ダンジョンに行きたい!
藤村さんの部屋は二階のリュージョンの部屋の隣に落ち着いた。なぜかリュージョンがどうしても隣がいいと言ったから。リュージョンも同じ年頃の男友達ができて嬉しいのかも。食事の席も隣だし仲良しだね。昨日はあんなに険悪だったのに。あの後仲直りしたのかな。
今日は藤村さんの希望で全員で食材ダンジョンにやって来た。チュートリアルも済まないうちに拉致して来たからね。それにしても私、食材ダンジョン以外のダンジョンに行けてないなぁ……。
ダンジョンに入ると藤村さんが話しかけてきた。
「い、イリスの好きなタイプってどんな人?」
「考えた事もないわ。異性どころか、人と接する機会がなかったから」
「でも、前世の記憶があるんだろ?その人の影響とかないの?」
「私の場合、前世の記憶が曖昧でどんな人物だったのかもよく分からないの」
藤村さんがぴったり私の隣にくっついてくる。それを割るようにリュージョンが間に入ってくる。
ヤキモチ焼いた柴犬みたいでかわいい、と言ったら絶対気を悪くするので言わないけど、かわいい。
「そうか、なら俺にもチャンスはあ」
「イリス様!あそこにひよこが!」
「どこどこ?きゃあかわい~連れて帰りたい!」
「連れて帰りましょう!きっといい卵を産みますよ!」
食材ダンジョンにたまに出現するひよこはモンスターではない。このひよこを大切に育てると卵を産むのだが、たまに金の卵を産むのだ。あれ?藤村さんが何か言ってたかな?
バートとアリシアは光の速さでモンスターをなぎ倒して行き、さっぱり綺麗になったダンジョンを私達はお散歩していた。ボス部屋に辿り着くと、初心者パックがひとつ落ちていた。
藤村さんのチュートリアルなのに申し訳なくなった。
「ごめんなさい。藤村さん、明日は違うダンジョンに行きましょうか?」
「勿論!なら、ふたり」
「俺も行きます!」
パッと笑顔で返事する藤村さんに被せるようにリュージョンが言って来た。
「じゃあ三人で行きましょうか。でも私、お邪魔じゃない?」
その後なぜか二人は無言になった。
今日は王都の近くの初級ダンジョンにやって来た。
私と藤村さんとリュージョンの三人だ。
バートとアリシアも誘ったんだけど食材ダンジョンに行くから、とやっぱり断られた。出掛ける前にアリシアが私の髪をポニーテールに結ってくれた。
「イリスちゃんは女の子なんだから少しはおしゃれしないと」
そう言って可愛らしいリボンを結んでくれた。服はいつものワンピースだけど、嬉しかった。
二人が待つエントランスに行くと、二人共モゴモゴ何か呟いて、目を逸らせた。私の格好変だったかな?
藤村さんは初期装備のままだけど、このダンジョンも強いモンスターは出ないので大丈夫だろう。藤村さんを先頭に私とリュージョンが後方だ。私も先頭がよくない?と話すとリュージョンにダメ出しされた。
「ダメです。イリス様、何かあったらどうするんです。」
「でも私近接タイプだよ」
「今日は藤村の歓迎ダンジョンみたいなものなんですから、あいつに活躍してもらいましょう」
なぜかリュージョンの過保護が加速してるなぁ。藤村さんは襲ってくるモンスターに応戦している。さすが主人公。サクサク倒している。確かに私の出る幕はなさそうだ。それなら、とリュージョンに応援してもらう。
「リュージョン、応援のスキルを持っているなら、私と藤村さんにクールタイムごとにかけてくれないかしら。余裕のある時だけでいいから、勿論リュージョン自身にも」
「わかりました。エール、……エール」
「おお!私のDEFが5上がってる!私達相性いいみたいだね!ありがとう、リュージョン。藤村さんは?」
「俺は何も上がってない」
「そっか、仲良しなのに相性がよくないこともあるんだね」
その後なぜか二人はまた無言になった。




