とぅえるぶ
実技試験はいろいろあったが、やることは完遂した。
皆仲良くなった子と共に教室に向かう中
ヴィオレットはいたたまれない空気の中にいた。
「えっとー、ノアとラウルは友達?
は、はは。」
ラウルとノアはヴィオレットを挟んでノアはヘラヘラしてるものの、ラウルはムッスリと不貞腐れてた。
「そんなに怒らないでよラウル。
僕も君に追いつきたくて頑張ったんだ。ねぇ主人様?」
この原因は、ノアがラウルと同じ干渉値を叩き出したからだ。
相当頑張ったらしい。
そしてこれまた新事実なのが彼らは、主従関係にあったらしい。
しかしノアの態度はやたらフランクだし、ラウルが従者をつけて学校へやってくるほど高位の貴族には見えない。
失礼だが。
「ラウルってそんなに高位の貴族様なの?
ボク人間の事情には疎くって。」
ノアとラウルを交互に見上げるヴィオレットは恐る恐る尋ねた。
ヴィオレット自体、薄々勘づいていた。
ノアに指摘された直後はピンと来なかったが、後々考えてみると当てはまるところが多すぎる。
「ヴィオちゃんまだわからなかったの?
王子サマ。ラウルが王子様だよ。
僕は幼い頃から一緒にラウルと育った幼馴染兼従者みたいな?」
「ふん。血だけだ。俺は王族の面汚しって言われてる。
だからあんま気にすんな。」
「そっか!ありがとう教えてくれて!
やーボクほんと友達できるか不安だったけど2人と友達になれて嬉しい!」
ヴィオレットはラウルが王族と知って少し驚いたもののそれだけだ。
______父様も言動は穏やかだけど、やってること対して変わんないしね。
なんて失礼なことを考えていた。
「俺はお前の友達にいつなったんだ。」
「え、今日だけど。」
キョトンとした顔で見上げた彼女にノアが吹き出した。
「ふふ、は、はははは!
面白いよほんと!」
ワイワイやってるところに一つの影がさした。
「ちょっと!そこのあなたたち!
わ、私も仲間になってあげていいですわよ!!」
いかにもババーンという効果音のに合いそうな登場でやってきたのは、気品あふれる赤色の髪をしたご令嬢だった。
その後ろにひょこっと顔を出したボブの女の子。
「あちゃー、グレース様。それではダメですってば。」
「な、何がいけないのよ!」
顔を真っ赤にしてボブに向かって怒る。
「お友達になってください。と可愛く微笑むのです!」
「そう、わかったわ!
そ、その、ヴィオレット様!!
お、お友達になってくださいませんこと?」
照れて涙目になったグレースと呼ばれた令嬢。
その可愛らしさと愛くるしさにヴィオレットは即座に抱きついた。
「もちろん!!!ボク女の子の友達初めて!!
ヴィオって呼んで!」
ふにゃっと笑ったヴィオレットにグレースは言葉を失った。
「っ!!!!っか、可愛すぎます。一生大切にしますわ。」
「へへぇよく言われる。」
「ご談笑中失礼しました。
殿下。ノア様。」
「別に談笑などしてない。」
「大丈夫だよ〜。」
ボブの少女が謝ると、ヴィオレットがそちらに目を向けた。
「君は!名前なんていうの?ボク、ヴィオレット!」
「私は、ソフィア・オリオールと申します。ソフィと気軽にお呼びください。」
微笑んで軽く膝をおり、スカートをつまんで挨拶をした。
「ふふ!ソフィもヴィオって呼んでいいよ!」
「それではヴィオ様とお呼びさせていただきます。」
ソフィアは微笑みグレースのそばへ寄って耳打ちをする。
「グレース様。自己紹介を。」
「そ、そうね!」
グレースはソフィに先を越されたことに少し悔しさを覚えつつ
咳払いをして姿勢を正した。
「ヴィオレット様。ラウル殿下。ノア様。
お初にお目にかかります。
グレース・ヴァレリーです。どうか仲良くしていただけると嬉しいですわ。」
ふわりと微笑み、軽くスカートをつまみ膝をおった。
「すごいすごい!ボクもそれやりたい!やっていい?」
「はい!お名前をお聞かせ願いますか?」
グレースははしゃぐヴィオレットを見て笑った。
ヴィオレットは皆の正面へ移動して姿勢を正した。
「グレース様。」
そう言った後にまともな挨拶をしてなかったラウルたちにも!
と思ったヴィオレットは1人ずつの瞳を見た。
「ラウル殿下。ノア様。ソフィア様。
私、ヴィオレット・サターニアと申します。
魔王、ルシファーの一人娘にございます。
どうぞ良しなに。」
にこりと笑ったヴィオレットに、
名を呼ばれた者たちはゾクリと悪寒を感じた。
妙な圧力をヴィオレットの紅い紅い瞳の奥が放った。
圧倒的な力が滲み寄り、
皆に15程の少女の幻影を見せる。
「っ、完璧ですわ!ヴィオ様!」
グレースは即座に意識を取り戻しヴィオレットの元へ駆け寄った。
「すごいすごい!ヴィオちゃん!今一瞬真名?解放したヴィオちゃんが見えたよ!」
「あれ、本当??まずい、バレたらお説教だよ…!」
ヴィオレットは体をぶるりと震わせた。
ラウルは1人、幻影に目を奪われていた。
_______あれは本当に心臓に悪い。
フイと1人、目をそらし黙り込んだ。
「それでは、自己紹介も済んだことですし、早く教室へ戻りましょうか。」
ソフィアが歩み寄り皆を促した。
「うん!!」
ニコニコのヴィオレットと微笑ましい子を見るグレースを先頭に一同教室へ入った。
その後、軽く今後の予定を伝えられ解散となった。
_____一つ4〜7人のグループを考えておくようにという宿題を出されて。