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外に出ると、女子はもうテントの近くにいる。
僕らがボールを脇に抱えてそばに行くなり、中田がきびきびとした口調で言った。
「入浴場はダイジョウブ。男子のほうも、女子のほうも、入浴時は4、5人で入ることになりそう」
「ボールはこのとおり。汚いけど、洗えばダイジョウブだと思うよ」
佐崎がほこりまみれのボールを見せる。
「・・・洗えばな」
僕は小声で付け足した。
「じゃあ、これからテントなどの班を決めよう」
田口がボールと資料を持ち替え、めがねを押し上げる。
「では、テントの班のことなんだが・・・」
僕は田口の声を聞きながら、佐崎が投げた捨てたボールを拾った。
ざわざわとした草の音が聞こえる。
だが、それは何かの前ぶれのようだった。
「・・・」
狭いテントの中で、僕は目を開けた。
まだ外は暗い。
となりを見ると、佐崎がいびきを掻いて寝ている。田口も顔を伏せていた。
和倉は・・・
僕は和倉が寝そべっていた布団の中に、誰もいないのに気づいた。
昼間から、態度がおかしかった和倉。どこに行った・・・?
僕は靴をはくと、テントを出た。
「和倉?」
僕の声は、風の音にかき消される。
和倉の姿はない。
「和倉、どこだ?」
僕はもう一度呼んだ。
その時だった。
「瀬斗君、危ない!」
「早く逃げろ!」
「え・・・?」
不意に後ろから声がして、僕は立ち止まった。
そして、振り替えるまもなく、顔の横を石が横切った。




