36話 気になるやつら
※ ジョー視点 ※
俺の名前はジョー。人間の国グランエントで活動している探索者だ。
BランクPT『鋼の絆』のリーダーをやっている。
メンバーは槍術士のパリッシュLv48、回復士のクレアLv43、盾士のジェイクLv50、魔術師のアリソンLv46、そして俺が剣術士のジョーLv51の5人である。
俺達のPTは俺がLv50を越えた事とクエスト達成により最近ランクアップし上位PTの仲間入りをしたのだ。
この国ではBランクになれば上位として認めてもらえる。1ヶ月で稼ぐ金額だって金貨50~60枚くらいになる。
これを5人で分けるので1人頭金貨10~12枚に、1日換算だと大銀貨3~4枚くらい稼いでいる。
まぁでもこのうち宿代や食事代、装備の購入、修理、回復薬とかかる経費を引いたらかなり減るのだがな。
そんな俺達だが最近気になるやつらがいる。
このグランエント(人間の国)でエルフとドワーフだけで組んでいるPT「スプリングオータム」だ。
ただでさえ目立っているというのに、さらにこいつらはダンジョンには潜ろうとしない。王都近くで採取や魔物の駆除をメインでクエストを受けている。
最初はダンジョンを怖がっているへなちょこと思っていたのだが、Lv的にはダンジョンに行けないわけではない。実際に剣術のみの摸擬戦をしたら負けてしまった。
そして簡単なクエストしか受けていないのにやたらと酒をおごってくれるくらいに金を持っている。
武器や装備にしてもそうだ。同レベルの探索者よりも各段にいい装備している。
ついにはマジックバッグまで手に入れていやがった。
マジックバッグなら小さいものでも大金貨10枚以上するはずだ。俺達のPTが稼ぐ2〜3ヶ月分丸々吹っ飛ぶ。
しかも使用者限定付きだという。それじゃあ盗まれたとしても本人以外は使えないので堂々と使っている。
どこかの貴族かと思ったが、そんな様子はまるでない。
いつもの様にPTで酒を飲んでるとリーダーのハルキが酒を持ってきた。
今日は俺が話し役でなく、やつに話をさせるつもりだった。
「よう、ハルキ。いつも悪いな。」
「いえいえ、いつも貴重な話を聞かせてもらってますから。そのお礼ですよ。」
貴重な話って言っても俺達の武勇伝なんざ面白くもないだろうに。
「ところでよ、お前達のPTはどこでそんなに稼いでいるんだ?そのバッグだって簡単に手に入らないだろう?」
「ああ、このマジックバッグですか。えーっと・・・」
まぁ普通は儲け話なんざ他人には教えないわな。だが・・・
「ハルキよ、お前達がダンジョンに潜ってないのはだれもが知ってる事だ。なのに金は持ってる。悪事を疑われてるぜ?」
もちろんこれは嘘だが、実際潜ってないのだから怪しいと言えば怪しいのは本当だ。
「ええ?そうなんですか?まずいなぁ・・・」
「お前本当に悪事を?」
「いえいえ、それは絶対ありません。ちゃんとしたことでお金もバッグも手に入れましたよ。」
「ならそれを言えるだろう?」
「うーん。分かりました!教えます。じゃあその秘密の場所に連れていくので、明日の朝に門の前で待ち合わせましょう」
「よしわかった!そうと決まれば今日は俺が奢るぜ!」
その後、店にいた連中やあとから来た連中も話を聞き付け一緒に行く事になった。
おいおい、これ取り分が減るんじゃないのか?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
翌朝、門につくと50人ほど集まってしまっていた。
「ハルキ、全員で大丈夫なのか?取り分が心配なんだが?」
「大丈夫です。あそこは夢の場所ですから」
夢の場所?寝てから行くってのか?訳わからん。
腑に落ちないながらもついて行くと門を出て歩いてすぐのところに建物があった。
500mくらいのところだがダンジョン方向と逆だったため誰も知らなかった。
だけどこんなところに家を建てて魔物や盗賊が心配じゃないのか?
「ここはだれの家なんだ?」
「ここは家というより、うーん何て言えばいいのか、ここは受付なんです」
「受付?何の受付なんだ?ここでクエストでも受けるのか?」
「いえ、ここから移動するんです。転移陣で」
「転移陣だと?!」
俺達の会話がみんな聞こえたようで一斉にざわざわし出す。
しかし転移陣と言えばダンジョンのトラップで有名なので騒ぐ気持ちも分からないでもない。
だがなぜこんな所に転移陣がある?どこに転移するんだ?
「その転移陣の行き先は?安全なのか?」
「はい、安全です。行先は勇者の作った町です。」
「勇者だと?町を作った?」
「はい、私達はあった事がありますし、本当に町があります」
なんだか騙されているのではないか・・・・
だがこんな大人数を一度に騙そうとするだろうか?
この人数を騙すなら少人数を数回に分けて騙すのがセオリーではないだろうか?
もしかして転移した先に大人数の仲間がいるのかもしれない・・・??
「転移先に仲間が沢山いて俺達を襲うってことはないだろうな?」
「え?そんなことしませんよ。さぁ行きましょう」
仲間と顔を見合わせ、覚悟を決めてついて行くことにした。
建物の中には言ってた通り受付があり、銀貨1枚で通行券というものを買うらしい。
なんだこの鉄で出来た箱は?この穴に金を入れるのか?金を入れたらボタンが光り出した!
人の絵が書いてありその上に1人、2人、3人とある。
ハルキが言うにはまとめ買いするためだというのだ。PTの分をまとめて買う。銀貨5枚だ、安くない。
中にはハルキに借りてるやつもいた。
これのために昨日ハルキが金を持って来いと言ったのか?皆もやはり怪しんでいたのか次々と借りていく。
券を買った者からハルナとアキエが転移陣に案内している。ハルトが転移した先で待っているようだ。
よし、騙される覚悟で飛び込むぞ。
剣に手をかけたまま転移陣に飛び込む俺達5人。
一瞬の眩暈の様な感じを受けてから立ち直るとそこはまた建物の中だった。
ハルトが笑顔で出迎える。みんなが揃うまでここで待つらしい。
揃ったところを襲われてもいいように気を抜かず周りを警戒する俺達。そんな俺達を見て笑うハルト。
揃ったところで何も起きなかった。ハルキに案内され建物を出る。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
な、なんだこれは???
こんな巨大な建物は王都の城くらいだぞ!
もしかすると城をも上回っているかもしれん。
「この建物はホテルという宿になってます。」
そう言って建物の中に入っていくハルキ。もう茫然とついて行くしかない俺達。
「ニューべガスへようこそ!」
出迎えてくれたのはエルフの女の子だった。
白いシャツに黒いスカート、ビシッとした彼女達が5~6人ほど揃って頭を下げてくれたのはこちらが恐縮してしまうほどだった。
ホールと呼ばれている大広間を抜け、最初に連れて行かれた場所はキラキラしていた。
「ここがカジノと言います」
ただ聞くしかない俺達。
「私達は2週間ほど前に転移陣の家を見つけた後はここでお金を稼いでいました」
なに??ここで稼いでいただと??
「試しにやって見せますね。まずこの銀行カードと言いますが、このカードにお金が入っております。あ、実際に入れてあるのではなく銀行に預けたお金をこのカードを通して使うという事です」
最初から何を言ってるのか分からなかった。
「つまりですね、沢山のお金を持ち歩かずにこのカードさえあれば、この町では買い物から宿泊、食事からギャンブルまで全部できるのです。」
おぉ、なんだか便利なカードだってのは伝わった。
「そしてこのカードにはカジノで使えるコインも入れる事が出来ます。そのコインを使ってゲームで遊ぶのです。そしてゲームに勝つとお金がもらえるんです。」
なんだと?遊んで金が貰えるだと?そんな話がある筈ないだろう・・・
「では最初はコインでやった方が分かりやすいので、ここの機械にお金を入れてコインを買います」
そう言ってハルキは鉄の箱にお金を吸いこませる。するとジャラジャラとコインという金に似たものが出てきた。
それを俺に渡してくる。
「この鉄の箱の穴の所にコインを入れ、横の棒を倒すと絵が回り出します。その絵が揃えばコインが貰えますよ。絵の種類によってコインの数が変わります」
穴にコインを入れる。通行券を買うのと同じような穴だ。入った。横の棒を引き倒す。そんなに力を入れるなと怒られた。俺の方が先輩なのに・・・。
ぐるぐると回る絵達。5秒もすると勝手に止まる。光り出す鉄の箱。
「おぉ、いきなり当たりましたね。さすが!この絵が揃ってるじゃないですか。なので2枚払い戻しですね」
当たったらしい。でもコインが出てくる音はなんかワクワクする音だった。
その後5回は揃わず6回目の棒倒し。ピカーン!!光った。
ジャラジャラジャラ!いっぱい出た!
「また当たりましたね。この絵ならここに書いてある15枚ですね!」
ここに書いてある絵でそろえば、隣の数字の枚数が出てくるのか。
777なら100枚も出るのか!
7回外れの後の8回目。ピカーン!光ったーーー!
ジャラジャラー 20枚出てきた。なんだか面白くなってきたぞ!
「おぉ、ジョーさんいいですねー。コインが最初の20枚から倍の40枚になってますよ。銀貨1枚で20枚もらえるので今は銀貨1枚儲けてますね」
なに?たったこの時間で銀貨1枚だと?10分もやってないじゃないか。
1時間もやったら大銀貨くらい稼げるのか・・・・これは確かに稼げるぞ!!
しかも命の危険もなく稼げるんじゃないか!
その後はハルキに止められ次のゲームを教えてもらった。
一緒に来た50人はいつの間にかハルキ達のPT5人に10人ずつ付く形で別々に説明を受けていた。
次にやったルーレットは1回も当たらなかった。
玉を入れるエルフのお姉さんがとてもかっこよく見えた。
次のブラックジャックというものもルールが難しく1回も勝てなかった。
いや途中で1回勝ってコインを貰ったのだがどうやって勝ったのかよくわからなかった。
バーストという言葉だけは覚えた。
その次にビンゴというゲームをした。
目の前に大きな透明の玉があり、その中でさらに小さな玉がクルクルしている。
そのうちの1個の玉が仕組みにより取り出され、そこに書いてある数字を揃えていくのだ。
そして目の前には”もにたー”?というものがありその中に数字の書かれたマスの様なものが映っている。
その中の数字が選ばれた数字と一致するとマスがチェックされていく。
これがなかなか面白かった。最後の1個がなかなか揃わないのだ。
あと1個、あと1個と待ってるうちに他の人たちが次々と「ビンゴ!」と叫ぶ、すると派手なランプが付いていく。
結局そのゲーム内ではビンゴと叫ぶ事が出来なかった。
ハルキもう1回やろう?お願いもう1回!
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