1-1 『親友』
イヤッ!何よこれ!?
痛い!
頭が割れる!
見…てない‥で助け‥‥て
‥ダ‥メ‥‥あ‥ま‥ガ‥‥ワレ‥‥……――
「いやぁぁぁ!!」
「なーに奇声を上げてるのよ?」
「・・・え?」
「また夢でも見たの?いい加減にしなよ」
「え?‥夢‥‥そっか、夢か」
「昼寝して奇声上げて起きるのアンタぐらいよ」
現役大学生の《児島 明菜》は会話相手の親友でもあり先輩でもある《須藤 恵里佳》と同じく入るサークル【記事研究会】で使う昔の記事を読み耽って居たのだが
少し疲れが出たのか開いたままの状態で睡眠を取り出し先程の夢を見ていた。
「それで、今度はどんな夢を見たの?」
「‥え~と」
明菜は夢の話を何時も聞き出してくる恵里佳に対し不思議と何も感じてはいない
それも15年前に当時4歳の幼い明菜が同じく当時5歳の幼い恵里佳と夢で遊んでいた夢を話した事から始まり、見た夢を恵里佳に話す行いは明菜にとって寝起きの恒例行儀とでも感じているのだろう
「目が覚めてからで良いから、ちゃんと目を覚ましな」
「‥うん」
まだ目が覚めきらない明菜に対して恵里佳は目が覚めない明菜にホットを汲みながらも手に持つ本から目を放さず明菜との会話を続けている。
ホットを明菜の前に置き対面席へと腰を下ろした恵里佳は手に持つ本を自分の前へと置き真剣な目付きで明菜を捉える。
「話してみな」
「うん‥‥たぶんこの記事に載って要る人の話だと思うよ」
昔の記事を少し目で探り、記事に載る身元不明死体の記事を見つけた明菜は指でなぞりながら見ていた夢の内容を出来るだけ事細かく伝えてゆく
「これが私の見た夢だけど、似てるでしょ?」
「‥うん‥‥そっか、ありがとう明菜」
夢の話しを聞いている間は目を瞑り、まるで情報を一つ足りとも逃さないと聞く事に神経を集中していた恵里佳を見ていた明菜には尊敬の中にも
自分にはそれだけの集中力は無い
そんな嫉妬にも似た気持ちが生まれていた。
「現場は‥‥近くか‥」
恵里佳の呟きに明菜は嫌な予感がするなか聞かずに要られなかった。
「近くだからって・・・行かないよね?」
「行くに決まってるでしょ?」
「‥‥決まってたんだ」
希望混じりの質問は恵里佳にとっては考えるに値しない事とであり、逆に明菜にとっては行く事が考えるに値しない事であった。