惜しまれる情報
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ミューンの闇落ちは権力がフルに使われます。
「ままま待ってください!!種族で括って駆除なんて駄目ですよミューン様!!」
「大丈夫よフリック。貴方への悪行を為した悪は、権力によって滅びたら良いと思うの!」
「無益な殺生は駄目ですよ!!ね、逮捕されたんですから更正手段はありますよね!?閣下!!」
流石に『駆除』と聞いてフリックは仰天する。
闇落ちした目のミューンを必死に宥めながら、フリックは打開策をスオリジェに尋ねた。
「そ、そうですな。大体の異世界種は初対面の尻と耳を撫で回して許される文化圏住みなのか?と聞くと改心しますぞ」
「ほーほーほー、軍ではそーなんですね。改心しないタイプはどーされるんです?」
「改心するまで無給の強制労働ですな。
主に下働きをさせて最低限の技能を身に付けさせて、社会復帰させる狙いもありますが。大体の異世界種は生活手段を持っておりませんからな」
意外と罰則がキツいようだが、ちゃんと考えられている制度のようだ。
逆に裏稼業ネットワークに頼むと、どんな業が用意されているのだろう。気になったフリックはジュランに少しだけ視線を送るも、麗しい笑顔で返された。
「そうそう、常にチカンしそーな種族だと思い込んでるから、誤報もよく飛び込んできますね」
「あ!た、確かにそうですね。案外冤罪で捕まってるパターンも多そうです」
フリックの相槌に、スオリジェがハッと目を見張った。
「こんだけ探して見付からないとなると、もしかして何処かの塀の中かと思いましてね」
「……感謝する、ジュラン殿、剣歯虎君も。この礼は何れ」
「みゃっ!?ぼ、僕は何も」
「カーシャ・オン・ハーマイン陸軍将閣下がご協力されるといいですね……ってアレもういねえ。鮫なのに早歩きスゲーなあ」
2m近い巨体がもう通りの向こうまで遠ざかっている。ジュランが感心する通り、陸上でも機敏なようだ。
「それにしても、スオリジェ軍将の恋人って幾つだよ。異世界種だと出会った時と年齢違う可能性が有るからなあ」
「そ、そうなんですか」
異世界種の事迄流石に知らないフリックは感心した。
「滅茶苦茶な生き物ね……。兎に角、フリックを襲ったあの茶色頭の異世界種は私から御礼参りを喰らわせてやるわ」
「あ、あの……ミューン様、あまり危ないことはしないでくださいね。
もし逆恨みされてミューン様に何か有ったら、僕は死んじゃいます」
「何ですってフリック!!何て優しいのフリック!!」
感動するミューンの目に闇が消えているのを確認したジュランはニヤリと笑った。
「逆恨みされるような報復をミューンちゃんがするかねえ?
充分あくどいだろーから心配しなくても痛っ!!ちょ、結構痛いぞ!?肘鉄するか!?」
「するわよ!!アンタ、実はその異世界種の行方を押さえてるわね!?何故教えて差し上げないのよ!?」
「……さっすがあ。」
ニンマリ、と今度はあくどく嗤った。コンラッドと似た顔なのに、何処か暗がりが被さったような笑顔だった。
「だって、表と裏がさ。大っぴらに仲良くしちゃ駄目だからな」
「だって今閣下にヒントを渡したわ、ダウトよ詭弁よ。吐きなさい、何が目的なの?」
「剣歯虎君はどー思う?」
「みゃっ!?ぼ、僕ですか!?」
「そー。善良なる仔虎ちゃん、フリック君。痛い!!ミューンちゃん!」
「フリックに近寄らないでって言ってるでしょう!!あんたら兄弟は此れだから駄目なのよ!!」
「ミューン様、また気分を悪くされてしまいますから!あの、ジュラン様、僕の考えをお話しすればいいのですよね?」
「ウチの兄貴が誉めてたよ。賢くて小さくてちょっと巻き込まれやすいって」
小さいは余計だと思ったが、フリックは反論を堪えた。
「……恐らく、スオリジェ軍将の恋人さんは、牢屋で身動き取れない状況……動かせない状況なのでは無いでしょうか?」
「ふーん、何でそー思う?」
ニヤニヤしたままのジュランに緊張しながら、フリックは恐る恐る言葉を紡いだ。
「す、推測ですけど。ジュラン様は脱獄のお手伝いとか、されるんですか?も、もし、出来るなら……軍将のご依頼を達成されると思います」
「いやいや、ふーん?でもね」
「あっ、確かに半端島牢獄がザブジャブジャブーンとの国境沿いに有るわ!!フリック賢いわ!!」
つつこうと思った意地悪な発言は、ミューンによって遮られてしまった。
「……何で牢獄の位置なんて知ってんのミューンちゃん。令嬢なのに牢獄マニア?」
「ふん!私は法務大臣の総領娘よ?
シャーゴン法の味方の私は、どんな僻地の牢獄もごうも……ソフトにフワッとお尋ね場も全て網羅済みなのよ!!」
「す、凄いですねミューン様!!」
「えっそう!?凄い!?えっ、もうやだあ。うふふ!」
大体引かれるし、誉められたことが無い特技なので、ミューンはかなり照れた。
「……俺、こんなやべえミューンをスゲーとか感心できる剣歯虎君が凄いと思う」
「黙らっしゃい!よし、解ったわ!此れで閣下への恩着せ……いえ、お手伝いが出来るわね!世の中実権と発言力が目にモノを言うのよ!!見てらっしゃい王宮のゴードン派共!!」
「みゃっ!?ミューン様!!」
未だミューンとゴードンをくっつけようとする派閥にイラッと来ているミューンは拳を突き上げて貧血を起こし、またフリックに寄り掛かるのだぅた。
どうやら異世界種はケモナーが多いようですが、許可無く人を触ったら普通に犯罪です。




