12
その日は、妙に落ち着かなかった。
結局、佐崎君は今日学校に来なかった。
他の人の話だと、どうも他の執行部の連中も来ていないらしい。
自分自身のことも分からない、僕。
何故僕なんだ。
何故そんな僕を執行部に入れたがる?
終礼が終わり、僕はエアーバッグをつかんだ。
「・・・梶谷」
不意に名前を呼ばれた。
振り返ると、そこには学校に来ていないはずの和倉君が立っている。
「ちょっと・・・」
僕は和倉君について歩いた。
着いた場所は、川原だった。
「ありきたりで悪いな」
そういって和倉君は座りながら笑った。
「あ・・・うん・・・」
和倉君は違うクラスだけど、第一印象で怖いイメージがあった。
制服を着崩していて、全く副会長には見えないし、なんとなく話しにくかったから。
僕は和倉君のとなりに座った。
「お前、不登校だったんだろ?」
和倉君の言葉にドキっとする。
僕はうなずいた。
心臓の鼓動が早くなる。
「俺の親友もだったんだ」
「え・・・?」
「すっごい仲良い奴で、こんな俺でも普通に話しかけてくれた」
僕は和倉君の横顔を見た。
「けど、そいつはクラスのリーダーみたいな奴に嫌われてな」
「いじめ・・・」
「あぁ、学校に来なくなった。俺は、何にもしてやれなかったんだ。
悔しくて、つらくて。そいつはすぐ転校しちまって、結局俺は何も出来なかった・・・」
和倉君が川に向かって小石を投げる。
小さな水音とともに、小石は川の中に消えた。
「だから、分かったんだ。お前も悩んでんだなーって」
不思議な感じがした。
誰にも分かってもらえなかった気持ちが、和倉君は分かっている。
「だから、生徒会に入った。その親友の分も、みんなが楽しく生活して欲しい」
和倉君が僕を見た。
「お前にも」
そういって、和倉君が立ち上がった。
僕より、ずいぶん背が高い。
「じゃあ、生徒会室で待ってるな」
そういって和倉君は立ち去った。
僕は一人、夕焼けに染まる川を見ていた。




