レベルアップ
魔力を練る練習をしながら歩き、魔物と出会えば浄化して
漸く森を抜けるとそこに湿地帯が広がった。
私が思っていた以上に湿地帯だった。
地平線近くまで広がる湿地帯はかなりぬかるんでいて
森の様に枯れた様な木が生えている所もあれば
完全に沼の様になって蓮の花が綺麗に咲いていたり
歩けそうな場所を選んで進むとなると
沼を避けたり戻ったり回ったりと
かなりの距離を歩く事になりそうだった。
それはうっかりにでも歩ける道を踏み外したら
泥に足を取られるどころか底なし沼にでも嵌りそうな雰囲気で
森の時の様に魔力を練る練習しながら歩くのは
当然止めた方が良さそうだとそう思った。
そして私は気を引き締め直して湿地帯へと足を踏み入れた。
少しでも早くここを抜け出さなくては
そう思うが空からは鳥の魔物が襲い掛かり
水の中からは急に鰐が襲い掛かってきたりと
そう簡単には先に進ませてくれなかった。
しかし嬉しい事に鰐は等価交換様がかなりの高額で買い取ってくれた。
森の魔物とは一桁違う３００００円とか５００００円とか
種類や大きさで振り幅はあったが倒す手間は同じなのに
森の魔物を１０匹倒した位の金額を提示してくれたので
無視して進む事は私には出来なかった。
カエルやトンボなんていう小物は手間も無く倒せたが
買取金額もほとんど値段が付かなかったので無視して進み
カバや水牛などと言った集団で生息する魔物は
出会えば倒したがわざわざ道を変えてまでしては倒さなかった。
そうして進み平地の広い場所を見つけたら
時間関係なくその場でその日は休む事に決めていた。
ベッドも布団も購入して最近は災害用なのか
水を使わないドライシャンプーやボディーソープを見つけ
結構快適に過ごす事ができていた。
勿論トイレも災害用を使いゴミや汚物は全て等価交換様が
有料で始末してくれるので何の問題も無かった。
お金があるって本当に便利で心にもゆとりが生まれるね。
それでも必要以上の贅沢は一応自分に禁じている。
ある計画を思いついたからだ。
拠点にソーラー発電を設置したオール電化の家を建てる。
そして浄化槽も水道局真っ青なの作って水道も確保する。
そうしたらもう怖い物なしで引き籠れるよねこの世界でも。
そう考えたら目標金額が軽く億を超えそうだと換算し
今は贅沢を我慢して少しでも高額の魔物退治して
お金を貯める事に全力を注ぐ事にした。
「待ってろよ魔界の森、待ってろよオール電化」
気分を高ぶらせていつもの様に魔力を練る練習を続けていた。
休憩時は向こうから襲い掛かって来る魔物は倒すが
結界の中では時間が許す限り魔力操作の練習して
そして夜はゆっくりぐっすり寝てと
自分のペースで湿地帯を進んで行った。
湿地帯の魔物は比較的高額の魔物が多いお陰で
もうすぐ現金表示額が５００万円に届きそうな勢いだった。
このペースで行ったらこの湿地帯を抜ける頃には
等価交換様の現金表示１千万円も夢じゃない気がしてきた。
そう思うと尚更に先を急ぐ気も無くなって来て
出来るだけ多くの魔物討伐を心がけ始めた。
最近では大分魔力の練り込みも上手くなり
『浄化』の威力も上がったのか
結構スムーズに魔物を浄化出来る様になって来ていて
討伐もかなり楽になっている。
試に水牛の群れで『浄化』を広範囲意識したら
群れのレベルで一度に浄化出来たので
それからは群れを見かけても何も怖く無くなっていた。
湿地帯と言う場所柄かやはり人に会う事は無く
私は多分追われているであろう事実も忘れかけていた。
あの後あの無能な彼がどうなったのかとか
親切にしてくれたシスターは困っていないだろうかとか
あのクソな王様は今頃怒り狂っているかもとか
考える事はたまにはあったけれど、
それでも今更戻って協力する気にもなれないし
召喚された時の怒りはそう簡単には忘れられないし
まったくもって許す気にもなれないのだから
自分で立てた目標に向かって突き進むだけだ。
と、気持ちを引き締め直していると言うのに
「タイムセールが始まりました」と等価交換様が告げる。
無駄遣いはしないと決めているのに
タイムセールなんて覗いたら欲しい物が出来てしまうじゃない
今は欲しい物なんて買わない、必要な物だけって決めてるの
そう思いながらふと気付く
等価交換様もしかしてレベルが上がった？
私はステータスを確認した。
名 前 青葉紅愛（聖女）
レベル ９
スキル 浄化４ 結界３ ヒール１ キュア１
調合 １
固有スキル 魔力量 ∞ 等価交換 ４
やっぱり等価交換様レベルが上がったんですね。
自分のレベルアップより嬉しい事実
この調子で益々頑張りますと
私のテンションはかなり上がったのだった。
読んでくださりありがとうございます。
