第82話 冤罪ログ
ギルド本部。
異常報告が上がった。
大規模バグ暴走。
街区一帯が崩壊。
【SYSTEM LOG】
【Area Failure : Critical】
【Cleaner ID Logged : KAI SHINOHARA】
ざわめきが広がる。
「清掃員がやらかしたらしい」
「カイってやつだ」
カイ・シノハラは現場に立っていた。
何も言わない。
ただログを見ている。
「……実行していません」
誰も信じない。
記録には確かに残っていた。
カイのID。
バグ発生時刻。
完全一致。
リサ・カミシロが前に出る。
「ふざけんな」
「こいつがやるわけないでしょ」
ギルド職員。
「ログは証拠です」
「改ざんは確認されていません」
カイは静かに答える。
「ログが正しいとは限りません」
空気が冷える。
その時。
後ろから声。
「笑わしてもろたで〜」
ナカニシ・コウイチが現れた。
【SYSTEM LOG】
【Cleaner ID : NAKANISHI KOUICHI / BLUE】
「ログな」
「綺麗すぎるわ」
端末を操作する。
解析開始。
【SYSTEM LOG】
【Log Trace : Start】
【Access Depth : Deep Layer】
ナカニシ。
「普通の作業ログはノイズ混じる」
「これは無い」
ログを拡大。
タイムスタンプが並ぶ。
完全一致。
誤差ゼロ。
ナカニシ。
「ありえへん」
「人間の操作ちゃう」
リサ。
「どういうことよ」
ナカニシが笑う。
「これな」
「書き込まれとる」
【SYSTEM LOG】
【External Injection Detected】
「後付けや」
ギルド職員が声を荒げる。
「そんな証拠は――」
ナカニシが遮る。
「あるで」
さらに深層へ。
【SYSTEM LOG】
【Hidden Access Log : Revealed】
別IDが浮かぶ。
未公開権限。
高位アクセス。
カイではない。
「これが本物の侵入ログや」
リサ。
「……最初から仕組んでたってこと?」
ナカニシ。
「せや」
「カイに被せるためにな」
カイは画面を見る。
「……なるほど」
ナカニシが端末を閉じる。
「ほな、さいなら」
「証明終わりや」
ギルド側は言葉を失う。
【SYSTEM LOG】
【Cleaner Status : Innocent Verified】
リサが舌打ちする。
「最初から調べろっての」
カイは掃除機を背負う。
「ログは」
「読むものです」
【SYSTEM LOG】
【Cleaning Continue】
冤罪は消えた。
だがログは残る。
清掃は続く。




