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悲鳴

「アアアアア!!!」


「大丈夫か?」

「ええ」

 その少し前の時間。どうしても妹の元へ向かうというサノンのために、セイヤは肩を貸しながらあるいていた。何か、この状況に妙な違和感を感じながら。サノンは何事か呟き続けている。

「私が、私が彼女の言葉をきいてあげれば、彼女の復讐を許してあげれば」

「……何を急いでいるかわからないが、きっと間に合う、あんたさえなんとかしてやれば、あの妹―委員長が―きっと正気に戻るのなら」

「そうね」

 セイヤは、得意の気づかいを見せながらも、気は動転したままだった。委員長がクレンを敵視していたことも、クレンの力が謎の組織に狙われていることをしったのも。退魔師―歴史の影に隠れながらも、この世界で確かに力をもっていた存在ではあるが、謎の多い存在でもある。それがこんな、人の野望をかなえる魔法使いのように扱われているとは、セイヤはしらなかったのだ。

「クレンは……こんな世界でいきていたのか」

「え……?」

「いや、なんでも」

「あ……」

 サノンは、シノメとクレンがにらみ合っている様子を、ふりかえり、セイヤの肩を突き放した。

「ありがとう、ここまでで」

「え?でも無茶だ、それに危険だ」

「いいの、ここで行かなきゃ、後悔するから」

 セイヤは突き放されると同時に違和感の正体に気が付いたような気がした。そのままサノンは、まるで今までの疲労やケガが嘘であるかのように、走り去った。

 そして、クレンとシノメの間に割ってはいったのだ。それは丁度、シノメがクノハを背後から切りつけようと刃を振り下ろし、クレンがそのシノメめがけて突進をしている最中だった。

《バッ》

 クレンは一瞬ためらい、目を閉じた。その時サノンは自分の全てがのぞきこまれた用な気がした。そして叫んだ。

「さあ!!クレン!!やりなさい!!そうよ!!この子にこのことを気づかせるにはこの方法しかないのよ!!」

 そしてクレンは、シノメを……シノメの鎧を、サノンごとつらぬいた。

《ブシャッ!!》

 飛び散る赤い液体。クノハが叫ぶ。

「アアアァアアアアッ!!!」

 そして動揺に、カノンが叫んだ。まるで自分の大切なものが、大切な人に壊されたように。

「レンちゃん!!!イヤアアアアアアア!!!」

 しかし当のクレンは真剣に、そして、一切の躊躇いもなく、前を見つめていた。勢いよくクノハがクレンの肩をつかんだ。

「あなた!!何てことを!!ここまでしなくてもよかったじゃないですか!!」



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