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クレンに迫るもの。

 一方例の事件から時間がたった頃、今度はクレンが妙な視線を感じるようになっていた。特に、人と一緒にいたり人が大勢いたりする場所では気にならないのだが、一人になったときに特に濃く感じる。それが人なのか霊なのか、ほとんど力をつかわなくなりブランクが長くなったクレンには、判断のしようがなかった。

「まさか……な」

 もしものこともあるかもしれないとクノハに相談しようか迷っていたりもした。一方で野良犬の件は順調に進み、カノンの母親の友人にひきとってもらうことになった。温かい家族で、すでに2頭犬をかっていたが、満足そうになついていて環境も問題なさそうだということでその家に決まったそうだ。

「ワンちゃんの名前を決めろっていわれてー、ムンちゃんにしたよ、はじめみたときにムっとした顏がかわいいなとおもってたんだ」

 カノンは陽気にそういって笑っていた。犬の件に父が捕らわれた事件。クレンは迷っていた。もう一度本格的に修行や鍛練を積もうかどうか、もしもの時のために。しかし一方でそんなことをしても無駄だという思いもある。なぜならすでに、クレンは退魔師としては生きるつもりもなかったし、封印された能力をいくら鍛えようと、そしてクレンの“守り神”をクレン自身が手放してしまった現状では……クレンは後悔やら、決意やらの中で戸惑いの中にいた。


 そんな時だった、クレンが襲われたのは。


 その日、野良犬が引き取られたという事で、カノンがうれしそうにしていたり、命名したことでまるで母親になったみたいだと喜んでいた様子をみて、こっちまでうれしくなったのだったが、クレンにとってはあの日から何か、日常が少しかわったような感じもしていた。6時過ぎ、公園に通りかかる、あの日襲われていた野良猫のランはすやすやと気持ちよさそうにねていた。クスリと笑って傍を通り、やがて、野良犬を追いかけていった当時の様子をふりかえりながら、路地裏に向かった。

「無我夢中だったなあ……」

 なぜだか懐かしい気持ちになったのだ。退魔師として働いていたときのことが、人助けの事を考えたり、悪霊が現世に杭を残さないように考えたり。その考え方や、やり方は色々な物議をかもしたものだったが、活躍していたころがなつかしい。

「この時点で俺は……身内が危険にさらされたなら、力を使うつもりでいたんだ……」

 感傷に浸っていると、何か、路地裏の奥で人影がうごいたような気がして目を凝らす。

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