↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレム,俺の義妹が天才漫画家だった件  作者: 下級生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
107/146

第109章 噛み殺してやる!


三十分後。

高城凌乃は椅子に座り、机に突っ伏して、やや焦った様子だった。

涼介はまだ彼女の部屋に来ていない。

なんだよ、来るって言ったのに、もう来てもいい頃じゃないのか?

部屋に戻ってからもうしばらく経つ。外はまったく物音がしない。

「トントン……」

そう思った矢先、突然ドアをノックする音がして、彼女はびくっとした。

ちょっと待って! 思ったそばから来るのかよ!?

高城凌乃は椅子から飛び上がり、緊張した面持ちでドアを見つめた。別に大したことじゃない。

ただの普通の勉強指導だ。

でも万一、昨日の夜のことを持ち出されたらどうしよう?

凌乃はまだどう対処すればいいかまったく考えていなかった。

平気なふりをするか、それとも怒鳴ってやるか?

ていうか、やっぱりあれはあいつが悪いんだ。ノートの中身を見せてくれなかったからだ。

「入るぞ?」

外から涼介の声がする。いつもと何ら変わらない調子だ。

「え? ちょっと! ちょっと待って!」

高城凌乃は慌てて止め、ドアの前まで走って行き、ドアノブをしっかり握った。

少女は深く息を吸い込み、限界まで息を止めてから、一気に吐き出した。息苦しさに意識が逸れたおかげか、胸のざわつきも少しだけ収まった。

彼女はドアを開けた。

涼介が立っていた。顔を真っ赤にした凌乃を見て、彼も一瞬ぽかんとした。

「いつもの勉強指導と同じだよ。テストじゃないんだから、そんなに緊張しなくていい。」

涼介は凌乃の横をすり抜けて、そのまま部屋の中へ入って行った。

凌乃は首をすくめて彼を見つめる。警戒しきった小動物のように、今にも毛を逆立てそうだった。

涼介は気づいたが、何も言わなかった。

彼はただお馴染みの場所に座り、用意した問題集を彼女の机の上に置き、隣の椅子を指さした。

「座れ。」

凌乃は少しぎこちない動きで座った。

「ぼんやりしてないで、始めていいぞ。」

涼介は首を傾げ、彼女を下から上まで眺めた。

「制限時間二時間。解き終わったら間違いをチェックしてやる。」

涼介は視線を戻し、またノートに何やら書き始めた。いつもの勉強指導と同じだ。

凌乃はこっそり彼を盗み見た。

なんだよ、やっぱり考えすぎだったみたいだ。

今は本当に何もなかったかのようだ。

凌乃の心は徐々に落ち着いてきたが、なぜかちょっと腹が立ってきた。

なんなんだよ、自分だけが悶々として、あいつはけろっとしている。

それとも、妹のあそこに触れたくらい、あいつにとってはどうでもいいことなのか?

その考えが浮かんだ瞬間、高城凌乃の落ち着きかけていた心は再びざわつき始め、考えれば考えるほど腹が立ってきた。

ペン先を紙に押しつけ、問題集に穴でも開けるつもりかというほど力を込める。

室内には次第に、ペン先が紙の上を滑るサラサラという音だけが残った。

凌乃は机に突っ伏し、涼介は相変わらず壁に寄りかかっている。

しばらく静寂が続いた。

「凌乃。」

突然、沈黙が破られた。

「なに?」

少女は不満げな目でチラリと睨んだ。

「昨日の夜のことだが……」

涼介がそこまで言いかけたところで、凌乃のペン先が紙に曲がりくねった線を引いた。

来た来た来た!

彼女の背筋が一瞬で張りつめ、頭の中は大混乱に陥った。

「悪かった。」

涼介の声はとても落ち着いていた。

「俺が不注意だった。やっぱり少し距離は取るべきだな。もしお前を悩ませてしまったなら、謝る。」

凌乃は顔を上げなかった。

「なんだよ、そういう言い方。」彼女は問題用紙に引かれた歪な線を見つめ、沈んだ声で言った。

「まるで悪いことでもしたみたいに……」

「ああ、お前に嫌な思いをさせたからな。」

「ああ、じゃないよ!」

凌乃はついに顔を上げ、怒りと恥ずかしさで彼を睨みつけた。

「ただの事故だろ。そもそもお前はわざとやったわけじゃないし、謝ることなんてないよ。」

なんだよ、この謝罪の態度。腹が立つ。むしろそう言われると、逆に気持ち悪い。

まるで自分が理不尽な人間みたいじゃないか。自分で招いたことなのに、責任だけあいつに押しつけてるみたいだ。

涼介が壁に寄りかかってうつむいているのを見ると、彼女はひどく居心地が悪かった。

「謝るなら私の方だよ。無理に奪おうとしたのが悪かったんだから……」

凌乃の言葉を聞いて、涼介は突然顔を上げて彼女の目をまっすぐに見つめ、口元を微かに歪めた。

「そうか? 自分が悪いって分かってたのか?」

「……え?」

ちょっと待って、こいつ今何て言った?

凌乃は三秒間彼を見つめ、聞き間違いかと思った。しかし相手の目は笑っており、自分が想像していたような申し訳なさそうな様子は微塵もない。

「お前が無理に奪おうとしなければ、俺は押しのけたりしなかっただろ。

そうしたら、お前が俺を引っ張って転ばせることもなかった。そういうことだろ?」

涼介は補足するように、続けて言った。

「……」

高城凌乃は完全に沈黙した。だが肩が微かに震え始める。

「昨日の夜、俺は頭にコブができかけたし、膝もかなり痛かったんだ。自分が悪いって認識できたならよかった。安心したよ。」

「本当に大変だよな。家族の平和を保つために、頑固な妹に謝るっていうのは」

涼介は感慨深げな顔をした。まるで家族のためにどれほど大きな犠牲を払ったかのように。

「この野郎……」

高城凌乃は歯ぎしりしながら言った。

「何だよ?」

涼介の問いかけに、少女は答えず、猛然と飛びかかった。

凌乃の怪力には敵わず、先ほどまで威張っていた涼介はあっという間に押さえ込まれた。

凌乃は彼の脚の上に飛び乗り、両肩を押さえて壁に押し付けた。

そして大きく口を開け、彼の肩に思い切り噛みついた。

「ぐっ!」

「お前は本当に嫌なやつだ!」

「まさか真剣に謝ってると思ったなんて、私がバカだったよ。」

その瞬間、涼介にあんなところを触られた羞恥などきれいに吹き飛び、凌乃の中には激しい怒りだけが残った。

からかわれた。徹底的にからかわれたんだ。

こいつは最初からあんなこと気にしてなかったんだ!

腹が立つ。

こいつは私を女としてまったく見てないのか? いい思いしたくせに、少しも悪いと思ってないの?

何が私のせいだって? 自分で認めたならまだしも、他人に言われて認めるもんか!

あの上から目線の態度は何なんだよ。腹立たしい。

噛み殺してやる!

「降参だ、降参した!」

涼介は痛そうに、ノートを持った腕を振り回した。

「お前が欲しかったのはこれだろ。やるよ。これでチャラだな? 昨日の件。」

高城凌乃は彼の手からひったくるようにノートを奪い、口を離した。

手にしたノートを開き、一目見ただけで、彼女がずっと欲しがっていた『まどか』のシナリオだと分かった。

少女の顔に驚きの表情が浮かんだ。

「ふん! 今回はシナリオに免じて、私のあそこに触ったことは許してやる。最初から出してりゃこんなことにならなかったんだよ?」

本当に単純なやつだな。

少し挑発してやれば、それで元通りだ。

涼介は心の中で苦笑いした。

凌乃というやつは、ああいうことを真面目に話し合って、たとえ話がまとまっても、これからは距離ができてしまうだろう。

正直、もうこいつがこういう調子なのに慣れてしまっている。

もし彼女が大人しくなったら、逆にすごく居心地が悪い。だからこんなやり方で関係を修復するしかなかった。

結果的に、効果は抜群だった。

怒らせれば、すぐに他の悩みは全部忘れてしまう。

ただ涼介が予想外だったのは、代償が少々大きかったことだ。肩がひりひりと痛む。

何しろ、こいつは本気で噛んできたのだ。容赦する気など微塵もなかった。

「だから、もう俺の上からどいてくれないか?」

正直なところ、涼介は今の二人の姿勢が昨夜よりはるかに気まずいと思っていた。

少女はまるで涼介の膝の上に座っているようだ。

この距離は実は昨日とあまり変わらない。

金色の髪の毛が何本か彼の鼻先にかかり、少しむずむずした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。