第10www 虎のケツに入れずんばなんとやら
行きたく無いけど、行けば旨味もある。
う~んどうしようかな。
でもさ、俺ってやっぱり、バリバリ働いて200万円よりも、生活保護貰ってゆったり20万円派な男な訳よ。
そんな事は近所でも評判の事だろう?
正直さ、俺の容れ物なんて、コイツが死んでも代わりはいるものだけれどさ、その中に住んでる俺は、世界でただ一人、いや一匹しかいないんだよ。
容れ物なんかよりもっともっと大切なオンリーワンなんだ(超真剣)
って言うかさ、ゲームや漫画だとリーダーって凄く強かったりするけどさあ、
リーダーって前に出て戦う奴じゃ無いからね?
リーダーって作戦を考えて、指揮をして、責任を取るものだからねー?
ーーーーーだけどさ、だけど、
なんだろうなー。もっと重量のある魂と言うか、存在を喰いたい喰いたいって、俺のモンスターである部分が叫んでるんだよな。
仕方無いよねー(諦め)
だからさ、せめてーーーーーーーーー
「一番良い人間を頼む。」
俺は、一番強い人間を使うことにした。
寄生虫の強さは寄生先の強さに依存するからな。
後は、同行者も歴代で一番良い奴ね?
選定はJr.達に任せた。
森の中に腕の立つ剣士と、気弱そうな魔法使いの2人の冒険者どもと入っていくに連れて、少し懐かしさを覚えた。
そういえば、最初は森の中だったよなー。
それがいつの間にか町連合の長だぜ。
下手してたら此処で死んでたかもしんないのにね。
俺ってラッキーにも程がある。
森の中に進んでいくと、脚長蜘蛛の進化系である美脚蜘蛛が2匹いた。ありゃあアシダカグモっていうよりユウレイグモかザトウムシに近いかもな。脚、長すぎだろ。
で、なんで俺達に気が付いてない、若しくは気にしてないかっていうと交尾中なんだよね〰二匹さん。
それでも、普通のアシダカグモとかなら直ぐに反応するんだけどな。
アシダカグモって多動症かって位に気の移りが早いからな。
でもさー、まーあれだけ激しく|
交尾して《ヤっちゃって》たら気が付かないかもねー。
脚もアレも長いせいかストローク激しすぎだもんさー。
羨ましさすら感じるなー。
っていうか、蜘蛛網の交尾って普通の動物見たいな交尾の奴より、自分の金の玉もぎ取ってプレゼントするのがが主流だった筈なんだがな。どうせ食われるからって。
純肉食じゃないザトウムシ目以外さ。
やっぱりコイツ、ザトウムシなんじゃない?
って訳で確認しておこうか。
俺の108のスキルの中には、相手のモンスターの種族情報をまるっとお見通しするものがある。
要するに見ただけで捕獲済扱いのポケ★ン図鑑ね。
因みに美脚蜘蛛のデータは、
美脚蜘蛛
アシダカグモのモンスター
言うまでもないが美脚。
言う必要もないが美脚。
言わなくても伝わる美脚。
細長い脚は非常に敏感。びんかん。ビ・ン・カ・ン♥
その姿はクモというよりザトウムシに近い。でもクモ。
脚を自切して逃げる様な事はせず、
意外にも強力な脚をムチの様に使って、細い木程度なら薙ぎ倒せる。
自分より脚が長いモンスターを見ると逃げ出す。
どうやら、脚の長さで自分とのサイズさと戦力を測っているらしい。
脚長蜘蛛の時に脚に付いていた鋸状の刃は、折り込まれて無くなっておりスベスベ。
激昂時にのみ逆立つ形で出現する。
局脚長蜘蛛になると再び鋸状の刃が常時露出するようになる。
雌の比率がやや高いが、雄の個体もそれなりに存在する。
しかし、蜘蛛系統に多い話だが、交尾の後に雄を食べることが多いため、繁殖期後半になると雄を巡って雌が争う所が見られる。遅生まれの若いオスが人気。
繁殖期を越えて、産卵も行わずその分栄養を溜め込み、子供達に自分を食べさせる事も無かった個体が、早く局脚長蜘蛛に進化する。
尚、これは雌だけに限らない。
やっぱりアシダカグモだったんだ、とか、美脚、美脚うるせーよとか言いたいことは色々あるけどさ、ざっくりまとめると、
……何て微妙な敵なんだ。って思う。
きっとそれは俺だけじゃない筈だ。その筈なんだ。
なんて考えていると、
雌が交尾を続ける雄を噛じり始めた。
クモのメスがオスを交尾の後に食べることは有名で、クモのメスが酷いヤツのイメージが強いと思うけどさ、
造網する種類の話だが、オスだってメスが成熟する前から集団でメスの周りに囲って、男同士でメスとヤる順番決めて、脱皮の最中とかで満足に動けないメスに集団でヤってしまうし、
メスがその後にオスを食いたくなるのも仕方無い気がするけどなー。
人間で例えるのはおかしいかもしれないが、後輩の女子を集団で囲んで、人気の無いところに移動させた途端、先輩から順にマワしちまうようなもんだからな。
まあ、そんな事はどうでもいいから、
よしっ、今の隙だらけな間に殺ってしまうか。
容れ物のスキル、いやスキルを含めたステータスは…
イケル・マ・ナンデーモ
年齢 28
性別 男
レベル 32
国籍 西ニャホリホ王国
クラス プリースト
状態 被寄生|(思考力を奪われる代わりに痛みによるショックを受けない。)
称号 『パフォーマー』『ポイントゲッター』『超人』『筋肉番長』…etc.
装備
曲がり杖
(特殊効果 孫の手にも使えそうだ‼)
ブランドの石マスク
(特殊効果 別人レスラーになれる‼)
エキゾチックなシャツ
(特殊効果 綴りが違ってる‼)
ピチピチのズボン
(特殊効果 ジャストフィット‼)
重低音タップシューズ
(特殊効果 リズミカル ブレーキ減少)
HP100(+5) SP30(+5) ATK30(+5) DEF30(+5) INT0(+5)(無効) MAG40(+5) RE20(5) DEX20(+5) AGI20(+5)
( )内は装備の合計
スキル
テンション上昇(無効) 気分向上(無効) ポジティブシンキング(無効) カリスマ小 緊張無効(無効) 超節約家…etc.
必殺技
ムーンウォーク SP1
ロボットダンス SP1
レイアップ SP1
ロック&ポーズ SP1
フォー SP1
フランケンシュタイナー SP1
エビ固め SP1
コブラツイスト SP1
エルボースマッシュ SP1
イケルスペシャル SP1
ってアレ?
これでモンスターに勝てるの?
普通の冒険者でも厳しいんだぜい?
コイツも蜘蛛のモンスター以上の微妙キャラなんだけどさあ。その前にツッコミどころが多過ぎて追い付かない。
だが、装備ぐらいは出発前に解るだろうってツッコミだけは最初魔法使い系で、意味がある装備だと思っていたと言うことで勘弁してくれ。
必殺技の前半はよく分からない。
必殺技の後半はプロレスっぽいんだけど…。
良く言われるサブミッションは王者の技ってのは、使用者が王者だからこそ言える話であって、
俺、しがない寄生虫よ?
本体がプニプニしてるけど共通点は全くないよ?
第一、モンスターに白兵戦闘で挑むの?
正気なの? 死ぬの?
…いや、コイツご死んだら俺も合わせてヤバいんだった。死んじゃだめだ。死んじゃだめだ。死んじゃだめだ。
なーんて、何処かのパイロットさんみたいに現実逃避したいヒモーは言ってみます。
後さ、このステータスって低いのか高いのか分からないけどそれは置いておいて、
必殺技ってさあ、
下の5つはまだ分かるよ?
上の5つって何、バカにしてるの?
コレが一番良いやつ?
大丈夫じゃない問題だ。
もしかして洗脳が解けてたり、もしやのもしやJr.達に裏切られた!?
って言いたくなるステータスなんだけどさ。コイツ。
ふざけてんのか?
取り敢えず何だかよく分からない『フォー』を使用するぜい。
「フォオオオオオッッッーーーー!!!!」
…今凄い奇声が喉から出た。
その声に釣られて美脚蜘蛛が2匹とも反応した。注意誘発系スキルか…。内容は悪くないんだがねぇ…。
此方に反応した直後、間髪いれずに美脚蜘蛛が攻撃してきたので咄嗟に回避しようとしたら、常に足を地面の上で擦るような動きで体が回避した。
気が付けばSPが残り33になっていた。
咄嗟にこの身体が必殺技を発動したか。
回数は最初の『フォー』を含めて2回。
恐らくは『ムーンウォーク』。
スキル『超節約家』の効果でSPが10以上の必殺技が使えない代わりに、
必殺技のSP消費が1になる。
続いて繰り出された美脚蜘蛛の毒液をかわそうとすると、
カクカクした動きでギリギリの所でそれをかわした。
背後にあった草むらが爛れている。危ない所だった。
この体動けるぞ‼
全力で1匹の美脚蜘蛛の下に潜り込んだ瞬間、『ロック&ポーズ』を発動。
強制モーション固定からの次の挙動への体勢完了。
このスキルは正直マジで使えそうだ。
格ゲーで言うところの強制キャンセルってところだな。
そこから飛び上がって『エルボースマッシュ』を発動ッ‼
更にそのヒットの後、着地前の先行入力で『レイアップ』を発動。
まるで、二段階ジャンプの様に跳ね上がって追撃に入る。
繋がる連激ッ‼
更にそこから『レイアップ』からの、細長い脚に『エビ固め』ッ‼
そんな俺の獅子奮迅の活躍に合わせて、他の冒険者諸君達も、ファンタジーな剣や魔法の戦い方で攻撃している。
雌の細長い脚を剣士が2本だけだが切り落として、俺も1本も使用不能にした。
そこに魔法使いが、「燃油魔法」とこれまた微妙な名前だが、粘着性の油を燃やしながらぶっかけると言う凶悪な火属性の魔法を射ち放った。効果は抜群だ。
その時、雄が急に震えだして動きが激しくなった。
複眼が盛り上がり、何か強烈な臭いが立ち上ぼり、
脚に鋸状の刺が一斉に逆立ち、それと同様に全身の産毛からも何やら液体が滲み出ている。所謂激情態って奴だろうな。
もしかしなくても普通にヤバいよな。
Jr.が入っていた仲間の一人が頭を噛じられて瞬殺されたので、咄嗟に離脱しようとして肉片になり、首に体の半分を埋め込んだJr.を周りの冒険者に見られないように回収して、速やかに喰らう。
代わりに俺の容れ物に同伴で容れて持ってきた別のJr.を埋め込んで、死んだ体を操って俺達の進路と別方向に這って逃げる様に命じて、そこで撤退することにした。
同伴とか狭い思いをした甲斐があったかな。
あの後、Jr.は囮としての役目を果たしてくれた筈だ。
同伴のJr.は後、2匹までなら仕込んである。
勿体ないけど問題はないな。
それにしても美脚蜘蛛を食べてみたかったと思ってしまう。
旨そうな獲物ではあったからなあー。
……まあ、命より惜しいものなんか無いし、子供達は幾らでもあるし、まっいっか。