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第二話 化学武器専門学校

あの後、あのおじさんがお店の商品をすべてを買っていった。という事が次の日に判明した。店長は泣きながら私にお礼を述べて、もう閉店するから。と謝礼金を渡してくれた。そして、その日私は職を失ったのである。


 何だろう?この凄く複雑な心境。


 ため息をつきながら家に帰ると、ポストに手紙が届いていた。ビリビリと外の袋を乱暴にあけると内容を読んだ。


 やあ、昨日ぶりだね。光道こうどう琥珀こはくさん。私の名は石橋いしばし幸斗ゆきとと言うんだ。手紙には昨日君をスカウトした、化学武器専門学校の特別クラスへの招待状と、そこまでの地図を同封する。寮生活の手配やその他諸々は私の方で何とかしておいた。         PS校長より


 彼奴校長だったのか!?


ある意味一番の衝撃だった。


 私としても職が無くなってしまったし、特別クラスと書いてあったから恐らく奨学金が出るだろう。それに私の名前を調べ上げているみたいだし、私の個人情報は暴露されたも同然だ。


死ねばいいのにあのおじさん。


 そんな恨みを抱きながらも、私は渋々と少ない荷物を詰めた。今日は普通に寝て明日出発することにした。明後日が学校の始業式という事もあり、これからの私は寮生活になるみたいだし、早めに到着しておきたい。


 次の日、私のサイズにピッタリな制服が届いた。その送られてきた服に苛々しながらも、着替えた。あのおじさんが送ってきた制服のデザインは、意外にも可愛かった。白い襟に真っ黒なベストにスカートリボンはピンク色で靴下は黒いニーハイ。靴下の長さまで決まってるのか、と驚いたけどこれだけ良いデザインなら別に気にならなかった。


さてと、地図の通りに歩いていくと、目的地に到着した。さすが国内に一つしかない専門学校。何処を見ても広い、広すぎて何がどうなっているのかさっぱりだった。


 ただ私が一つ分かったのが、今日登校してきたのが私一人だという事。


 周りを見ても人っ子一人いない、その上、この広い土地をどうやって迷わずに目的地にまでたどり着くことができるのだろうか?私が如何するか考えていると、後ろからポンと頭に手を置かれた。


 思わず、後ろを向きながら距離をとった。


「おわ!?え、いや、そんなに嫌がらなくてもよくね?」


「誰!?」


 いきなり背後に現れた青年を睨み付けるように観察する。茶髪の短い髪にグレーの目、雰囲気的に年上だとは分かる。私の着ている服と似たデザインのブレザーを着ている。もしかして、ここの学校の生徒?


「光道琥珀だな。俺の名は荻若はぎわか高雅こうが。CW学校の三年で、生徒会副会長を務めてる。君を案内するようにと、頼まれてあんたを探しに来たんだ。てことで早速寮に行くぜ。」


 嘘は言っていない。そう思った私は大人しくついていくことにした。私が警戒してずっと無言なのにもかかわらず、この人物はペチャクチャと独り言を言い続けた。


「それにしても、この学校本当に広いよなー。毎年必ずいるんだぜ、迷子になって死んでるやつとか。その死因が餓死とかが一番多いんだよな。」


 こんなただっぴろい土地で迷子になって、挙句の果てに餓死とか、そんなに被害があるなら土地を狭くしろよ。あの校長、無駄なことし過ぎだろう。


「おっ!ついたぜ!此処がCW学校の寮だ。右が男子寮で左が女子寮だからな。間違えるなよつっても色で分かるだろうけどな。」


 目の前にはどこぞの高級ホテルの様な二つの建物が聳え立っている。右を見れば薄いアイスブルー色の壁の建物だった。対して、右を見ると、薄いピンク色の壁の建物がある。残念ながら建物が高すぎて、屋根の色は分からない。


 取り敢えず私は女子寮の中に入ってみた。入るときに無駄にキラッキラしてる銀色のドアに恐怖を感じた。


「いらっしゃい光道琥珀さん、私は屋敷奈やしきなゆずりは、今年度から生徒会会長を務めてることになっています。」


ドアの前で、物凄い美人が待ち構えていた。


 腰まである艶のある黒髪に黒い目、こんなきれいな人が武器を手に取って戦う姿なんて、皆目見当もつかない。それにまるでモデルの様な細い体、肌も白くて何処かのお嬢様と言われた方がしっくりくる容姿だった。 


 私は思わず呆気にとられる。


「今年度から?」


「だってあなたとおない年ですもの。うふふ、あなたのお部屋に案内するわ、こっちよ。」


 私の様子が可笑しかったのか、少し微笑むと歩き出した。急いで私も付いていく。この容姿でおない年なのか、色々と複雑な心境だった。


「貴方のお部屋は私のお隣だから、何かあったらよろしくね。あ、それと私の事は楪と呼んでくださいな。同い年の子に一度でいいから、名前で呼んでほしかったの。」


 何処となく寂しそうに言うものだから、私は不愛想ながらに頑張ってみた。


「またね。楪。」


 私は直ぐにドアに入って鍵を閉めた。自分の部屋の確認をどうこう言うよりは、さっきの自分の行動に今更だが羞恥心を感じていた。


「何やってるんだろう私。」


ドアの前で座り込んだ私は、楪が名前を呼ばれたからと、嬉しそうに笑っていることを知らない。

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