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彼は王子様になれない  作者: カキノキ
2/42

現在 その2



と、思って王族専用の応接室から出たわけだけど。

戻ってみれば、思ってた以上に酷かった。



「ンギャァー!」

「あぁ、リリー!なんて君は素晴らしいんだ!」

「フシャーーー!!」

「この柔らかく、ふわふわの毛並み!!最高だっ!」

「シャァァァァー!!」

「ノー モフモフ!ノー ライフ!」



無駄に発音良いですね…レオン殿下。


今、目の前で起こってること?


イケメンと巨大ネコのくんずほぐれつです。

信じたくないけど。

2m超えのネコと180cm超えの男が、互いに死力をつくし転げまわってる。

これを地獄絵図と呼ばずしてなんと呼ぶのか。



まぁ、何が起こってるかというと、私の召還獣サイベリキャットの“リリー”をレオン殿下がモフってるだけなんだけどね。


ただリリーは思いっきり怒ってるし、レオン殿下はそれにもかかわらず抱きしめて…

正直に言えば手足でがっちり押さえ込み、ふかふか(たてがみ)に顔を埋め猫吸い状態。

力技感がありあり。あまりに酷い。


リリーは基本猫だから性格はマイペース。けれど温厚で頭も良い。

召還獣は普通の動物とは違って、幻獣だから人の言葉もわかるしね。

契約者の私とは思念で意思のやり取りも出来る、戦って良し、魔法も良しな才色兼備な子。

それでも、この有りさま。

レオン殿下ったら、どれだけ理性を飛ばされてるのかしら。


「フニャァ~ン!」


あ、見つかった。

リリーから『あるじ様、ひどい』『行かないでって、言ったのに』『たすけて』

立て続けの感情が流れてくる。

うるうる瞳がカワイ…いえ哀しいわね。


ごめんね、でももう少し頑張って。

今のレオ様にはあなたが、アニマルセラピーが必要なのよ。

後でブラッシングフルコースと好物たくさん用意するから、ね。

なら私の魔力も欲しいとの交渉の結果、もうしばらくレオン殿下の抱き枕になってくれることに。

ありがとう、リリー。なんていい子!


こんな時レオン殿下の召還獣はブラックドラゴンだから、気軽に呼べないから困るわ。

気難しいとか乱暴とかじゃないけど、なんせ彼は体がデカイ。

ここで呼んだら部屋が破壊されるもの。

体も大きいけど包容力も大きいあの竜、レオ様のことを気に入ってるから絶対スグに来てくれるのに。

モフモフじゃないし。セラピーになるかは別として残念だわ。


もう一頭、レオン殿下には契約獣である騎獣が居るけど、アレは論外。

ここはリリーに頑張ってもらうしかない。


強引に抱き枕にしていたリリーがおとなしくなったからか、レオン殿下も落ち着いてきたみたいね。

格好は変わらずとも静かになってる。


うん、今のうちにお茶の用意をすすめましょ。

本日のおやつは我が公爵家の開発、自信の一品。

お茶もコレに合わせて、いい感じ。


そろそろかな。


「レオ様、今日のおやつは『みたらし団子』ですよ」


いやー、苦労したよ。

お米を見つけるの。その後も栽培、収穫とか…。


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