王宮の新たな住人の噂
お読み頂き有難う御座います。
良い話の後は王宮の話です
「それでお父様、王宮の方はどうなのかしら?」
「お、王宮で何か有ったんですか!?あれ以上に!?」
フリックは言い知れぬ不安で怯えて、尻尾を忙しなく動かした。
「落ち着け婿殿。良い話の後には悪い話が待っているのだ」
「い、良い話……?いえミューン様との良い話、ですよね」
「フリック!!ああ、延々とフリックとの結婚への展望を語り合いたいわよね!?微に入り細に入り!!でも現実は無常なの!!何があっても権力で障害は地味に派手にぶち壊すけれど!!」
「ほ、程々にお願いしますね」
フリックは曖昧に微笑んでミューンをやんわりと嗜める。思っているスケールとは違ったが、地味に軌道修正出来たのだろうか。少々不安であった。
「取り敢えず見張らせていたプリシテ・ライバーの娘をジュラン・リオネスが連れてきたらしい」
「プリシテ・ライバー……。ミューン様の従姉妹さんですよね」
「ええ、あの馬鹿ゴードンの感性的には美人だったらしいけど。まあ私の従姉妹だから当然よね。会った事は全く無いけど。
それにしても何で子供の時の話をしつこく覚えてたのかしらね。流石、女たらしの脳内はキモいわ」
ミューンは相変わらず自信に満ち溢れており、ゴードンへの憎しみが止まらないようだ。
「そのプリシテさんの事は知りませんが、ミューン様は僕の出会った中で一番綺麗で素敵です」
「フリック!!貴方こそ私の短い人生の中で一番賢くて素敵でイケメンなのよ!!」
「ハーッハッハ!!仲が宜しくて大変結構!!我が侯爵家も安泰だな!100代続くに違いない!」
「フフフフ嫌だお父様ったら!千年続くことにして頂戴!」
「ドレッダ侯爵家万歳!!」
「お館様お嬢様フリック様に栄光を!!」
またしても何故か拍手が使用人から巻き起こっている。
「あ、あの……お話を戻しても良いですか?」
「すまんな!王宮のスキャンダルよりも我が愛娘の純愛の方が楽しい!婿殿、方々で繰り広げるが良い」
「え、その。往来はちょっと……あの、えーと」
「フリックが慎ましくて本当に心がキュンキュン絞れるわあ……」
「え、えーと。すみません」
「いいの!えーとそれで続きよね?
ユーイン様の恋愛黒歴史……。取り敢えず私の従姉妹のプリシテとメメル校学生のマリエット・ヤシエとの三角関係みたいになって、拗れたらしいわ」
「あ、はい。お聞きしました。ユーイン様は苦しんでおられましたね……」
フリックは過去の行いに苦しむユーインを思い出し、へしょりと耳を寝かせ眉根を寄せた。
「あの兄弟は本当に女性に対するデリカシーが皆無で、巧く取り扱えもしないのに欲しがる底辺マインド過ぎよね」
「ユーイン様は……そ、其処迄では無いのでは」
「ハッハッハ、仕方有るまい。フォローされ続けるとプライドばかりが肥大するのだ。軍将達に捻って貰ったのだがご理解頂けんようだな」
何だか、侯爵の笑顔が少し恐ろしい。
どんな色々の迷惑を彼等兄弟に掛けられたのだろうか。気になるところだが、フリックは話題を戻した。
「その、婚約者さん同士ですからお子さんが生まれるのは分かりますが……先程ミューン様が、美人だったって仰ってましたよね?まさか……亡くなられたんですか?」
「何て聡明なのフリック!そう、死んでるのよ。娘を生んだ後に間もなくね」
「……お母さんは亡くなられて、お父さんとは別に……。ご苦労されたんですね、そのお姫様は」
「お誂え向きにイカれた育て役が居たから、心配は要らんのだ。婿殿。まあ、単にスペアとして観察はして棄て置いていた。が、まさかデクスター殿下が何時まで経ってもあの為体だとは思わなくてなハッハッハ」
「イカれ……」
侯爵家に居る以上、そのユーインの娘とも関わる事が有るだろう。ユーインとはこれからも仲良く出来たら良いと思うが、娘のキャラクターに不安の残る情報である。
イカれた育て役に育てられた娘……。また変な人じゃないと良いなあとフリックは思うのだった。
ユーインの娘のお話にご興味がおありでしたら、宜しければhttps://ncode.syosetu.com/n5913gt/『訳アリヒロインの娘ですがお構い無く』(完結済みです)をどうぞ。
狼少女チャミラのお話で御座います。




