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022.1000円カット

20と21の「Jw〇ve」、そして今回の22の「1000円カット」と連続で3話投稿してます。


こちらは新しい2話完結「1000円カット」の1話目になります。

 「あの15分の中に、本当に多彩な技術が詰まってるんですよ!!!!!!!!!」


 《(・・・)》




■■■■■




 私は、地球の異世界転生担当職員、一応、神だ。そして猫だ。

 異世界転生担当職員とは、クライアント(異世界神)のニーズに合う人材(死者)を、異世界へ派遣する神級派遣事業者だ。

 クライアントから人材へオファーできる異世界転生特典のうち、最低限の特典を人材に渡しつつ、気持ち良く転生してもらうのが私の仕事だ。


 一般的なケースだと、基本パッケージ(記憶保持、異世界言語、鑑定《小》、成長補正《小》)辺りに、オプション機能を少しつければ、気持ちよく旅立ってくれる。


 猫については長くなるので説明は割愛する。


 今日も、某シアトルコーヒーチェーン店に似たカフェスペースで日本のラジオを流しながら・・・死者をお迎えする。

 

 今回の死者は、18歳女子の理容学生。特徴的なのがその髪型。ショートボブって感じなんだが、サイドと襟足ががっつり刈りあがってる。クールな感じだ。流石理容師さんの卵。個性派でこだわり強い感じかな。転生特典揉めなきゃいいんだが。


 死因は、ガス漏れで中毒死か・・・夏場の暑い時期で部屋閉め切ってたのが災いしたようだ。

  

 

 《ようこそお越しくださいました。突然ですが、私はあなたの異世界転生を担当いたします、転生事務局員です。まずはコーヒーでもいかがですか?確か、ブラックがお好みですね。》

 

 

 「猫がしゃべってる・・・かわいい」

 

 

 《(おっと、寝たまま亡くなってるから、完全に夢だと思ってるパターンか・・・)》

 

 

 ちなみに猫の姿は、死者の好みや雰囲気に合わせて変わるようにしている。今回は、、スフィンクス。珍しい毛のない猫だ。猫アレルギーでもあったのかな。


 

 《まあ、コーヒーででもどうぞ。すっきりしますよ(早く目を覚ましてください。)

 

 ・・・


 (飲んだな。キョロキョロしだしたし。ちょっと意識もはっきりしてきたようだ)


 お気づきでないかもしれませんが、あなたは既にお亡くなりになっており、こちらは死後の世界になります。死因はガス漏れによる中毒死。友達が、あなたと連絡がつかないことを心配して、ご実家に連絡。大家に掛け合って、既に遺体は発見されて、お葬式まで終わっています。》

 

 

 「(・・・)」

 

 

 《(茫然としてるな。無理もないか)》

 

 

 《驚きますよね・・・皆さんそうですから、ささ、コーヒーお代わりどうぞ》

 

 

 ここまではいつもの流れで、何とかリラックスさせようと髪型に言及したのがまずかった―――

 

 

 「あ、これですか!美容室行ってるって思うでしょ!違うんですよ!実は理容室なんです!しかも1000円カット!

 

 私、肌弱くて、美容室のシャンプーはかぶれちゃうんです。それに、あんまり人と話すの得意じゃないし、淡々と切ってくれるとこがいいなって思ってたときに、うちの近くにたまたま合ったのが、そのお店だったんです。


 チェーン店は男性多くて入りづらかったけど、そこは女性客もいて、こじんまりとしてておしゃれで落ち着いてたんです。

 だけど本当にすごかったのはその腕前!


 1000円カット行くときは、細かくわかりやすく注文しないといけないって聞いてたけど、話すの苦手だし、その時は、結構わけわかんないこといっちゃったし、そ、それに!早口だったと思います・・・


 《(今も大分早いぞ・・・)》


 え?あ、えっと、そう、それでも私が説明するの黙って聞いてくれてて、頷いたと思ったら、そこから一気にカット開始です。

 

 霧吹きとか使わないし、私、猫っ毛でくせ毛だし、セットもしてるのに、そのままバンバン切っていくんです。


 途中失敗したかなって思ってたんですが、カットめっちゃスムーズでした。本当にすごかったんです!


 びっくりしたのは、水で髪流すかわりに、掃除機で吸うんですが、その吸引で舞う髪の毛をうまく利用して、櫛を通して整えていくんです!!


 それに吸いながら、うぶ毛もバリカンでささっと処理して、たったの15分なんですけど、その中に本当に色んな技が詰まってて、感動しました。


 それで、私理容師になろうって思ったんです!私もこんな神業できるようになりたいって!専門学校の同級生にこのこと話すとめっちゃ笑われるんですけど・・・でも私には大切な目標なんです。


 学校だと、シャンプーの実習で手荒れるし、覚えることいっぱいでつらいことも多いけど、あんな風になれるんなら、頑張ろうって思えたんです。

 

 それなのに・・・

 それなのに、こんな風に死んじゃうなんて、私ホントバカですよね。お金なくて古いアパートに住んでたのがいけなかったのかなあ。あの晩、元栓閉め忘れちゃったのかなあ・・・」

 

 

 

《(・・・未練刺激してしまった。大人しく転生や輪廻って訳にはいきそうにないな)

 行っていただく予定の異世界にも、美容や理容の概念あります。ただ、まだ一部の貴族向けに普及しているだけなので、貴方が目指していた安く、早く、巧い理容師さんのニーズはかなり高いと思います。

 それに転生特典として、あなたの尊敬する理容師さんのカットの映像や、カットに使用する鋏、バリカンや掃除機を再現するスキルなどもお渡しできます。

 ぜひ異世界に行って、あなたの尊敬する技を伝えていってもらえませんか?―――――――》

 

 

 

 で、調子に乗って提案して、1000円カットなるスキルを仕上げることになったわけだが・・・まあ今回は魔法スキルは、ほどほどになるし、トイレやらシャワーやらのときとは違って、神消滅なんてことにはならんだろう・・・多分。

 

 

 で、1000円カットスキルの要件か、

 

 

一、尊敬する理容師の技を学べる事。


 これは、件の理容師の姿を夢で見ることができて、それを忘れずに思い出せるってところでどうだろう。

ハンバーグのときのぷちVerだ。

・理容師の夢

・絶対記憶領域《大》

 

 

二、練習用に自分の髪をカットできる事。


 何度も練習したいだろうから、髪は何度も伸ばせるようにしてやろう。鋏で肌切ったりすることもあるだろうし、ちょっとした怪我も治せる再生魔法で。トリミングの時に高レベル与えて失敗したから、今回はレベル《小》にしておこう・・・後は、自分の髪を客観的に切れるように、一体だけ分身できるといいだろう。

・再生魔法《小》

・分身《一》

 

 

三、理容用具

 

 異世界で道具伝えて、作っていくのは時間がかかる。取り急ぎは召喚でしのいでもらって、お金や職人とのつながりができたら、自作すればいいだろう。召喚魔法だが、理容師道具に限定することを忘れないようにしよう・・・

・召喚魔法《小:理容用具限定》

 

 

四、バリカン、ドライヤー、掃除機の代替手段がある事

 

 これはまとめて、風魔法でいいだろう。器用さを上げて、出力はくれぐれも小さめで・・・でも、中くらいは必要か。

・魔法適正《特大》

・魔力量《中》

・魔力自動回復《中》

・風魔法《中》



 まとめると、、こんな感じか。。


基本パッケージ

L 記憶保持、異世界言語、鑑定《小》、成長補正《小》


1000円カットパッケージ(カスタマイズ機能)

L 魔法適正《特大》、魔力量《中》、魔力自動回復《中》

L 風魔法《中》、再生魔法《小》、召喚魔法《小:理容用具限定》

L 理容師の夢

L 絶対記憶領域《大》

L 分身《一》 

 

 

 《では、スキルを渡しますね。スキル譲渡と同時に転生も開始します。それでは良い生を。》

 

 

 私の指先からゴルフボール大の光の玉が放たれ、彼女の胸に吸い込まれていく。

 

  

 「あ、ちなみに、ここで流れてる音楽って異世界でも――――」

 

 

 最後に何か聞こえた気がしたが、無視して処理を進めた。

うん、何も聞こえてない。何も聞こえてない。

 

 

――――――――――――次話《異世界編》に続く。

お読みいただきありがとうございます!

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