15
「広い広い!」
「わぁ〜」
「ここで寝るんだ!すっごーい!」
週末。
僕たちはキャンプ場に来た。
部活をやっている人たちは、特別許可を得て部活を休んでいる。
つくなり大騒ぎを始めたのは佐崎と如月、それと江桜。
執行部の第3ハイテンションズだ。
「おい、あくまで下見だからな」
「そうよ、生徒会の活動なんだからね」
そういう田口と中田も楽しそうだ。
「テントを張ろう。女子は黄色、男子は水色だ」
冷静な和倉の声がする。
「はーい!」
第3ハイテンションズが元気に手を挙げる。
「当日はこのタイプより大きいものが借りられるそうだよ」
誰も僕の言葉は聞いていない。
楽しそうにテントを組み立て始めている。
・・・まぁ、いっか。
僕もみんなに混じってテントを組み立て始めた。
「痛!」
佐崎が金槌で指を打つ。
これで27回目だ。
どこまで不器用なんだろう。
となりを見ると、和倉がリズミカルに金槌を叩いている。
見事なものだ。和倉は運動神経がすごく良い。サッカー部のエースだ。
「できたー!」
佐崎がいいとこ取りをして、最後の杭を打った。
「バカ!裕介、そこは和倉君がするところでしょ!」
「担が打たないもーん!」
中田と佐崎が無意味な言い合いを始める。
僕はその様子を見ていた。
「瀬斗君さ、ずいぶん慣れたんじゃない?」
気づかぬ間に如月が僕の横に立っていた。
「まぁな」
僕は如月のほうを見ないで答えた。
「裕介君もすごく喜んでるんだよ。瀬斗君が会計になって」
「そうなのか?」
「楽しそうだもん。裕介君、あぁ見えて、幼い頃に親が離婚してるの。
母親と暮らしてるんだけど、父親が誰かも分からないんだって」
「・・・」
僕は何も言えずに如月を見た。
「前はね、無理して楽しんでる感じだったんだけど、瀬斗君が来てから、本当に楽しそうなの」
そういって如月が微笑む。
「私も、瀬斗君でよかったって思うよ。候補に上がってた人、みんなうーんって感じだったんだけどね、瀬斗君ならすっごいぴったりだなって思ったの。だから、すっごくうれしいよ。
みんなも、すっごく楽しそうになったから」
そういって如月は離れたところにいる江桜の横に座った。
僕は少し照れて、鼻の横を掻いた。




