第8話:アカシックレコード
※小説家へなろうへ移植する際、エキサイト翻訳の英文追加を行っておりますが、 今回に限っては英文なしと言う方向でお願いします。
(エキサイト翻訳が上手く訳してくれない為)
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2015年5月7日午前1時49分付:行間調整、前書きをコンパクト化
アカシックレコード、それはありとあらゆるものを収めたデータベース。あるいは予言の書と言われている。
この世界のアカシックレコードと言えば西雲冬真の口癖でもあるのだが…。
彼女は、一体何を知っているのか?
そんな中で、超有名アイドルとも無関係な1つの事件が、思わぬ所でアイドル・クラッシャーとつながる。
意図的に消されていたパズルのピースが姿を見せる瞬間は、刻一刻と迫っていた。
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西暦2014年5月9日午前10時、タイムライン上の話題は1つのニュースに集中していた。
【知ってた】
この一言に集約される話題のニュース、それはIKS47の目的だった。
「我々の目的、それは日本のコンテンツ業界で全ての歪みとなっているBL勢の根絶である。彼女たちを駆逐する事、それが日本にとっても有益なのだ」
これは新聞記事の物らしいが、九音玲二のコメントと言われている。
掲載されたコメントが本人による物なのかは定かではない。確かなのは、IKS47の公式ホームページにも同じ文章が掲載されている事だけ。
【IKS47の目的は、やっぱりBL勢の根絶だったのか?】
【全てがBL作品やカップリングだけを求める思想で支配された世界。結局、BL勢も超有名アイドル勢もディストピアを目指していたのか】
【IKSも加担する芸能事務所も全滅させるべきだ!】
【BL勢には裁きを!】
【利益だけを求める勢力には、神の鉄槌を!】
IKS47の正体が判明した頃には、BL勢及び超有名アイドル勢に対して永久追放を求めるような抗議集会が開かれるのでは…と言う位の状況になっていた。
同刻、北千住のアミューズメント施設に到着したのは鉄仮面の人物である。
「ネット上は大変な事になっているか」
彼が懸念していたのは、IKS47の目的でもなければ、ネット上で始まっている超有名アイドルの根絶を宣言するような行動である。
「どちらにしても、これで有利に進む勢力は1つしかないが…」
アミューズメント施設も開店時間となり、彼はスマートフォンをしまう。その後、彼が向かったのは1階にある麻雀ゲームコーナーだった。
しかし、彼は麻雀コーナーへ行った時には15台ほどある筺体がすべて埋まっていた。
音楽ゲームや格闘ゲーム等で開店早々…と言うのは良くあるケースなのだが、麻雀ゲームで混雑と言うのも珍しい。特に大きなイベントもないはずだが。
仕方がなかったので、別のマージャンゲームでは空席もあるが…このゲームのカードしか持っていなかった為、空席が出るのを待つ事にした。
その間、先ほどしまったスマートフォンでネットのまとめサイトを見ようとしたが、ここで妙な画面が表示される。
「回線がつながらない訳ではないのに…?」
麻雀ゲームの方を確認すると、そちらの回線は無事だった。何故、スマートフォンだけピンポイントに回線が切断されているのか?
気になったので、2階の音楽ゲームや他にもネットワーク機能を持っているゲームを確認するが、こちらも影響はない。
「このスマートフォンのメーカー限定なのか?」
更に気になったので、予備のスマートフォンをカバンから取り出して確認をする。こちらは、違うメーカーの物である。
「やっぱり…」
電源を入れた後、普通にスマートフォンが立ちあがり、電波状況を示すアンテナも3本になっている。どうやら、メインのスマートフォンが壊れているのか、あるいは該当メーカーでトラブルがあったか。
同じ頃、鉄仮面と同じようにスマートフォンにトラブルが発生する不具合は全国各地で起こっていた。
【今、A社のスマートフォンで大規模な不具合が起こっているな】
【A社はシェア3位だったか? シェア1位のスマートフォンでは不具合が出ていないが】
【不具合と言っても、電波障害程度の物ならば特に問題はないだろう。しばらくすれば復旧するはず】
【ところが、そうでもないようだ。ニュースを確かみてみろ】
【? 確かめてみろじゃないのか?】
【慌てて入力した関係でミスを確認せずに入力してしまったようだ】
原因は不明だが、シェア3位のメーカー製のスマートフォンで障害が起こっているようだ。中には、アンテナショップへ駆け込むユーザーもいたらしい。
この不具合に関しては1時間後に一部以外で復旧したのだが、原因に関しては『調査中』として明らかにはしなかった。
一説には〈同業他社の妨害〉や〈BL勢が超有名アイドルをCMに起用する会社へハッキングを仕掛ける〉等の説が浮上したが、どれも憶測の域を出ない。
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5月9日午前11時30分、トップニュースは誰もが例のニュースを予想していたが、別のニュースがトップに変わっていたのである。
『最初のニュースです。国際流通正常化組織の幹部と名乗る人物が、超有名アイドルのCD大量転売を行っていたとして逮捕されました』
ニュースの内容は、国際流通正常化組織の幹部と名乗る人物が、オークションサイトで超有名アイドルのCDを大量に転売していたとしてアイドル規制法違反で逮捕されたのだという。
【国際流通正常化組織? 昨日あたりでニュースになっていたような…】
【どうやら、便乗商法的な何かをしようとしたらしい】
【そして、最終的に捕まったと】
【だが、実際の国際流通正常化組織も同じような事をしている話がある。100万単位でCDを購入し、握手券等を高額で売りつけるとか】
【国際流通正常化組織は海外の組織ではないのか?】
国際流通正常化組織に関して、さまざまな疑問が浮上する。中には、掲示板でどんな組織なのかを尋ねる質問をするネット住民が後を絶たない。
その中でも、一番の反響があったのは、この意見だった。
〈国際流通正常化組織は海外勢力と見せかけた国内勢力。実際は海外が超有名アイドルの輸出に猛反対している現状が、このような紛らわしい組織が出来たのだと思う〉
〈実際、違う名称だが海外勢力が日本の市場調査をする目的で来日しようと考えていた一団が、海外の空港で日本への来日拒否をしたというニュースがあった〉
〈おそらくは、超有名アイドルの輸出禁止を政府へ提言する為の特使的な思い込みで、来日拒否という流れになった可能性が高い〉
ちなみに、この記事が書かれていたのは音楽業界グローバル化を訴える組織のブログだが、コメント欄では賛成派と反対派の意見が入り乱れて入るものの、炎上と言う状況にはなっていなかった。
同刻、西新井にある自宅でニュースを見ながらラーメンを食べていたのは、西雲冬真だった。今回は、メイドではなく巫女装束を着ている。
「やっぱり、アカシックレコードの予言と同じ道を歩もうとしている」
テーブルには、ラーメンの入ったどんぶりと餃子、急須で入れた緑茶の入った湯呑みが置かれている。それ以外にはテレビのリモコンのみで、一応片付いている気配だった。
「音楽業界の共存は出来るはずなのに〈歩み寄る姿勢が見られない芸能事務所〉、〈芸能事務所のやり方に不満を抱くファン〉、その他の勢力が争っているようにも…」
西雲は何かを考えつつ、ニュースを付けたままの状態で餃子に手を付けようとしていた…。
『次のニュースです。午前から一部で障害が発生していたA社の携帯電話及びスマートフォンに、設計図にはないチップが使用されていた件について―』
このニュースが流れた途端、西雲は手につけようとした餃子を皿に戻し、別のテーブルに置かれているノートパソコンを起動させる。
「あの会社が使用していたチップ、それはアカシックレコードに書かれていた予言かもしれない」
パソコンで西雲が開いたファイルの正体、それこそがアカシックレコードだった。
「インフィニティ・ピースの地点で気付くべきだったのか、それとも偽のイージスが現れた地点で答えは出ていたのか?」
クラウド=ノエルが手に入れたとするインフィニティ・ピース、それと似たような技術が気づかない内に色々な物に導入されていたとしたら、それこそ大惨事を招くのではないか…。
設計図にはないチップに関して、メーカー側では〈我々が持っている設計図とは違う〉と記者会見で答えている。
(あの設計図は、あっさりとコピー出来るような代物ではない。だとすると、どのタイミングで…)
西雲が設計図に対して疑問に思う個所があった。それは、すり替えたタイミングである。部品の発注をする地点なのか、組立ての地点なのか、パーツの不具合調査の地点なのか?
その一方で、記者会見に姿を見せた男性スタッフは、一連の設計図に関して、こう回答していた。
『この設計図自体が他のメーカーへ流出していないか確認したが、そうした事実はないという回答をもらっている。すり替えたとしても、どのタイミングですり替えられたのか見当がつかない』
最終的に警察へ事件性が高いとして通報、犯人の逮捕と真相の究明を急ぐ事を約束した上で、ネット住民に向けて、こう切り出した。
『この事件をBL勢や超有名アイドルの仕業としたり、炎上ブログやアフィリエイト系まとめサイトの仕業等と書くような愉快犯が出ないとは限らない。ネット上の情報を含め、改めて情報を見極めて行動してほしい』
スタッフがIKS47の事を知っていたのかは不明だが、不用意に偽の情報を流して情報網の混乱がした場合、そこから大きな事件が起こらないとは断言できない。
そうした事もあって、正式な情報ソースが出てくるまでは様子を見てほしい…と言う事だった。
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5月9日午前12時30分、各所で行われている予選も妨害がされることなく順調に進んでいる。
チートジャマーの効果かどうかは不明だが違法パーツの持ち込み率が10%を切っているのは非常に大きい。
しかし、それでも違法パーツを使ってでも勝利を得ようと考えるプレイヤーが存在している事は事実だった。
その中で北千住で行われている試合、そこでは今日ネームドと噂されているチーム・メガブレイドとチーム・2課ポリスが試合を行っている。
「さまざまなチームが戦果をあげる中、2課ポリスが出遅れている気配がする」
観客の一人は2課ポリスが不調なのでは…と実際の試合を見て感じていた。メンバー数では、2課ポリスの方が2倍という差を付けて有利のはず。
「チーム・メガブレイドは、メガブレイドと言う人物と同じようなパワードスーツを装着したメンバーで構成されている―」
彼らの実力は、決して見劣りするような物ではない。
「チーム・サイクリングやチーム・スイミングには勝っているのに、何故、2課ポリスは注目されないのだろう?」
しかし、BL勢と呼ばれるチームには勝っていても、イージス単独、チーム・パンツァー、チーム・アリスには敗北をしている。
「彼らの技術が劣っているのであれば、最新鋭技術を使っているチーム・サイクリング等に勝っている理由はどうなる?」
技術の差はメガブレイドも一緒で、2課ポリスの方が彼らより数段技術的な部分は上だ。
「そうなると、彼らが負け続ける傾向にある原因は何だ?」
今まで試合を見ていた鉄仮面の人物は、彼らに足りない物は何なのか…真剣に考えていたのだが、試合を見ていて次第に分かってきた。
〈アイドル・クラッシャー終了。チーム2課ポリスリーダー機撃破に伴い、チーム・メガブレイドの勝利となりました〉
結論から言えば接戦だった。敗北の原因があるとすれば、お互いに譲れない物があり、わずかな迷いで敗北した…と言う路線だろうか。
『こちらとしても、譲れない物がある。そして、世界を変える為にも必要な事もある』
SFファンタジーと思わせるデザインをした金色のパワードスーツ、彼の名はメガブレイドという。これは、おそらくコードネームだろう。
「譲れない物、それはBL作品の根絶か?」
2課ポリスのリーダーがロボットに乗っている状態からメガブレイドに尋ねる。そこから帰ってきた答えは、意外な物だった。
『そんな事をしても、悲しみと憎しみの連鎖を生み出すだけだ。本来のアイドルコンテンツからはかけ離れるだろう』
メガブレイドはメットを外すようなしぐさは一切取らず、彼に一言を告げた。
『アイドル・クラッシャーを純粋に続けたいと思うのであれば、本戦へは進まない方がいい』
その数日後、チーム・2課ポリスは獲得ポイントの差もあって予選敗退となった。
実際は出場辞退を考えていたらしいが、それでも辞退するよりも全力で戦って敗北した方が…というメンバーの意見もあったらしい。
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5月9日午後1時30分、西雲はようやくアカシックレコードの予言を解読する事が出来た。
〈全ての物には光と闇が存在する。光のみが存在する世界、闇のみが存在する世界は成立しない〉
〈世界のトータルバランスが崩れる事、それは世界の破滅を意味している〉
〈アカシックレコードにおけるトータルバランス、音楽業界、コンテンツ業界、産業界等を示す〉
〈全ての業界が手を取り合い、WIN-WINと言った方法を取る事が一番理想とされる〉
〈しかし、それを良く思わない勢力が現れるのは事実だろう〉
〈一方で力で全てをねじ伏せる方法が正しいのか? 対話によって解決する方法が正しいのか? あるいは、第3の手段を探すべきなのか…〉
予言と言うよりは何かのメッセージだろうか?
アカシックレコードには本物かどうか見分けがつかないような物、あからさまな偽物、どちらに該当するか線引きが難しい物がある。
この情報の選別を可能にするような存在、それを密かに生み出そうとしていた計画があった。それは超AI計画である。
イージスに搭載されたイージスAI、それはアカシックレコードの情報選別を目的にして作られた物だったのだ。
そして、それとは別にアカシックレコードの一部を抜き出して制作された物、それがインフィニティ・ピースである。
「アイドル戦争の記述もなければ、アイドル・クラッシャーの記述もない。どういう事なの?」
約10年前、西雲が大型サーバーであるアカシックレコードを埼玉県鷲宮で発見した時は、これさえあれば超有名アイドル商法が広まった原因を解明できる…と彼女は考えていた。
しかし、実際にはアイドル戦争を連想させるような記述も、アイドル・クラッシャーを思わせるようなルールリストも発見できなかった。
結局はアカシックレコードを手に入れたからと言って、アクセス出来ると思い上がってしまったのか…。
その過程で超AIやイージスをアカシックレコードの中に記されていた設計図を参考にして完成させたのである。
その後、イージスを彩月ハルトへ引き渡したのも、2年前に水上沙夜にイージスの置かれている場所を教えたのも彼女だった。
「やがて、私は超有名アイドル商法の広まった原因を調べていく内に、これを根絶しなければ…と考えた」
彼女は情報を整理していく内に、キーボードを叩く指が震え始めている事に気が付いた。
「超有名アイドルは、過去にキサラギと何度も交戦をしたという。中には超有名アイドルが勝った時もあっただろう」
次第に、彼女は何かに取りつかれるかのようにデータを調べる。その過程で、彼女は衝撃的な記述を発見した。
「これが、アカシックレコードの正体?」
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5月9日午後1時35分、西新井のガレージでは水上がガレージの外でスポーツドリンクを片手に周辺を散歩している。
彼女がノーマルスーツを着たままなのは、後で出撃をする予定があったからだ。基本的に、アイドル・クラッシャーでは乱入を認めてはいるのだが…今は予選最中である。
イージスが予選通過をするのはほぼ確実で、乱入等でポイントを稼がなくても問題はない。
「後、1週間で2次予選。その後でメンバー数次第で3次予選、4次予選と行って、それから本戦」
水上の右耳にはインカムが付いている。このインカムでイージスAIと離れていても会話が出来るという仕組みらしい。
《本戦の優勝者には、称号が与えられるという話ですが》
「その称号は、次期内閣総理大臣…」
《それは、アイドル・クラッシャーで獲得しても良い物なのでしょうか?》
「分からない。でも、その称号に釣られる形で無数の犯罪者を逮捕している。それを考えると罠の可能性もあるかもしれない」
水上は次期内閣総理大臣の称号に関して、全く興味がないような表情をしている。
しかし、イージスAIがアイドル・クラッシャーの賞品にしても良い物か…と尋ねると、分からないと答えた。
『整備の方が終了した。それと、緑色のイージスが現れたという情報があった』
スタッフからの連絡を聞き、水上はイージスのガレージへと駆け足で戻る。
同刻、業平橋と呼ばれているエリアでは、アーミーを思わせるような強化装甲を装備した軍隊を思わせるチーム・トルーパーと緑色のイージスが交戦していた。
〈あれが4体目のイージスか?〉
〈黄色のイージスが北千住に姿を見せたが、あちらと関係があるのか?〉
〈とにかく、イージスはリーダー機も兼ねている。あの1体を撃破すれば終わる〉
トルーパーリーダーと思われる白い右肩の人物が他のメンバーのチャットログを確認する。
「既に10名が倒され、残りは10名。相手がイージスでは、勝ち目が薄いのか?」
トルーパーリーダーは今までにも強豪チームをメンバーの退場なしでのパーフェクト勝利を続けていたのだが、ここで記録はストップしてしまった。
「記録は、また新しく作ればいい。今は予選ポイントを何とか獲得しなければ…予選通過にも不安が残る」
赤い左肩という、何時もは無口なトルーパーもリーダーを自分なりに励ます。
「そうだな。記録にこだわるあまり、全てを失う事になっては終わりだ。今は、予選ポイントを出来るだけ獲得する事に集中しよう」
そして、トルーパーリーダーは残るメンバーに集合の指示を出し、1点集中でイージスを叩くという行動へ出る。
《敵勢力が1か所に集まっているようですね。ここで、ドカーンと行きますか?》
イージスAIと言う事もあって能力はトップクラスのスペックを持つ。オリジナルのコピーではなく、オリジナルと基礎部分は同じでも人格は別である。
『1か所に集まっているという事は、集中攻撃を仕掛けるという事だ。油断をするな、イージス』
ハルトは彼女のテンションに慣れたとはいえ、黒いイージスとは別物と言う印象には変わりがない。
《了解しました!》
そして、緑のイージスは1か所に集まっているのが10人全員と確認後、一斉射撃で攻撃するのだが…。
同刻、綾瀬エリアでは1つの集まりがあった。勢力としてはバラバラだが、彼らは違う人物に呼ばれてきたのだ。
「我々が倒すべき存在、それはクラウド=ノエルに他ならない」
背広に狼の覆面と言う姿の若い男性が、拡声器を持って集まったメンバーに訴える。
「九音玲二は倒すべき存在と言うには弱い存在だ。彼は、芸能事務所に利用された操り人形にすぎないだろう」
この話を聞いた時、周囲の人物が動揺し始めた。九音玲二も倒すべき存在のはずなのでは…と。
「最終的に倒すべき人物はクラウド=ノエルになる。そして、アイドル・クラッシャーの参加者に集まってもらったのには理由がある」
背広の人物は、呼吸を少し置いて宣言をした。その宣言は、周囲の人物に衝撃と動揺を与えるには充分な物だった。
「クラウド=ノエルの所属するチーム・クラウドを倒してほしいのだ。倒した勢力には、こちらから賞金を出す予定だ」
本来であればローカルルールでも運営が認めた事例以外での賞金導入はルールとしても禁止されている。
「運営以外が賞金を出す事は禁止されているはずだが、何処から賞金が出るのだ?」
別のチームメンバーらしき人物が、質問をする。他の人物も同じことを思っている。その中で、彼は驚くべき発言をしたのだ。
「確かに、個人で賞金を出す事は禁止されている。そんな事をすれば君達も職を失うだろう。しかし、IKS47メンバーには別扱いで賞金が設定されている。これが意味する物は分かるだろう?」
背広の男性は、若干不敵な笑みを浮かべながら周囲のメンバーに説明をする。
「クラウド=ノエルこそIKS47を歪めた張本人、コンテンツ業界を脅かすであろうインフィニティ・ピースの力を振り回すだけの存在だ!」
「そして、アイドル・クラッシャー以外で彼らを倒そうとすれば、君たちは警察に捕まるだろう。それも、ルールで決まっている」
「残された時間は少ない。我々は、コンテンツ正常化の為にもクラウド=ノエルを止めなくてはいけないのだ」
そして、周囲からは歓声が聞こえる。会場には200人弱だが、かなりの精鋭が集まっているように思える。
【あの狼の人物、もしかすると九音玲二かもしれない。どうやら、彼もIKS47に利用されていた悲劇の敵役かもしれない】
彼の正体が九音玲二だという事が発覚したのは、このコメントと添付された写真がネット上に拡散してからだった。
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次回予告
九音の立ち上げたIKS47、IKSの目的を見極めた上で離脱したクラウド=ノエルは目的は違えど、取っている手段は一緒に感じられた。
一方で、業平橋では緑のイージスがチーム・トルーパーとの戦闘を展開している。
更には水上のイージスも別の場所へ向かう。本戦を前に、大きな争いが始まろうとしていた。
そんな中で1人の人物が発見したメールの正体とは?
次回、連鎖のアイドルソング『チェーンカッター』
「超有名アイドル商法の連鎖を断ち切れるのは、誰なのか?」
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