拳マン第2部 12話
場面は変わり、先程の爆発音の経緯。その正体は..
そこでは、神田王国とは切り離された空間で、別の死闘が続いていた。
ビュンッビュンッ!ボォン!ボォン!ビュン!
銃声と爆発音が不規則に重なり合い、耳鳴りがするほどの轟音となって響き渡る。
銃弾と爆風が縦横無尽に飛び交い、爆弾の魔物は常に死線の上を走らされる。
爆魔「あっぶな!?」
緑ブラ「粘るねぇ、でも、もうそろそろ一撃は与えたいね!」
余裕を含んだ声の裏には、確かな殺意が込められている。
爆魔「閃光弾!」
暗闇を一時的に塗り潰す、激しい光でブラッドの目を眩ませようとする。
緑ブラ「頭切れるねぇ」
爆魔「爆竹ッ!」
バチバチと周囲が激しい音や煙に包まれる。
緑ブラ「(周囲や音を爆音と煙で掻き消すか..)」
爆魔「『ボンバーストレート』!」
パシッボォンッ!
爆発は抑え込まれ、力の大半が相殺されていた。それも片手で受け止め、爆破も腕が焦げる程度だった。
緑ブラ「それだけは警戒していて良かったよ」
ビュンッ!
カウンターの銃撃が爆弾の魔物の心臓部分を貫く。
爆魔「カハッ..(こいつの一撃は..爆が片腕を犠牲にした泣け無しのボンバー
ストレートとほぼ..同水準だと..)ふぅ...」
緑ブラ「心臓を貫いたつもりだったが..君の弱点は、一体どこなのやら」
爆魔「ぐッ..」
爆破させた腕を機械的な素材で再度、構築しようとする。
緑ブラ「させないよ」
ビュンッ!
正確に片腕を撃ち落とした。形成途中だった構造が崩れ、空中で散る。腕を落とされてしまったら構築は不可能。
爆魔「ガァァァ!?..」
緑ブラ「おぉ、糸みたいに切れたね」
爆魔「...ハハッ」
手元に爆弾を出現させる。その爆弾を自分自身に突き立てる。
緑ブラ「ん?(身投げ?)」
ポォンッ シューン
爆風が一点から弾け、衝撃波となって周囲を薙ぎ払う。そしてその瞬間、爆風による遠くまでノックバックで数十m吹っ飛ぶ。
緑ブラ「時間稼ぎか?」
爆魔「『C4』!」
遠く離れていても、響き渡る声と同時に、起爆の宣告をする。
緑ブラ「ん?」
遅れて、違和感に気付く。ブラッドの周りに小型の爆弾が数十個箇所、仕掛けれていた。
緑ブラ「あ〜なるほどn」
ドガァァァン!
連鎖する爆発が同時に炸裂し、視界も音も衝撃も一気に塗り潰される。中心点に立たされていたブラッドは、逃げる猶予すら与えられなかった。
爆魔「爆竹の時に適当にばら撒いたやつが幸をそうした..これなら」
緑ブラ「微妙」
声が、背後から聞こえる。そう、既に爆弾の魔物の背後に立っていたから。
爆魔「はっ?」
パシッ ドシャッ!
理解が追い付くより、先に身体を掴まれ、地面に叩き付ける。
爆魔「ぁあっ..」
緑ブラ「楽しかったよ」
ビュンッ ビュンビュンビュンビュンビュンビュン!
銃声が連なり、間断なく降り注ぐ。倒れ伏した身体に、容赦なく撃ち込まれる弾丸の嵐。声を出す暇もなく浴びさせられる。
緑ブラ「ふぅ、こんなものかな」
銃口を下げる。先ほどまでの激戦が嘘のように、場は静まり返っている。
緑ブラ「それにしても、かなりの芸当を見せされたよ。花火みたいな美しい爆撃や
豊富な種類の手榴弾..爆竹からの計画的な攻撃...2年間準備しただけ
はあったね...う〜ん、でも2年間の準備した割には、あの程度か..
物足りなかったなぁ」
評価の言葉でありながらも、敬意はない。既に興味は無くしており、また新しい計画を立ていた。
緑ブラ「..さぁ、この肉体は手駒の所へ回すか..本体の方ももうそろそろ出動
しますk」
ガシッ!
不意に、去りかけた後ろ姿を、必死に抱きかかえられる。
緑ブラ「おっとと..まだ生きてたか」
爆魔「れが..」
緑ブラ「うん?」
爆魔「誰が、2年間があの程度だって?」
低く、噛み締めるような言葉。その瞬間、空気そのものが変わり始める。爆弾の魔物の体が火照り始める。
緑ブラ「..なるほど、とっくに魔物すらもやめてたか」
爆弾の魔物は、この2年間、自身の身体をセルフで改造していた。ブラッドと戦闘していた際に放たれた爆弾の数々は「ついで」に創られた代物。言わば寄り道。
本当の主力は..
爆魔「爆自身が、兵器だ!」
爆弾で構成されている彼の身体の99.91%の威力は、『核兵器』に匹敵する。
緑ブラ「予想してなかったなぁ」
ドゴォォォォォォォォン!
視界、空気、地面、すべてが引き裂かれる激しい轟音、この爆発音が正体だった。
◇◇◇◇◇
ドォォォォォォォォン!
松本「...んぁ?」
音によって目覚める。爆発がした先の空気が少しだけ暑い。
辺りを見渡し、状況を確認する。水溜まりに身体を浸していたようだ。長時間、スーツが水を吸って結構重たい..まぁすぐに乾くだろう。
ていうかここ..どこだ?なんでここにいるんやっけ?
松本「あぁ..ゾンビの魔物だっけ?」
視点を下に下げた瞬間、死体が横たわるの見て全て理解できた。あん時、飛ばされたやつか..
松本「けっ、つまんねぇ」
ゲシッ
石を軽く蹴るかのように死体を蹴り飛ばした..にしても、音があんま出ないn
ドォォォォォン!
衝撃波が遅れて空気を叩き割り、視界の端で森が崩れる..また力加減ミスった?
松本「俺..なんで生きたんだろう」
ブラ「本当に、なんで生きてこれているんだろうね、その体で」
独り言だったはずなのに、闇の向こうから即座に返答が来る。まるで最初から聞かれていたかのように。
..てかこいつ..
松本「ッッッ..ぁあ」
心が劈く、この気配..あん時のか。こぶしにしか目が無かったからあんま注目してなかったけど..
ブラ「あの大きな音ですぐに君の位置を特定出来たよ」
こいつ、もしかして...
松本「お前..こぶしより強い?」
ブラ「..さぁ?どうだろうね」
その曖昧な返答は、逃げでも誤魔化しでもなかった。
こいつの佇まいで理解出来る。こんな感情残ってんだな..
松本「お前は..前、中立者って言ってたよな?じゃあ、俺はお前の敵じゃない。
俺に敵対心は向けるな。はよ、どっか行け」
ブラ「敵対心?そんなくだらないものはない」
嘘は言っていない。そう確信してしまう。それが一番厄介だった。
松本「..なら、なんで俺のとこに来た!協力でも求めてんのか?悪ぃけど、俺は
正義と悪を1人で殺す。その為に生かされていんだよ」
ブラ「生かされている?誰に?」
短い問い..けれどその一言は、今まで避け続けてきた思考から躊躇なく、踏み込んでくる。
松本「ッッッ..んなもん知るかよ、俺だって謎なんだから..」
もう、黙っててくれ..これ以上、俺に考えさせんな...
ブラ「それに、君に伝えたい事があるんだ」
松本「...なんだ?どっちでもねぇ奴にはもう言う事なんて」
ブラ「君の言っているその2人の事なんだがね」
シュンッ
まるで空気抵抗を無視したってぐらいの速度でブラッドに近付く。
松本「教えろ」
シュッ
ブラッドも一瞬で俺から距離を取る。間合いを読み取る速度は俺と同等..か、それ以上。
ブラ「っとと..いきなり首根っこを掴もうとするなんて、そっちの方が敵対心を
向けてるじゃないか」
松本「え、確かに肩を掴むぐらいはしようと思ったけど..そんなことは」
それでも自覚は持っている。しようとはしたんやろうなぁ..加減ずっとミスりっぱなしやな、俺。
ブラ「..話は戻して、その2人の事についてだけど」
軽く区切るような声。
俺はこれから地獄を見る事になるかもしれない。でも、俺は今すぐにグガとナーコの現状を知りたい。どんな状態でも、死体でも、俺は喜んで抱きしめる。
松本「...」
ブラ「私が「保管」している」
松本「..保管?」
ブラ「言い方を悪くすればね」
松本「なんで言い方悪くする必要があんだよ」
ブラ「う〜ん、私自身もこーいう言い方の方が筋は通るし..ま、見た方が早い」
ぱんぱんっと手拍子をした瞬間、足音がする。
ブラ「恐らく、君の言っている2人は..この子らかな?」
影が見えてきた。小さい、2人の影だ。
松本「ッッッ!グガ!ナー..コ?」
確かに、それはグガとナーコだった..だったんだ。
目は白目でどこにも焦点は当たっておらず、口からは常に少量の血が吐かれている。グガは右足、ナーコは左足が折れ、それを無理に引き摺り、唸り声を上げている。
意思も感情も見えず、ただ壊れた肉体が命令なく動いているだけの存在。足を引き摺る音が1歩、また1歩と俺へと近付いてくる。
松本「..は?」
理解したくない、理解したら、正気には保てない。
ブラ「2年前、細胞マンと一緒に活動してた時期あってね」
松本「細胞..マン?」
記憶から強制的に引き出てくる。
エレ..エレナの時にいたやつだ。俺が壊れたと明確に思えた日。鮮明に覚えている。
ブラ「その反応的に..やっぱり細胞マンを殉職させたのは君だったのね」
松本「殉..なんて?」
言葉の選び方に違和感を覚える。
ブラ「あれ、なんで殉職と言ったんだっけ?まぁ、いいや。話は戻すけど、最初に
細胞マンの方が私より先にその子らに出会って、細胞マンが誤って致命傷与
えてしまったのだよ。彼のうっかりで死ぬと思うと..この子らが不憫でな
らなかったから、私の血を淹れて、長期的に生かしているね。いや〜、この為に生かしておいて正解だったね」
淡々と話すブラッドは謎のやりきった感を出していた。成し遂げた者特有の、満足に近い表情。それが、俺の神経を逆撫でする。
松本「生かしてる..?まさか、まだ意識は」
ブラ「あ〜、ちょっと言い方悪かったね。厳密には強制的に死からの道を閉ざして
いて、半永続的に夢を見ているようなものだよ。大丈夫、痛覚はもうないか
ら」
こいつの言い分は、生かしているのではない。終わらせないように縛り付けているだけだ。
松本「...ぁあ」
そして今、気付いた、俺の本心に。
無意識に1番最悪な想像をしていた事態が、この状況だったことに。
ブラ「..私はもうそろそろ、立ち去らないといけない。君の相手は全てを終わ
らせた後に来ようとしよう」
松本「待てよ..グガとナーコを元に戻せよ!じゃなきゃ..じゃなきゃ...」
2人が報われねぇよ...
ブラ「その言い分は、私の血を抜くってことになるけど、元は細胞マンに殺された
死体だったのだぞ?」
淡々として情を切り落とすような、冷たい事実。
でも..もう..それでもいいから...
松本「2人を..楽にしてください...」
この発言は親目線で人質をとられている状況とあまり変わらないのかもしれない。
ブラ「..まずは再会を喜べば良いのではないか?あとは殺すのも生かすのも、君
の選択次第だ」
松本「....」
ブラ「それじゃあ、また会えたら会おう」
軽い別れの挨拶。
松本「..ま、待t」
伸ばしかけた声はグガとナーコが遮る。意思も無く、ブラッドが内側から操り糸のように操っているら、
松本「ッッッ!..ど..け」
咄嗟に2人との思い出が溢れ出てしまった。ナーコの笑った顔、グガが俺を受け入れてくれた事、他愛もない話。その全てが俺の脳内に絡みつく。邪念なのに、早く取っ払わないといけないのに..
俺は後ずさりをするしか無かった。
松本「...」
ブラ「..ん?おぉ!嬉しい誤算だ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
スタスタッ スタッ スタスタ
緑ブラ「..まさかまさか..まだこの肉体が生きているとは..本体が出動する
必要性無かったんじゃないか?」
それでも、先程の攻撃には堪えまくったようだ。緑川の面影は無く、人間の原型をやっと留めているぐらい。ただ、右腕の銃は形を保っている。まさしく「ブラッド」そのものの悍ましい化け物だ。
緑ブラ「..見栄えも大事か?事が済んだら、肉体を修復してみようかな..」
崩れかけた頬を抑えながら、考えている。この肉体は手駒でしかない。
緑ブラ「..いやぁ、それにしても、嬉しい誤算がまた1つ..」
神田王国がすぐ目の前だ。本来ならかなり時間を要したはず。先程の爆発が障害物や地形も関係なく、神田王国の近くまでブラッドを飛ばしたからだ。
緑ブラ「命懸けの爆発が、まさか私の都合の良い様に進むなんて、皮肉なことだ」
城門は近い、距離も短い。その一歩一歩が積み重なれば、取り返しのつかない地点へ辿り着く。
緑ブラ「..おや?」
目の前にはエンジェがいた。杖を持ったエンジェが待ち侘びていた。
エン「..よかった、ここに居てて」
緑ブラ「(こいつは確か..あの時の...)私が来る事を予測していたのか?」
エン「爆君はどうしたの」
単刀直入、恐怖よりも先に確認が来る。
緑ブラ「(質問には答えないか)爆弾の魔物か?..この体を見て分かってくれ」
焼け焦げ、とろんとした皮膚が爆弾の魔物との死闘の経緯を物語っている。
エン「..爆君...」
その名を呼ぶ声は小さい。
緑ブラ「..じゃあ、彼と同じところに行かせようかな。そっちの方が君の為にも
なる。そう、きっとそうだろう」
銃口をエンジェに向ける。人間のエンジェ程度なら、当たり所が悪くない限り、即死だろう。
緑ブラ「(せめて痛みは感じせずに殺してやるか..)となると、脳天かな」
慈悲のつもりか、それとも単なる効率重視か。どちらにせよ、引き金に迷いはない。
バァン!
エン「『ペタンッ』」
小さな呟き。だが、
ドパァァァン!
見えない層が幾重にも重なり、空間そのものが沈み込む。銃弾ごと、重力魔法で押し潰す。あのブラッドをひれ伏せている。
緑ブラ「うぉぉ!?(オーラが急激に変わった..?)」
四肢に力を込めても、立ち上がる事が出来ない。関節が軋み、地面が砕けるだけ。見下ろすエンジェは、ただの少女ではなかった。
緑ブラ「つ、強いな..君は、さっきのか?」
エン「爆君..力を貸して...」
なにか、唱えている。魔力の流れが異常だ。周囲の空気が震え、地面の砂粒が浮き上がる。
緑ブラ「ん?(詠唱を唱えている?)それなら、重力魔法は解かれてるはず..)」
エン「全魔力を我が身に..爆ぜろ..爆散せよ」
緑ブラ「(重力魔法は発動したままで、同時に詠唱だと!?これは..まずい、声
すらもが潰れる)っが..」
逃げるという選択肢が、既に消えている。ブラッドの周囲がパチパチと火花を上げ始め、空間そのものが軋み、火花が裂け目のように走る。
爆発はまだ起きていない。だが、既に起こる未来は確定されていた。
エン「..『爆裂魔法:爆炎衝天』!」
ドォォォォン!
音が空を裂く。ただ、横には広がらない。
爆発、爆風は真上にだけ引き伸びる。出来るだけ環境に被害を与えず、ブラッドに一点集中にする技量、神業と呼んでも差し支えない。
エン「..よ、良がっだ..爆君、勝ったよ..」
ポロポロと涙を零し、体を萎縮する。自分のやった事がやっと理解できた。燃やし尽くした緑川だったものの一部がコロコロと転がるだけだ。
そして、体の中に秘められている全魔力を費やしたからか、視界がぼやけ始める。
エン「体が..重い...瞼が重い..」
立とうとする意思だけが、遅れて残る。身体は応えない。そのまま、静かに地面に倒れ込み、眠ってしまう。静寂な終わりだった。
スタ スタ スタ スタ スタ スタ
ブラッドが現れる。事前にここまで移動していたのだろうが、緑川が殺られるのは予想外だった。
ブラ「結局プラマイゼロか..はぁ〜あ...期待してたのに」
エンジェに接近。エンジェは既に寝静まっているから
ブラッドがいる事に気付かない。
ブラ「とは言っても、誤算からここまでの収益が出たから..良しとするか」
指先をエンジェの額に向ける。
ブラ「損傷が激しかったとはいえ、あの肉体を破壊するほどの逸材が現れると
は..」
指先に滴る血液は息を飲めば、エンジェの額に垂れ落ちるだろう。
ブラ「さぁ、君はどれほど私の血に順応出来るのか。もしかしたら神田神壱と同水準
の出来に仕上がるかもしれないな..楽しみだ」
ブラッドの赤黒い雫が、零れ落ちかけた。
タタタタタ
地面を蹴る音が割り込む。一直線、迷いのない踏み込み。
拳「ウラァッ!」
ゲシッ!
ブラッドを蹴り飛ばし、地面を削る。
ブラ「ッッッッ....拳マン」
衝撃を与えられた瞬間、以前より、力が増していると確信した。
拳「お前の都合良い事はぜってぇさせん」
立ち位置は、エンジェとブラッドの間。
ブラ「..これが本来の力か?」
拳「色々と覚悟したんだから当然だボケ」
ブラ「..1人では勝てないぞ?」
拳「..誰がよ」
その言葉は、前提を否定した。
岩魔「『岩:隕』!」
視界が一瞬で暗転するほどの質量。頭上からとてつもなくデカイ岩石が形成される。岩石の上には岩の魔物が居座っていた。
拳「..あいつ俺ごと巻き込もうとしてね?」
俺はすぐに、エンジェを抱っこして離れる。落下は遅いからブラッドも避けそうやな..
ブラ「1人じゃなかった..か」
足を引かなければ、構えも取らない。避けるどころか、受け切る気が満々だ。
いや、何してんの?
ドシャァァァァン!
岩石の衝撃はブラッドを踏み潰す勢いだった。土煙は舞いすぎてしまい、砂嵐だ。
拳「ありゃりゃ..」
こりゃ目が霞みまくりそー。
岩魔「拳マン!」
岩石から降りてきた岩の魔物が俺に寄ってくる。
岩魔「ブラッドはどうなった!?おいどん上にいたから調整分からなくて..」
拳「ぁあ、あいつは下敷きに出来たぞ」
岩魔「ほ、ほんとか!?」
巨大質量が直撃..普通の生物ならまず、生きているはずがない。これは誰もが期待していいレベル..けれど、あいつは...
拳「..それで死んでくれるほどあのバケモンは甘くねぇぞ」
岩魔「(お前がそれ言う立場か)..じゃあ、追撃の準備を..」
拳「いや、岩はこの子を神田王国..あの国へ連れて行け。社さん達が保護してくれ
るはずだ。入口は自分で散策して見つけてくれ」
岩魔「はぁ?何故我が。それにおいどんの攻撃で更なる攻撃の準備をした方が..」
確かに、今が攻め時かもしれない。でも、それよりも大切なのがある。
拳「この子は社さんの大切な子だ。俺は失うものはないけど、社さんはまだまだある
んだ。頼む、約束として..うん、約束として)」
これは命令でもなく俺の願望、言わばわがまま。
岩魔「..わかった、わかったが..ブラッドはどうするのだ?」
拳「俺1人で相手は出来る..けど、10分で戻ってこいよ?」
エンジェを岩の魔物に託す。
岩魔「本当は怖いじゃないか..死ぬなよ。約束だ」
拳「あぁ、お互いに..やくそ..く」
岩の魔物はエンジェを連れて、この場から去る。それと同時に、背負うものも消えていく。
拳「約束..かぁ。守れねぇのに約束なんかすんなボケ」
パチンッと自分の頬を叩く。それは切り替えの合図でもあれば、己の不甲斐なさを叩き直す意味でもある。
拳「..まずは目の前の敵に集中集中っと..」
その瞬間、踏み潰された岩石が宙に浮かび上がる。
ブラ「『分解毒』」
ビュンッ!
岩石が粉々に散る。
ブラ「話は済んだかい?」
何事もなかったかのような声音。
分かってはいたが、無傷ね..
拳「あぁ?まだ聞くことはあるだろ間抜け」
ブラ「ぁぁ、死ぬ覚悟は出来たかな?」
ビュンッ!ビチャ!
高速で発射される血液、軌道は正確だ。
俺は片手で受け切る。
この威力はまるで銃弾..いや、それよりも痛い。でもそんなんなんかより。
拳「かっゆ!」
めっちゃ痒い!
ブラ「ほぉ、片手で..(やはり、異質)」




