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逃亡聖女は引き籠もりたい  作者: 橘可憐
第一章 1
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魔力を練る


早朝から魔力の循環に精を出していた。


何故だか早くに目が覚めてしまい

やる事が無かったと言うのもあるが

少しでも早く成果を出したかったのが理由だった。


そのせいかかなり循環もスムーズなって来ていて

一人で頑張ってた時が嘘の様だった。


誰かに教えて貰えるってこんなに違うのだと実感していた。


少しでも早く上達したいといつも以上に集中して頑張った。


例え魔物が現れても獣が現れても

他に誰かが居ると言う安心感の様な物が私を集中させてくれていた。


そのお陰かみんなが起き出して来る頃には

もう殆ど合格点を出しても良いくらいには出来る様になっていた。

(と、思う・・・)


朝食は昨夜のスープの残りとパンだった

パンがあまりにも硬いのでスープに浸さないと食べ辛いからだろう。


もっとも硬く無かったらカビてしまって長旅には向かないのだろう

そう思っていたけれど実際はどうか分からない。


そして食後みんなの支度が終わるとレナ先生のスパルタが始まった。


魔力の循環が大分スムーズになったのを報告すると

今日は私の方から魔力を流してみろと

昨日の両手を繋いだポーズで確認され一応合格点を貰えた。


次は魔力を掌に集中させる練習だった。

『ヒール』をイメージして魔力を掌で練る動作のための

前段階の練習らしい。


魔力を練るとは魔力を効果に合わせて作り替える様な作業なので

ただ念じれば良いと言うものじゃないらしい。


『ヒール』なら回復効果を魔力に練り込むイメージだとかで

それが出来る様になれば『ヒール』と言う魔法名だけで

効果を発動出来る様になるからと説明され

私は魔力を練るの意味を間違えていた事に気が付いた。


それならば私の結界と浄化は今まで何で簡単に発動していた?


あの無能なアイツが言っていた「聖女なら出来て当然」と言う奴か?


それとも以外にイメージがちゃんとしていたからか?


理由は分からなかったが今まで結界も浄化も出来ていて良かったと

心から胸を撫で下ろしていた。


しかし説明を聞いてみれば「そうだったのか」ですよ。


なので早速掌に魔力を集中させては『ヒール』を念じ

傷が回復するのをイメージしながら

掌の上で魔力を転がす様に練り込む事に集中した。


練習を日々頑張って来ていたせいか

掌に魔力を集中させるのは結構簡単だったが

『ヒール』を上手く練り込めているかは良く分からなかった。


そこの所をレナ先生に尋ねると

私は大きな勘違いをしていた事に気づかされた。


『ヒール』は傷の回復じゃなく体力回復魔法だと言うのだ。


だって元の世界のゲームでは傷を治してたよとは言えず

イメージが違ってる段階でダメじゃんと反省した。


それからは嘘の様に順調に覚えられた。


『ヒール』も『キュア』もその日のうちに合格点を貰え

私はかなり有頂天になっていた。


「私が別の回復魔法の書を持っていれば良かったのだけど」と

レナ先生が残念そうに言う。


等価交換様から魔法の書も買えそうだな

「可能です」そう返事があったが

とは言っても今この状況で購入するのは

等価交換様をばらす様な行為だからマズいよね

なるべく秘密にすると決めたしと考えていた。


するとレナ先生が魔法は使った回数でレベルが上がるから

とにかく『ヒール』と『キュア』を魔力が続く限り掛け続けろと言う。


レベルが上がれば威力も上がり使うのも楽になるからと。


レナ先生、実は私魔力量は無限大なんですとは言えず

言いつけを守りひたすら『ヒール』と『キュア』を交互に掛け続けた。


自分にだけ掛けるのも勿体ないので傍に居たみんなに交互に掛け続け

休憩の時には馬にまで掛けていたら

レナ先生にまだ出来るのかと驚かれてしまった。


そうなんです言えないけれど私魔力量は無限大なんですと

心の中で呟きながらひたすらひたすら掛け続けた。


そうして夕飯を食べていると

「明日の夕方には目的地へ着けると思うけど

別れるのは次の日の朝で良いよね」

とサマサさんに確認された。


私は何となく寂しさを感じてしまったが

それ以上に不便を感じていたので

「ありがとうございました」と答えると

「別れるまでまだ時間があるから」と返事が返って来た。


みんなホントに名残惜しそうにしてくれるのが嬉しかった。


でも私には私の目的も目標もあるからそこは譲れない


「次にもし会う事があったならその時はまた仲良くしてください」

私は思いとは裏腹に社交辞令を口に出していた。


「勿論よぉ」と今にも泣きそうなサマサさん


「まだまだ教えたい事があったのに」と、レナ先生


「俺たちの事も忘れるなよ」とバッツさんにガラフさんにギードさん


まるで今別れるかの様な雰囲気に何故か泣きそうになってしまった。


「ホント気が早いですよ、別れは明後日ですよ」

私はそうは言ったが

何となくこのまま別れた方が良さそうな気がしていた。



読んでくださりありがとうございます。

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