思ったが
それも含め七輪と練炭などのセット色々
そして草刈り機にアウトドア用品色々と
洗濯板にタライ等々すべて出して見せて
等価交換様の保存スペースをスッキリさせた。
サマサさんはやっぱり驚いていたが
この品々を開発して商品化しても良いだろうかと念を押して来るので
開発できるのならどうぞと許可を出し
商品を売り渡す形で硬貨を沢山貰った。
サマサさんには召喚者だと一番最初にバラしていたが
等価交換様の事は曖昧にしておいたのに
もうここに来た時点で隠しようも無いと
すっかりとオープンにしてしまった事で
サマサさんも遠慮も無くこう言う話をしてきたのだろう。
私としても別にこの世界が発展する事に反対はしていないし
私の生活の邪魔さえされなければ別にどうでも良いと
そんな程度にしか考えていなかったので
サマサさんにここに研究員を連れて来て
浄化槽や水道設備やソーラーパネルの研究をさせて貰えないかと
そんな事を言い出された時はさすがに戸惑った。
「それってここに人が増えて賑やかになるって事だよね。
悪く言うなら煩くなる面倒事が増える空気が汚れるみたいな
この秘境の様な私だけのオアシスにやっと手に入れた安住の地に
ズカズカと知らない人に踏み込まれるのも嫌だし
その人達が良い人ばかりとは限らないでしょう
いらない不安を抱え込む様でやっぱり無理
考えれば考える程無理な話だよそれは」
私は今回の申し入れに対してそうサマサさんにはっきりと力説した。
それにここは元々は精霊の森と呼ばれ
アウラのお気に入りの森だよ
そのアウラに何の承諾も無くこの森の開拓みたいな事
勝手に出来るはずもない。
うん、無理。
どう考えても絶対に無理だ。
そう考えているとサマサさんが折れずに言い出した。
「この森を穢す様な事は絶対にしないと誓う
この場所に連れて来る者たちも厳選し秘密を守らせる。
この場所に規律が必要だと言うなら
それに関してもこちらできちんと対処しよう
少なくともこの森にも君にも迷惑をかける事はしない
だからお願いだこの件は是非に承諾してくれないか」
と、何やら口調と言うか人格まで変わった様に
強く言い募るサマサさんにすっかり圧倒されてしまった。
私はその迫力に負け
「アウラに聞いてみない事には返事は出来ません」
そう言うと
「アウラとは?」と聞き返され
「この森を守る精霊です」と答えていると
アウラが目の前に現れてサマサさんに姿を見せたのだった。
あんなに姿を見せないと見せる気は無いと言っていたアウラが
目の前に突然現れた事で私も少しパニックになってしまった。
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