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「お、梶谷、遅かったじゃん」
僕が生徒会室に入る頃には、もうみんなそろっていた。
「うん、教頭に呼び出し食らっちゃって・・・」
「教頭に?」
「・・・たぶん、僕使って手っ取り早く生徒会活動潰す気だったんじゃないかな?」
「セコ・・・」
江桜がつぶやくのが聞こえた。
「生徒会活動は潰させない」
和倉が言う。
僕らがうなずいた。
「学校は、生徒と先生のバランスを取ってこそ成り立つんだ。それを、先生たちの権限で全て押さえつけるのなんて・・・学校じゃない」
「絶対、潰させない」
「みんなで、頑張ろう」
でも、先生たちは、本気で潰すつもりだった。
生徒会活動なんて、無意味だと。
それは、僕らの意識が高まってきた矢先だった。
「1−4男子、殺傷事件で警察に補導」
そのニュースが飛び込んできたのは、僕が教頭に呼び出されてからたった三日後だった。
「その子は・・・水野聡って言うんだけど、コンビニの近くで、会社員のおじさんをナイフで刺して・・・本人は全面的に否定してるんだけど、誰も信じなくて・・・」
中田の目から涙が零れ落ちる。
それは、生徒会活動がつぶれる、ということに対しての涙じゃなかった。
水野君がかわいそうで泣いているのだ。
僕も、思わず泣きそうになって、ぐっとこらえた。
誰にも信じてもらえない。誰からも見放されてしまったと思うのは、すごく苦しいこと。
その苦しみを、水野君は味わっている。
僕は奥歯をかみ締めた。
「それを口実で、きっと先生たちが生徒会活動を押さえに来るわ」
「でも、水野君は否定してるんでしょ?」
「それでもよ・・・先生たちも、保護者さんさえも、水野君の言うことを一つも信じてないから・・・」
「・・・」
空気が重くなった気がした。
生徒会活動が、とか言う以前の問題だ。
教師が生徒を信じない。
こんなことがあっていいのだろうか?
親が自分の子を信じない。
こんなことがあっていいのだろうか?
・・・こんなこと、あっちゃいけない。
「これが、最後の仕事になるかもしれない」
佐崎が立ち上がる。
「水野君を、僕らの力で助けるんだ」
僕らは、無言で・・・でも、しっかりとうなずいた。




