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たいっへんお久しぶりです!更新が遅くなりまして誠に申し訳ありません……!休暇を満喫していたらあっという間に……。私の落ち度でございます。
季節は秋になってきましたね!食欲の秋!美味しいものを沢山食べましょう。
楽しんで頂けたら幸いです。
「お嬢様、起床のお時間です。」
「ーーまだ眠いの。」
「私としてもお嬢様の思うようにして頂きたいのは山々なのですが、当主様からしっかり面倒を見るよう言い付けられておりますので。」
「ヴィラはお父様の味方なのね。」
「いいえ、私は何があろうとお嬢様だけに仕えます。当主様はお嬢様のお父上ですし、お嬢様のためになる話なら私も頷くのであって、お嬢様のためにならない事を承るつもりはございません。」
「ーーじゃあ、私のためになるから今日は休んでも良い?」
「………侍女の立場でありながら失礼ですが、何がお嬢様を困らせているのかお教え頂けませんか?力になれるかもしれません。」
ああ、これだからヴィラを側に置かずにはいられない。雇われの身でも、お父様に従順に従わず、自分の判断で主人のためになることを選んでくれる。私のためを思って、話を聞いてくれようとしてくれる。
「ーー少し、喧嘩をしてしまったの。」
「喧嘩、ですか。」
「ええ。私の行動が誰かの迷惑になっていると……だから、どうすればいいのか分からなくなってしまって。このままで良いのか、それとも変える必要があるのか。」
「お嬢様くらいの年齢ですと、多感な時期ですからね。そう言う事も起きるでしょう。ーーそうですね、私から言えることは少ないですが……お嬢様が大事に思うものを大事にしてください。」
「ええと……」
「お嬢様が迷惑だと仰った方はお嬢様にとって大事な人ですか?その人にどう思われるかは、お嬢様を迷惑だと思っているかもしれない方より大事な事ですか?」
「…….もちろん、私の文句を言ってきた相手は私の大事な人じゃない。でも、私の大事な人が本当に迷惑だと思っているかもしれないの。」
「それは、本人に聞いたのですか?」
ーー確かに。
ヴィラの言っている事は尤もだった。私はエメリア様に言われた事を間に受けて気にしていたけれど、結局彼女の言う通りヴァンス様が迷惑だと思っているなら、彼女ではなく本人に聞いたほうが確実だわ。
それに、もし迷惑でなかったなら、私はヴァンス様と友人でいたい。最初はそんなの烏滸がましいと思っていたけど、今では彼のことは大事な友人なのだ。簡単に距離を置こうと考えたのは浅はかだった……だって、そうしたら ヴァンス様が傷つくかもしれない。
大事なのは、ああだこうだと噂をする貴族たちじゃない。私が大事にしたいのは、ヴァンス様とルイ様。
ーーそう思うと、悩んでいた時間が無駄だった気がしてきた。
「直接、本人に聞いてくる。」
「では少し急ぎで準備しましょう。」
待ってました、と言わんばかりにヴィラが私の髪の毛を梳かし始める。ヴィラ、あなたこう言えば私が動くと思って言ったのでしょう……図られた気分だわ。
♦︎♦︎♦︎
コンコン。
私は緊張した面向きで生徒会室のドアをノックした。思い立ったが吉日とはこう言う事よ。ウジウジ悩んでいるなんて私らしくない。
そう思いながらも、自分の手が汗で湿る感覚があった。こうやって虚勢を張るのは昔から…….いえ、前世からの悪習でしょうね。
『ねえ、×××ちゃん。本当に大丈夫なの?』
『何が?』
『さっきの事だよ。』
『ああ……気にしてないよ。』
『でも、あの子達×××ちゃんのお父さんの事あんな馬鹿にして…..!』
『“人殺し”って?ーーでもさ、間違いじゃないんだよ。だって私のお父さんは本当に人を殺しちゃったんだもの。』
『それは結果でしょ?それに×××ちゃんは何も悪くないじゃない。』
『いいのいいの、私は大丈夫だから。』
私は大丈夫だから。
何回私はこの言葉を言っただろう?数え切れない程口にしたことで、大丈夫じゃなかった事が大丈夫になった。呪文のように発した言葉が呪いにかかったように効果を発揮したのだ。
それを、私は良い事だと思った。誰にも迷惑をかけず、自分の辛い気持ちを忘れる事ができたから。でも、少しずつ少しずつ蓋をしていたものが壊れていって……私はついに、自殺したのだ。
後悔はない。後悔することもないし、悲しんでくれる人もいない。だからきっと、あれで良かった。おかげでこうやって、素敵な世界で生を受ける事が出来たのだ。
前世で愛したヴァンス様とルイ様が幸せになる場所にいられれば、それで良いじゃない。
溢れそうになった、過去になった記憶を押さえ込む。私が生きているのは、この場所だ。過去なんて関係ない、と言い聞かせて。
「あれ、フレア?」
「ルイ様?」
ドアを開こうとした時、後ろからひょっこりルイ様が現れた。
「珍しいね、フレアがここに来るなんて。」
「少しヴァンス様に用がありまして……」
「そっか。僕がいた方が都合が良いだろうし、一緒に入っても良い?もしヴァンスが一人なら、醜聞に繋がるかもしれない。」
思うままに突っ走っていたけれど、ルイ様の言うことは尤もだった。私はどうもこう言う部分に頭が回らない。申し訳なさとありがたさで、私はその申し出を受ける事にした。
「お願いします。」
「じゃあ、とっとと用事とやらを済ませちゃおう。終わったら、今度はちゃんと二人でカフェに行かない?美味しいものでも食べよう。」
「ーーありがとうございます。是非ご一緒させてください。」
私が少し緊張しているのに気がついたのだろう。気を利かせてわざと明るい雰囲気を作ってくれた。最近ルイ様とあまり話せていなかったし、久しぶりに美味しいスイーツを食べたい。
「ーー失礼します。」
慣れた手つきでドアを開けると、やはりヴァンス様はそこにいた。ドアの外から私たちの声が聞こえていたのだろう。待ってました、という顔で立っていた。
(ヴァンス様は分かりにくい、なんて言われているけれど…….)
きちんと見ていたら、彼の表情は明らかに変わっている事が分かる。今だって、どうしたんだ?って顔。こんなに顔に出ているのに、鉄仮面だとか言う人は一体彼の何を見ているのかしらね。
「ヴァンス様、少し宜しいですか?」
「ああ。ーー場所はここでいいか?」
「大丈夫です。少し聞きたい事があるだけなので。」
「そうか。ーーそれで?」
何を聞きたいんだ、と催促される。仏頂面だから見る人が見たら怒っているように感じるかもしれない。でも私からすれば、これは……そうね、不安、かしら。
ただ私は、ヴァンス様が私のせいで困っていないか、困っているなら少し距離を置くか聞きたいだけ。何を考えて彼が不安に思っているのかは分からない。けれど早く取り除いてあげたい。
「ヴァンス様は、私達の噂をご存知ですか?」
「あちゃー、フレアも知っちゃったの?」
どうやらルイ様も知っているようで。なら当然ヴァンス様も知っていたのだろう。
「ーーすまない。私の責任だ。」
「いいえ、違います。私の不注意です。」
「しかし、」
「私が聞きたいのは、ヴァンス様が嫌な思いをしていないかという事で…….もし嫌な思いをされているのであれば、少し距離を置いたほうがいいと思うのです。」
「気に障りはしたが、特段嫌だと言うわけではない。ただ、……そうだな。立場を考えれば、それが最善だ。」
そうよね。私も同じ気持ちです。でも私達の立場を考えれば難しいのも事実。ーー男子生徒2人の間にいる女性生徒。しかも片方とは婚約済み。誰でも疑心を持つのは当たり前だわ。
友人という形ではいられないのかしら。元々は崇拝する存在で、影から応援したいと思っていた。けれど今は、良き友人として、側で見守りたい。
「ーーなるほどね。話は分かったわ。」
高い声がした。いつの間に部屋に入ったのか。ーーそれに、この声は。
「エメリア?」
「ごごご、ご機嫌ようお兄様!」
「なぜここにいる。」
「ちょっと尾行ーーいえ、用事があったのよ。そこのフレア様にね。」
え、今尾行って言ったわよね?全然気づかなかったのだけれど?え、気配のけの字も感じなかったわよ。
「そうか。だがノックもせずに入ってくるのは無作法だろう。」
「そ、そうね。申し訳なかったわ。ごめんなさい。」
「反省してるなら良い。」
「僕も気にしてないよー。」
え、そこの子尾行って言ってたのよ?私、尾行されてたんですが?何でそんなにスルーできるのよ。
「それで、偶然にしろあなた方の事情は聞かせて貰ったわ。フレア様、貴女に用があったのは似たような話なの。ついこの前貴女が言っていた事を調べさせたのだけれどーーどうやら作為的な物で間違いないようだわ。」
「そ、そうですか。」
あの、私はまだ尾行されていた事を噛み砕ききれていない。そんな状況で何か言われても頭に入ってこないわ!
「一連の噂の根源はあっさり見つかったの。」
「すまない、エメリア。私達にも理解できるよう説明してくれ。」
「あ、ああそうだったわね。お兄様達には共有していなかったわ。ーーこの前、私がフレア様をお茶会に招待したのは覚えてる?」
「ーーああ、覚えている。」
苦虫を噛み潰したような顔をしながら、ヴァンス様は俯いた。
あの日は、彼にとっては思い出したくない一日なのだ。兄から不当な罵倒をされ、女に庇われた上に怪我をさせてしまった。
私も無意識に、自身の頬を撫でる。寮に戻って魔力入りの塗り薬を塗ったおかげですぐに治ったけれど……暴力というものは、心にも傷を残す。
ヴァンス様を庇ったことに後悔はない。でも私だって力のない子女であって、大きな体で迫られ、腕を振り上げられたあの瞬間は凍りつきそうな程怖かった。
ーー嫌な事を思い出してしまったわね。
俯いていたヴァンス様の視線は、気づけば私に向けられていた。気遣わしげな視線に、私が何を考えていたのか分かってしまったのだと理解した。
(私は、大丈夫です)
目線で訴えたけれど、彼に伝わっただろうか?
「……….ちょっと、何を意味ありげに見つめあっているのかしら?」
「あ、違います。これは好意云々では無く…」
「ねえ、フレア様。貴女はお兄様を惑わす様な意図は無いと言っていたわよね。それに、勘違いを起こさないようにお兄様に近づかないよう言ったはずよ!」
「待て。ーーエメリア。」
エメリア様ははっとしたようにヴァンス様へ振り返った。ああ、やってしまった、と言いたげに。
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