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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐
第一章 1

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密偵でしたか


「この森が少々賑やかになるのは別段反対は致しません」と

そう言うアウラに私は少し驚いていた。


サマサさんはまだアウラの登場を認められず固まったままだった。


「この森に人が入るのは反対じゃ無いって事?」

私がそう聞き返すと

「でもコオが嫌がる気持ちも分かります」と

予想外の返事が返って来て少し戸惑った。


するとアウラは今度はサマサさんに向かって話し始めた。


「この森に穢れを持ち込むのは許しません

そして無理な伐採はしないと約束するのなら

この場に村を作るのは許可します。

ただしあなたの正体と目的はきちんとコオに説明しなさい

そして約束を違えた時は私の罰が下ると覚悟しなさい」

そう言ってアウラはまた姿を消した。


サマサさんはアウラが消えた事で現実に戻ったのか

アウラの言葉を心に刻み込んでいる様だった。


「コオ殿は本当に大精霊と親交があったのですね」と

改めての様に聞かれ、私は今更何言ってんだと思っていた。


「嘘でもついていると思ってたのですか」と私が聞き返すと

「いえそうではありません、ただ信じられない事はあります」と

まだ信じられずにいる様だった。


しかしアウラとの約束だからとサマサさんは正体を明かし出した。


サマサさんはサーゲイト国の国王直轄の密偵なのだそうだ。


普段は各国を行商して歩き情報を得るのが主な仕事で

今回の仕事は私の聖女としての実力を見極める事と

私の特殊スキルの確定

そして出来れば聖女確保もしくは技術の持ち出しを主として

私との接触を図ってこの森に来たのだそうだ。


そうだよね考えてみたら引退したとはいえ

聖女様に得体のしれない私への師事を頼み込んで

魔物の巣窟と噂されるこの魔界の森へ連れて来るなんて

そう簡単に出来る訳がないよね。


よっぽど大金を積んだとか、かなり親しい人だったとか

そう言う特別な伝手やコネとか何かなければね。


要するにもうそこからして国が関わってたんですね

私は妙に納得していた。


でも心配してたのは嘘じゃないとそこはしっかり強調して

けして誤解はしないで欲しいと言っていたが

私は何となくもしかしたらどこかの密偵かとは思っていたし

私もぶっちゃけ恩を感じ感謝はしていたけれど

そこまで信用して思い入れてはいなかったので

事実を打ち明けられてもそんなにショックを受ける事は無かった。


それにアウラが許したとなれば私が反対する理由も無いので

私の家の近くにはあまり他の人に近寄って欲しくないと伝え

用がある時は私の方から出向く事にして

開拓するのならこの丘以外の所でと条件を出した。


それらは了承されたのだけれど

そうなるとソーラーパネルや浄化槽に水道設備などの

研究と開発が出来ないと言われ

仕方なくもう一軒同じ様な家を別の場所に建てる事になった。


しかしそうなるとまたノームの力を借りる事になるので

それはどうしたら良いのかと思っていると

アウラが姿を見せずに念話をして来た。


「ノームには私からお願いしておきましょう」と


精霊って念話も出来るんだねと私はすっかり驚いていた。


最近のアウラは姿を見せないので

何処に居るのか何をしているのか分からない事が多く

偶に寝室で話したり一緒に寝る程度の接触だったので

少し寂しさと不安を抱えていたが

いつもちゃんと見守ってくれているのだと実感し

私は心がとても温かくなってきて嬉しくなっていた。




読んでくださりありがとうございます。

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