写真つきの年賀状
今日は元日だ。あけまして、おめでとうございます。
プロ野球選手の俺は、家族とのんびり過ごしていた。
子どもたちに「お年玉」を渡していると、うちで飼っている猫たちもやってくる。
みゃー、みゃー、みゃー。
はいはい、忘れてないよ。きみたちの分もちゃんと、「お年玉」を用意しているからね。ほら、高級な缶詰めだ。
そういうわけで今、うちの猫たちは「ごはん中」。
その隣で俺は、届いたばかりの年賀状を仕分けしていた。これは俺の分、これは妻の分、これは子どもたちの分。
そんな作業を続けていて、ふと思った。
ここ数年は、「写真つきの年賀状」が増えた気がする。印刷技術の向上が理由だろうか。最近のクオリティーは、なかなか侮れないものがある。
家族ぐるみの付き合いをしているチームメイトからも、今年は「写真つきの年賀状」が届いていた。
仕分け作業を中断して、その写真を眺める。
(向こうの子どもたちも大きくなったもんだ)
子どもの成長は早い、と感心する。
(来年の年賀状は、俺も家族の写真にしようかな)
このあと作業を再開する。
しばらくして、ある年賀状を見つけた。
送り主は、さっきのチームメイトだ。
ただし、宛名が俺ではない。妻でもない。子どもたちでもなかった。
みゃー、みゃー、みゃー。
缶詰めの中身を食べ終わった猫たちが、もっと欲しいと「おねだり」してくる。
今日は元日だし、「お年玉」の缶詰めは、まだ何個かある。
(でも、その前に)
手に持っている年賀状を、猫たちに見せた。
大きな鯛の写真が載っている。
この年賀状の宛名は、うちの猫たちだ。
みゃー、みゃー、みゃー。
猫たちが足にまとわりついてくる。
はいはい、「おかわり」だね。俺は新しい缶詰めを取りにいった。
五日後のことだ。
別のチームメイトから、年賀状が届いた。
おいおい、かなり遅いぞ。そう思う俺だったが・・・・・・。
これも写真つきの年賀状だ。
年越しそばの写真が載っていて、「道が混んでいて遅れました。あけました、おめでとうございます」という文章がついていた。
次回は「神社」のお話です。