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モンスターハウス

 三層目を無事クリアし、四層目で異変が起きた。モンスターがどこにもいないのだ。これは嫌な予感がする。


「藤村さん、リュージョンこれはもしかして……」

「ああ、モンスターハウスだな」

「やっかいですね」

「だが、大量の経験値とアイテムを手にいれるチャンスでもある。俺が部屋に踏み込んだら入り口付近で闘う。イリスはうち漏らしの処理を、リュージョンは回復と支援を頼む。いざという時は俺が殿で逃げる。これでいいか?」

「判ったわ」

「了解」


 鎌系の武器はHPが少なくなっている敵に使うと、確率で即死判定を行う。私は鎌の適正が高いので、かなり高い確率で即死させられる。うち漏らしを処理するのに向いている。最適な判断だと思う。

 モンスターハウスは一部屋に文字通り大量のモンスターが詰まっている。アイテムも大量に配置されており、レアモンスターが発生していることも多いし、敵も強目だ。それらが一斉に襲ってくるとあっという間に連携が崩れてしまいかねない。なるべく逃げ出しやすい入り口付近で一対一で闘うのがベストだ。範囲攻撃があれば一掃することもできるが、まだそんなスキルは誰も持っていない。


 リュージョンが全員にバフをかけたのを合図に藤村さんが部屋に踏み込む。

 案の上かなり強目のモンスターがいた。それを藤村さんが上手くコンボを繋げて倒していく。HPを回復するリュージョンにヘイトが集まる。それを行かせまいと、藤村さんがターゲットを変える。さっきまで藤村さんが攻撃して、HPの減った敵に私がとどめをさす。連携が上手く取れている。

 敵の攻撃の手が緩んだ隙に各々ポーションを飲んでおく。私は要らないのでマナポーションは全部リュージョンにあげた。

 敵の数がどんどん減っていきこれでやっと終わりか、と気が緩みそうになった時、奥からドラゴン系のモンスター、ワイバーンが現れた。初級ダンジョンに出現するモンスターではない。だがモンスターハウスなら、なくはない。


「運がいいのか悪いのか、イリス、リュージョン、ワイバーンのモーションは分かるな?激しく頭を振ったら範囲攻撃だから避けろ、イリスはワイバーンの後方から攻撃を、リュージョンは俺の後ろから支援を」

「判ったわ」

「了解」


 リュージョンが切れかけたバフを掛け直すと、藤村さんはワイバーンのヘイトを貰うために初撃を与える。私は言われた通りワイバーンの後方からコンボを繋ぎつつHPを削っていく。ワイバーンの右脚を重点的に狙う。部位破壊だ。こうすると体当たりなどの移動系の攻撃を防げる。

 しばらくするとワイバーンが激しく首を振った。範囲攻撃のモーションだ。透かさず攻撃が届かない位置に退避する。藤村さんとリュージョンも離れていた。

 ワイバーンのブレスが私達がいた場所を火の海に変えた。リュージョンが藤村さんにバフをかける。私は離れているので貰えない。藤村さんがまた初撃を与える。私が脚を攻撃する。再びワイバーンが首を振る。今度は間に合うかな、と思いながら尻尾を攻撃すると、ワイバーンのブレスがキャンセルされた。そのまま各々攻撃を続行する。

 しばらくするとワイバーンが私を振り返った。まずい、ワイバーンのヘイトが私に移った。私の与ダメージ量が藤村さんの与ダメージ量を上回ったのだ。藤村さんは初期装備だし、私が火力調整するべきだった。 

 ワイバーンは執拗に私を攻撃してくる。私はなんとかディフェンススキルで応戦するが、押されていく。そこへ回り込んで来た藤村さんが私を庇うように立った。藤村さんがそこから咆哮した後、特殊技のコンボを繰り出す。ワイバーンのヘイトが藤村さんに移った。

 私はすかさずワイバーンの後ろに回り込み攻撃し始める。リュージョンが藤村さんを回復しつつ、隙を見て私の回復もしてくれた。やっと私のSPが溜まったので私の特殊技を発動する。しばらくすると、鎌の即死攻撃が発動してワイバーンは光の泡になった。


「あっぶねーさすがに初期装備じゃワイバーンはきついな、でも二人のおかげで助かった。二人共強いな」


 そう言って藤村さんが笑った。私達も床にへたりこんで笑っていた。


 

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