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2度目の空の下で ~精一杯冒険やらなんやら楽しみます ~  作者: にらいかない


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第二十六話 商会会頭の試す目

「クリティカルだけでなく……ルナリス草も、ですか」


ガルシアは、ゆっくりと彰人の顔を見つめた。


「……なんとなく、か」


「はい」


彰人は苦笑しながら頷く。


「本当に、それだけなんです」


「そうか……」


ガルシアはしばらく黙っていた。


その視線は、まるで商人が商品の価値を見極めるときのようだった。


クリティカル。


そして、希少なルナリス草。


どちらも、ただの偶然で片付けるには少し気になる。


だが、彰人本人はいたって普通の顔をしている。


「……よし」


突然、ガルシアが立ち上がった。


「彰人君。少しここで待っていてくれないか」


「え?」


「すぐ戻る」


そう言うと、ガルシアは食堂を出ていった。


「何でしょうね?」


ミレイが首を傾げる。


「さあ……」


リーナも少し不思議そうな顔をする。


「何か思いついたのかもしれませんね」


セシリアはそう言いながら、興味深そうに扉を見つめていた。


しばらくして――


食堂の扉が開いた。


「お待たせした」


戻ってきたガルシアの後ろには、数人の使用人がいた。


そして、その使用人たちが慎重に抱えているものを見て、彰人は目を丸くする。


「……これは?」


テーブルの上に、次々と品物が並べられていく。


古びた金属製の置物。


美しい装飾が施された花瓶。


細かな彫刻が刻まれた木箱。


宝石のようなものが埋め込まれた小さな装飾品。


そして、古い絵画。


全部で五つ。


どれも一見して高そうではあるが、彰人にはそれぞれの価値など分からない。


ガルシアは五つの品を見渡したあと、彰人へ視線を戻した。


「彰人君」


「はい」


「この中で、一番値打ちのあるものが分かるかい?」


「え……?」


彰人は五つの品を見つめた。


――値打ちのあるもの?


そんなこと言われても……。


骨董品なんて、俺にはさっぱり分からない。


彰人は一つずつ眺めていく。


花瓶。


置物。


木箱。


装飾品。


絵画。


「うーん……」


腕を組み、首を傾げる。


――どれだ?


見た目だけじゃ全然分からない。


むしろ、一番地味に見える木箱が怪しい気もする。


……いや。


それもただの勘だ。


彰人は少し迷ったあと、誰にも気づかれないように小さく息を吐いた。


そして、心の中で呟く。


――【鑑定】。


視界に、ほんの一瞬だけ文字が浮かんだ。


五つの品を順番に鑑定していく。


【鑑定結果】


古びた金属製の置物――銀貨十二枚相当。


装飾花瓶――銀貨二十枚相当。


彫刻入り木箱――金貨三枚相当。


宝石付き装飾品――銀貨八十枚相当。


古い絵画――金貨一枚相当。


「……なるほど」


彰人は心の中で呟いた。


――一番は、これか。


彰人が目を向けたのは、五つの中で最も地味に見える木箱だった。


「……これ、ですかね」


彰人が木箱を指差す。


「ほう」


ガルシアの目が細くなる。


「どうして、そう思ったんだい?」


「え?」


彰人は一瞬だけ言葉に詰まった。


――鑑定したなんて言えるわけないよな。


「……なんとなく、です」


そう答えるしかなかった。


一瞬、食堂が静まり返る。


「……」


「……」


ガルシアは彰人を見つめたあと、ゆっくりと木箱へ手を伸ばした。


そして蓋を開ける。


「実はね」


中身を確認しながら、ガルシアが口を開いた。


「これが、この五つの中で一番価値のある品なんだ」


「えっ?」


彰人の目が見開かれる。


「本当に!?」


ミレイが思わず声を上げる。


セシリアも木箱へ視線を向けた。


「……当てた?」


リーナは黙ったまま彰人を見つめている。


フィリアも驚いたように目を丸くしていた。


そしてガルシアは――


今までで一番真剣な目で、彰人を見ていた。


「彰人君」


「はい」


「君の言う……“なんとなく”というものが、少し気になってきたよ」


彰人は苦笑するしかなかった。


――いや、本当は鑑定したんだけどな……。


そんなことを思いながら、彰人は木箱を見つめていた。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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