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37.禁句を言ってはいけません

◇◇◇◇


うーん……禁忌召喚の理由は分かったけど、どーしよう?

ただでさえ同情たっぷりの死神くんが、さらに可哀相なことになるよね。

死神王はともかく。



「愛良、なんて言っていたんだ?」


「……正直に言っていい?」


「おー、いいぞー」


「是非聞かせてくれ」



あ、死神ーズから許可でたからいいや。

言っちゃお。



「禁忌召喚した人の友達がね?女子のパンツをチラ見しちゃって鼻血ブーしちゃいまして。その友達の介抱してたら手に鼻血が付いちゃってみたいだけど気づかなくて……そのまま召喚したら死神くんが出てきて『なんで!?』ってなって唖然としつつも失神しちゃったんだってー」



うん、説明すんの面倒だから超テキトーになりました。

とりあえずは禁忌召喚した人、運が悪いとしか言いようがない。



「うは、把握!見たことねー!この世界始まって以来だ!マジでそんなアホみたいな禁忌召喚初めてだし!」


「……阿呆か」


「……」



死神王はなぜかお腹を抱えて爆笑。

カインは理由を聞くなり呆れ果て。

そして死神くんは想像もつかない理由に絶句。

絶句しつつも、大鎌を持つ手がプルプル震えています。



「……陛下、吾輩は禁忌召喚した者の友人とやらの首を刈ってきます。女子のぱ、ぱ……下着を見て鼻血を出す等、言語道断。成敗してきます」



死神くん、本気ですね。

本気で鼻血流した方の魂を狩る気満々です。

それにしても。



「別にパンツじゃないんだけどねー。ちゃんとスパッツ穿いてるし。それで鼻血噴かれるとか、ちょっと引くなー」



お母さんが、女の子はお尻とお腹を冷やしちゃダメって言ってたから、ちゃんと穿いてるんだよ。



「「は?」」



わーお。

カインと死神くん、同じ苦労人同士で息ぴったりだよね。



「え、何?パンツ見られた女子ってお前?」


「ちょ、愛良!?いつだ!?誰に見られた!?」


「女子なのだから、気をつけねばならんだろう!?」



意外そうな様子で目をぱちくりさせる死神王と、焦って詰め寄ってくる苦労人ズ。

そんなに驚くこと?

死神ズはともかく、カインは一緒にいたのにー。



「見せちゃったことになるかも?」



だって、自分から魔法陣書くために這いつくばっていましたからね。

中腰のままあの複雑な魔法陣を描いていたら、腰が曲がっちゃうよ。



「「はぁっ!!?」」



おお、さっきから苦労人ズ、息ぴったり。

カイン、この苦労人な死神君に使い魔になってもらったらー?



「おー、やるなーお前。ちなみに、チラ見せとか色っぽいのは、もうちょっと胸が育ってから言うもん……グベシっ!!!」


「あははー」



なんか、今不愉快なことを死神王が口走ったよねー?

思わず本来の大きさに戻ったしぃちゃんに全体重載せて踏んでもらっちゃったでしょー。

だけど……これで済ます気なんて、ありませんよ?

馬鹿力セーブ用の腕輪を久しぶりに外して。

にっこり笑って現在進行形で踏まれながら顔を引きつらせている死神王の目の前で仁王立ち。

そして



「女の子に向かってぇ!!」


「うぎゃっ!?」


「失礼なことを!!!」


「いぎゃっ!?」


「言いやがると!!!!」


「ひぎっ!!?」 


「……千切って食わせんぞコラ」


「ず、ずびばぜんでじだ……」



顔面を集中してひたすら殴りました。

息も絶え絶えな死神王。

よし、イケメン台無しア○パ○マンの完成です。



「鬼……」


「悪魔だ……」



距離を取っていた苦労人ズが何かほざいていますね。

とりあえず、あいつらはしぃちゃんに任せよう。



「しぃちゃん。お願いね」



何をお願いされたのかすぐさま察してくれたしぃちゃんは、そのまま勢いよく走りだした。



「ぐえふっ!?」



もちろん、踏みつけていた死神王を踏み台にして。



「があああ!!!」


「「がっ!!」」



わぁお。

しぃちゃんの犬パンチで二人が吹っ飛んで結界にぶつかったし。

この結界内で立っているのが私としぃちゃんだけという。



「しぃちゃん良い子良い子」


「がう」



戻ってきて大きい姿のまま擦り寄ってくるしぃちゃんの頭をナデナデ。

……私何がしたかったんだっけ?

あ、この状況をどうにかしようと思っていたんだった。

死神王が禁句を口走ったから、制裁するのに忙しくて忘れちゃってたよ。

胸のことに関しては、不用意に口走らないでください。

私が我を忘れちゃうので。



「よし、じゃあ君たち。さっさと復活して、10秒以内にここに集合ねー。じゅーう、きゅーう、めんどくさいからゼーロ!」


「「「おい!!!?」」」



いや、ちゃんと10秒数えようかとは思ったんだけど、途中で大きい声出すのがめんどくさくなっちゃったんだよ。

だって、みんな離れた所で気絶しちゃってるんだもん。



「……はい、しぃちゃん!」


「がう!!」


「うげっ!」


「ぐはっ!」


「シリウス、待tぐわっ!!」



ちんたらしていた人たちは、しぃちゃんの犬パンチで私の前まで飛ばされてきました。

カインは後少し早く命令出来てたら助かっただろうけど、ドンマイ。

さて、だいぶすっきりしたことだし、回復させておきますか。

じゃっじゃーん!

愛良ちゃん特性スーパープリン登場!

ちょーっと見た目がアレだけど、効き目は抜群!

てなわけで。



「え、なにそレっ!?」


「ちょ、何で紫いロっ!!?」


「いつ作っタっ!!!?」



色にドン引きしている男連中のお口に強制投入。

実験じゃないよ?

実験はギルドの筋肉マッチョなおじ様たちにお願いして試したから、効果はちゃんと確認済みです。



「い……一瞬、意識が飛んだ……」


「……吾輩の魔力や体力が回復している」


「俺様の顔、元に戻ったし……」



あ……しまった。

イケメンの顔まで治しちゃった。

せっかくア○パン○ンだったのになぁ。

はい、じゃあみんなが復活したところで会議だ会議。



「んで、過去にないアホな禁忌召喚されちゃった死神王たちは、結局どうするの?」


「そーだなー。理由はどうあれ、禁忌召喚した奴の魂は刈らないといけねーしなー」



もう治ったのに顔を押さえたまま胡坐をかいて座る死神王。

呆れて帰るってことはしないんだ。



「なんで魂いるの?食べるの?」


「いやいや誰が食うかよ。アホな魂食ったら腹こわすだろ」


「アホじゃなかったら食うのか?」


「なかなか美味な魂もあるぞ?」



ちょ、カイン。

好奇心が勝ったのは分かるけど、聞かないの!

そして死神くん!

君も普通に答えないの。

話が進まんでしょうが。



「刈った魂はどうするの?」


「キメラになりかけた召喚獣たちの魂を癒すのに使う。禁忌召喚されかかっただけでも、負担はデカいからな。俺様たち死神は、そのためにわざわざ禁忌召喚した奴の魂を刈に出てくんだよ」



死神って結構大事な仕事なのねー。

見た目は単なる怪しい人だけど。

死神王は変態だけど。



「……なんだろう。俺様、こいつの前にいるだけで自尊心が低くなっていっている気がする」


「え、陛下にそんなものあったのですか?」


「コスプレ野郎に自尊心とかたいそうなものがあるとは……」


「……」



ナイス、死神くん&カイン。

死神王がずーんって沈んじゃったから、とりあえず質問相手は死神くんに変更。



「それで、こういう場合はどうなるか決まりってあるの?」


「うむ。鼻血やら無自覚禁忌召喚とか冥界始まって以来だからない」


「ですよねー」



さて、どうしようか。

一応私にも責任あるし、こんな理由で魂刈られるのもかわいそうだし。



「さすがにちょっと後味悪いなぁ」


「だな……今回必要になる魂はどのくらいなんだ?」


「キメラになりかけたのは最下級の者たちであるから、人間の魂1/10だな。魂の質によるが」



え、そんぐらいでいいんだ?

そういうのって、魂丸々一つ使わないといけないのかと思った。



「じゃあさ、魂をそれだけ刈ったら、残った魂はどうなるの?」


「ふむ。まぁ寿命は10年ほど縮む。後は、所々記憶が無くなるくらいであるな」


「ちなみに!!!」



うわ、死神王がもう復活したし。

復活したての死神王は、なぜかビシっと私を指さす。



「お前の魂の場合は1/千穣だ!」


「せん……じょう?」



穣ってどんぐらいの大数だっけ?



「一、十、百、千、万、億、兆、京、垓……次、何だっけ?」


「秭だ。その次が穣。お前、怪力だけじゃなくて魂も人間の枠に入っていなかったんだな」


「ぐるるる……」


「……」



本当にカインも懲りないよねぇ。

巨大なしぃちゃんが怒っていますよ?

今にも君の頭を食べてやろうかって顔してますよ?



「……シリウス。俺が悪かったからとりあえず、座れ」


「ぐる……」



うん、しぃちゃんからカインに向けて発せられる殺気が半端ないです。

カインに命令されるのって嫌いみたいだからねぇ。

というか、死神コンビが大人しい。

どーしてんのかなーって思ったら、なんか私凝視して固まってました。

何事?



「え、お前自分のこと人間だとか思っているのか?ないない。それはない」


「いやいや、我輩はともかく死神王を潰せる時点で人外ですぞ」



えー……人外たちに人外認定されちゃいましたが。

私、人間ですよね!?

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