現在 その1
初投稿です。よろしくお願いします。
「ローゼマリー・クリスタル!あなたに話がある!」
乱暴に部屋に飛び込んできたレオン殿下のお顔のなんて怖いこと。
それでもほんとに綺麗だわ。
イケメンはどんな顔をしてもカッコイイって本当ね。
神の造詣なる顔面偏差値 半端ない。
金の髪に王家直系の銀の瞳に浮かぶ金色の虹彩、まぶしいわぁ。
「もう、私は耐えられない!」
顔だけじゃなくスタイルも良い。
この方、さり気の9頭身だもの。こうやって歩くだけでも目立つ。
細身に見えるのにキチンと鍛えてるから、姿勢が良いし脱いだら凄いし
「ロゼ?」
見てないわよ?
夏の薄着になられるとわかるのよね。
白シャツ一枚で色気を垂れ流さないで欲しい。
おまけに剣の鍛錬なんかした後は、簡単に前はだけるし…
馬鹿なの? 死ぬの?
ボタン開けすぎなのよ!胸筋見せつけてるんじゃないわよ!
もうちょっとで、腹筋が見えるか、見えないかが
「…私の話を聞いているのか、ローゼマリー・クリスタル公爵令嬢!」
あら、いつの間に殿下が目の前だわ。
でも大丈夫。
コレでも令嬢スキルは磨いてるんだから。
「もちろん、私がレオン殿下のお言葉を聞き逃すなどありえませんわ」
にっこり笑って、手に持っていた紅茶を一口。
はぁ~、今日のお茶も美味しい。
「それで、一体どうしましたの?」
引きつったお顔もステキですって言ってあげるべきかしら。
はいはい、殿下。深呼吸大事。
息吐いてー吸ってー。
仕切り直しですわね。
「…ローゼマリー・クリスタル。あなたには悪いが、私にはリリーが、愛らしい彼女が必要だ。リリーは私の支えなんだ。頼む、彼女との間を邪魔しないでもらいたい!」
切実さがにじむボイスもステキ。
なんて、言ってる場合では無いですわね。
そうですの。
婚約者の私よりもあなたはリリーを選ばれるのですのね。
すっと頭の中が冷える。
「わかりましたわ、レオン殿下の御心のままに」
ソファから立ち上がって、レオン殿下から離れる。
仕方ありませんわ、分かっていたもの。
だから婚約者としてすべき事をやるだけ。
後ろから『行かないで』って視線が来ても選択は変わらない。
私と入れ替わるようにレオン殿下。
「すまない、ロゼ」
「良いのです、レオ様」
だって、あなたを支えることが“私”の喜びでもあるのだから。
だから笑って、この部屋を出て行けるの。
これから起こる事だって、対処して見せるわ。