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 それではわたくし、ジェインのお話をしましょうか?


 僕は第一王子のジョシュア様が眠るまでの間、話し相手となるよう言い使っております。


「ジェインの話? どうせまた法螺話なんだろう?」


 御年持って十歳になる王子様は、まるで最初から僕が嘘を言うかのように噛み付いてきました。


 かまいませんよ。そういうリアクションもありですから。


「それでは、法螺話の一つとして聞いてもらえるのはありでしょうか?」

「面白ければいいけど。ねぇ、ジェインがリリーにちょっかい出すのって、やっぱり好きだから?」


 おっと。おませな王子様でいらっしゃる。


 僕の勘ですと、ジョシュア様はリリーさんのことが特別に好きらしい。ということは、ライバルですね。


「ええ。リリーさんはわたくしにとってかけがえのない存在ですから」

「なんだい。ジェインの癖に。女の子なら誰でもいいんじゃなかったのかい?」

「そういうこともありましたが、運命の相手は、ただ一人しかおりません。ですから、リリーさんはわたくしにとっての特別な存在なのです」

「ジェインにリリーはもったいないな」

「そうおっしゃらずに。ね? 話を聞いてみたくなったでしょう?」


 なんとかジョシュア様からリリーさんのことを引き離そうとしますが、なかなかうまくはいきません。


「俺様、イカサマ、ジェイン様。呼ばれてないのにジャジャジャジャーン」

「お。いつもの口上だな」


 自分では気に入っているこの口上ですが、リリーさんには不評なのです。


 なぜでしょう?


 この漠然たる色男がとんちきなことを言うだけでギャップ萌えすることうけあいですのに。


 なぜリリーさんにだけは伝わらないのでこざいましょう。


「まぁいいや。その話の中にリリーは出てきそうにないから僕は本を読むことにする。ジェインは庭の手入れでもしながら、勝手に自分語りすればいい」

 

 なんと雑な扱い。萌えます。萌えですよ、ジョシュア様。


 このジェインではなく、ジョシュア様がギャップ萌えですっ!!


 なんたることでしょう。


 ともかく、庭の手入れですね。はい、承知いたしました。


 それではしばらく、庭のお手入れでもしてみましょうかな。


     つづく





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