現在 その2
と、思って王族専用の応接室から出たわけだけど。
戻ってみれば、思ってた以上に酷かった。
「ンギャァー!」
「あぁ、リリー!なんて君は素晴らしいんだ!」
「フシャーーー!!」
「この柔らかく、ふわふわの毛並み!!最高だっ!」
「シャァァァァー!!」
「ノー モフモフ!ノー ライフ!」
無駄に発音良いですね…レオン殿下。
今、目の前で起こってること?
イケメンと巨大ネコのくんずほぐれつです。
信じたくないけど。
2m超えのネコと180cm超えの男が、互いに死力をつくし転げまわってる。
これを地獄絵図と呼ばずしてなんと呼ぶのか。
まぁ、何が起こってるかというと、私の召還獣サイベリキャットの“リリー”をレオン殿下がモフってるだけなんだけどね。
ただリリーは思いっきり怒ってるし、レオン殿下はそれにもかかわらず抱きしめて…
正直に言えば手足でがっちり押さえ込み、ふかふか鬣に顔を埋め猫吸い状態。
力技感がありあり。あまりに酷い。
リリーは基本猫だから性格はマイペース。けれど温厚で頭も良い。
召還獣は普通の動物とは違って、幻獣だから人の言葉もわかるしね。
契約者の私とは思念で意思のやり取りも出来る、戦って良し、魔法も良しな才色兼備な子。
それでも、この有りさま。
レオン殿下ったら、どれだけ理性を飛ばされてるのかしら。
「フニャァ~ン!」
あ、見つかった。
リリーから『あるじ様、ひどい』『行かないでって、言ったのに』『たすけて』
立て続けの感情が流れてくる。
うるうる瞳がカワイ…いえ哀しいわね。
ごめんね、でももう少し頑張って。
今のレオ様にはあなたが、アニマルセラピーが必要なのよ。
後でブラッシングフルコースと好物たくさん用意するから、ね。
なら私の魔力も欲しいとの交渉の結果、もうしばらくレオン殿下の抱き枕になってくれることに。
ありがとう、リリー。なんていい子!
こんな時レオン殿下の召還獣はブラックドラゴンだから、気軽に呼べないから困るわ。
気難しいとか乱暴とかじゃないけど、なんせ彼は体がデカイ。
ここで呼んだら部屋が破壊されるもの。
体も大きいけど包容力も大きいあの竜、レオ様のことを気に入ってるから絶対スグに来てくれるのに。
モフモフじゃないし。セラピーになるかは別として残念だわ。
もう一頭、レオン殿下には契約獣である騎獣が居るけど、アレは論外。
ここはリリーに頑張ってもらうしかない。
強引に抱き枕にしていたリリーがおとなしくなったからか、レオン殿下も落ち着いてきたみたいね。
格好は変わらずとも静かになってる。
うん、今のうちにお茶の用意をすすめましょ。
本日のおやつは我が公爵家の開発、自信の一品。
お茶もコレに合わせて、いい感じ。
そろそろかな。
「レオ様、今日のおやつは『みたらし団子』ですよ」
いやー、苦労したよ。
お米を見つけるの。その後も栽培、収穫とか…。




