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「どのような魔法をお見せすればよろしいでしょうか?」
「そうだな。へそから水が出て、虹がかかるとかどうよ?」
「できなくはありませんが、少々下品ですね。他にはなにをお望みですか?」
「じゃあ、俺が見せてやるぜ」
兄様は力を込めて火炎パンチを僕の腹に打ち込みました。
「ぐはぁっ」
「便利だ〜な、ジェインは。手荒なことしても治癒魔法使えるもんな」
だからといって、自分で自分を癒すのはなかなか恥ずかしいことなのですが。
「よしっ、すっきりしたぜ。じゃあなっ!!」
あ、あ〜あ。去って行ってしまいましたか。
パンチまで受けたのにとほほです。
こうなったら是が非でも誰かを捕まえて、過去の話を聞いてもらわなければなりません。
いや、いっそもうケリーさんに話してもいいくらいですが、おかしいですね、どこにも姿が見えません。
「おや? こんなところでなにをしておる、ジェイン」
「国王陛下」
「よい、面を上げよ」
陛下にゆるされて顔を上げます。
「わたくしの過去の話をどなたかに聞いて欲しいのですが、あいにく相手が見つからないものですから」
「そんなことを話してどうするつもりだ?」
「いや、どなたかわたくしがこのお城で働くことになった経緯を聞いてくれないかと思いまして」
「まったく。ジェインは話好きだな。こんなところで油を売っていないで、辺境の孤児院でボランティア活動でもしてみたらどうだ? 懐かしさもあるだろう?」
ふふっ。まったく陛下にはかないませんね。
「本当に城をあけてもよろしいので?」
「孤児院では楽しい話をしてあげなさい。がんばればおまえのように城で働くこともできるようになると、そう言っておあげ」
「陛下……」
そう、僕は魔力が強すぎて、十月十日またずして生まれてすぐに孤児院に預けられたのであります。
ですが、そこでも迷惑をかけてしまい、城に渡され、ケリーさんがわたくしの母親のように接してくれたのでした。
こんな僕ですのに、ケリーさんはたのしいことをたくさん教えてくださいました。
そこで自分を道化師と偽り、つまらない口上で笑いを誘う……というより、魔法の方が得意になりました。
ですが、普段から魔力が強すぎていましたので、陛下が僕に運命の人と出会わなければ本来の魔力が封じられる術をかけられてしまいました。
こうして僕は、色んな女性を口説いてきたのです。そう、リリーさんと会うまでは。
僕は、お城に連れて来られてしあわせです。
リリーさんと会えてもっとしあわせです。
皆様もどうかおしあわせに。
終わり




