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57話 同盟

 

「リバイブを俺にも取得させてくれないか?」


 そんな事をエルさんが言いだした。


 え?エルさん俺より先輩だしコアレベルも上だろうからリバイブあるんじゃないの?



 そう聞いてみると


「いや、俺の所では生き返らせるスキルと言うのは一つもないな。パーフェクトヒールと言う死んでなければ回復できる魔法はあるんだがな」



 ダンマスによって呼び出せるものに違いがあるとは思っていたがスキルなども違っているのか。


 って言う事はだ、当然俺の持ってないスキルなどもある筈だ。


「リバイブを取得させる事は可能だと思う。そうだよなセバス?」


「はい、どなたであろうとスキルオーブを使えば可能であります」


「だってさ。エルさん」


「おお、助かる。やっぱり育てた部下は死んでほしくないからなぁ」


「あ、ただ配下は煙になる前に生き返さないと消えちゃうから注意が必要だよ」


「ああ、10秒くらいしかないんだっけな。この発動条件とかはどうなってるんだ?」


 俺はダンジョンにおける蘇生の条件をエルさんに話しておいた。



「エルさん、リバイブの代わりに何かくれよ」


「あぁ、いいぜ。何が欲しい?」


「俺のところで召喚出来ないスキルがあれば欲しいんだが」


 そう言って俺のところで召喚できるスキルのリストをエルさんに見せた。


「ああ、うちのリストとほぼ同じだな。なんでユウのところにはリバイブなんてスキルが出たんだろうな?」



 多分リバイブスライムのビビのおかげだろうな。エルさんにわざわざ教えたりしないけど。


 それにしてもほぼ同じなのかよ。


「スキル強奪とかスキルコピーとかないのか?」


「なんだその物騒な名前のスキルは。お前の元の世界ってそんな恐ろしいところだったのか?」


「いや?元の世界はスキル制じゃなかったよ」


「そうなのか、詳しいからてっきりそう言う世界だったのかと思ったぜ。あ、そうだ俺の部下をやろうか?」


「いや、それはいいよ」


 口では言えないが配下を貰ってもスパイされる危険もあるし、たぶん俺がそいつを信用できないだろう。


 そうなったらその配下も嫌な気分だろうし、俺とエルさんの仲もそうなってしまうかもしれない。



 んー じゃあ何を貰おうかと悩んでいたのだが。



「あ、そうだ。じゃあ何も要らないからその代わり俺と同盟組んでよ。対等な条件で」


「対等同盟って・・・ダンジョンランキング1位の俺とお前が?」



 ランキング?1位?なんだそれ、初めて聞いたぞ?



「えーっと、ランキングってのはダンジョンの?そんなのがあるのか?」


「はぁ?お前新人か?10年に1度の集まりの時に発表すんだろうが」


「まだ2ヶ月だぞ。新人も新人だ」


「2ヶ月だと?ウソだろ?まだ保護期間も外れてない時期じゃねーか」


「正確には52日目だな。ルーリにも同じような事言われたよ。でエルさんはダンジョン全体の1位なの?」


「ああ、そうだ。ところでお前今1日どのくらいDP稼いでるんだ?」


 俺はサブコアを取り出し計算させてみる。



≪ 全体で2731万DPです ≫


 地下牢屋で1600体×平均レベル9=1440万+滞在51万


 地上の闘技場と試練の館では日によって違いはあるが、試練200人×平均Lv18=180万、闘技場400人×平均Lv35=700万+滞在360万、合計で2700万DPくらいか。


 今のところこんな感じらしいのでそれをエルさんに伝える。


「昨日1日で2700万くらいらしい。」


「ウッソだろぉ?お前2700万って俺より・・・」


 その先は言わなかったがどうやらエルさんを越えてしまったらしい。


「セバス、1位になったらボーナスってないのか?」


「ございませんよ。1位の入れ替わりが激しかったらボーナスだらけになってしまいます」


「それもそうか」


「ワハハハ!」



 突然エルさんが笑いだした。


「どうしたエルさん。俺に抜かれたショックで気でもふれたか?」


「ちげーよ。おめぇおもしれー奴だな。いいぜ、気に入った。対等同盟組もうぜ」


「いいのか?」


「ああ。お前と遊んでると楽しめそうだ。ただダンジョン同士の侵略が禁止されている以上同盟にどんな意味があるか分からんぜ?俺だって同盟なんで初めてだからな」


「そうか?エルさんなら王を使って「○○のダンジョンを攻略しろ!」って言うだけで人間達は攻略に向かってくれるじゃんか」



 呆気にとられた顔のエルさん。どうやらそこまでは気が回らなかったらしい。


「お前恐ろしいこと考えるんだな。たしかにそれなら配下が侵略してるわけではないが……」


「え?それってルール違反になるのか?」


「いや、多分ルールの範囲内だろうな。そうだろ?補佐の……セバスだっけか?」


 エルさんがセバスに問いかける。



「はい、ルール違反にはならないと認識しております」


「だよな。だからってそれをやるとダンジョンマスター達から嫌われるぜ?」


「多分俺はすぐ嫌われるよ」


「なんでだ?」


「だってここで人間を鍛えちゃってるし、スキルだって与えて強くしちゃってるもん。それで強くなった探索者が他のダンジョンに行ったら攻略されちゃうところも出てくるでしょ」


「ああ、なるほどなぁ。それで俺と同盟って話か」


「エルさんが1位だとは知らなかったけど、ルーリを見たら上位のマスターだって分かったからな」


「ハハ、やっぱおもしれーなお前」



 もしかすると人間を鍛えるなんて止めろなんて言う奴がいるかもしれない。


 そんなのは知らんと言い撥ねるにも1人では多勢に無勢なのだ。味方は一人でも多い方がいいに決まっている。


 それにしても現在1位のエルさんが同盟を組んでくれたのはでかい意味がある。俺とエルさんが仲良くしてればそこに寄ってくるマスターもいるはずだ。


 ただしエルさんに仲のいいマスターを紹介してくれと頼もうとは思ってない。露骨過ぎて嫌な気分にさせるだけだろうからな。


 今はエルさんとの信頼を深めることに専念すべきだと俺は思っている。


 それが吉と出るか、エルさんは嫌われ者でボッチだった場合の凶と出るかは一種の賭けだ。


 ここはギャンブルの町だ。楽しく賭けようじゃないか。




「さてエルさん。俺は闘技場に参加してくるよ」


「なに?お前自分で戦っているのか?」


「そうだけど、何か問題あった?」


「いや、羨ましいなと思ってよ」



 このバトル脳マスターめ。羨ましいってなんだよ(笑)


 続けてエルさんは


「なあ、セバスよ。この闘技場に俺が参加したらルール違反か?」


「はぁ?何言ってんだよエルさん!」


「いや、俺も戦いたいなと思ってよ、わははは」



 いや、わはははじゃねーよ。


「エルウィン様が参加されるとしたらこのダンジョンの所属する配下が一人もいなければルール違反にはならないと認識しております。ただ配下がいた場合でも侵略の意思がなければ大丈夫だと思うのですが、こればかりは前例がないので今のところ判断が難しいです」


「おぉぉ、やったぜ。じゃあユウ、お前参加するなよ!」


「いやいやなにがやったぜだよ!参加ダメ。ゼッタイ」


「なんでだよ、お前だけズルいじゃねーかよ」


「ズルいって俺ここのマスターだし!配下だってもう5~8人紛れ込ませてるんだから今からは無理だって!」



 ラセツやリュウイチ達が紛れているのは嘘ではない。


「まじかよー。仕方ねぇな。じゃあ次来た時は参加させろよ?」


「わかったわかった。そのとき誰も居なかったらな?」



 ここでダメだなんて言ったら暴れられそうだからな。



「やったぜ!楽しみが出来たぜぇ!」


 想像以上に喜んでいるエルさんがとても怖い。それ以上にこんなのが参加してきた時の他の参加者が可哀そうで仕方ない。



 そんな事を考えながら向かおうとしたらルーリに止められた。


「ユウ、今日は私が行ってくるよ!ユウはエルウィン様の相手をしててよ」


 続いて念話も来る


 ルーリ:ユウがいなくなったら私かセバスが相手しなきゃいけないじゃない!無理よムリムリ!だから私が行くわ!



 それもそうだな。エルさんってば意外と凄い人だからな。ルーリが可哀そうか。


「そうか?じゃあエルさんとここで応援してるわ」


 そう返すとルーリは安堵の表情で息を吐く。



「じゃあサクッと殺してくるねー!」


 ブッチャケ過ぎである。そんなルーリの後ろ姿にエルさんから


「負けたら承知しねーぞ?」の一声。



 その一言に急停止しギギギと振り向くルーリ


「シヌキ デ ガンバリマス」そう言って部屋を出ていった。








 その日のルーリの活躍は語るまでもなかった事だけは言っておこう。







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