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KerBerryz01

「オフ会?」

 いつもの女子三人組は、ログインしてきたばかりの広人を取り囲むようにして座ると、いきなりこの話題を始めた。何故か三人とも色違いのジャージを着ていたのだが、その事を広人が質問する前にオフ会をやろうと言ってきたのだ。

「4人で?」

 合わせたように三人は首を縦に振った。


 一ヶ月前のアップデートで、マグナスキルオンラインにはハウジング機能が追加されていた。

 中央都市アデルの南側に住宅地区が設置され、多くのプレイヤーが活動拠点を移すことになった。

 当初四人はそれぞれ一軒家を購入する予定だったが、お金を出し合うことで、見た目と利便性の良い二階建ての邸宅を購入することになった。ギルドハウスなるものもあったのだが、ギルドメンバーのみ閲覧・書き込み可能な掲示板機能と倉庫機能だけということと、何より学校の部室のような狭さから、その購入は見送られた。

 一階にリビング兼キッチン、それと広人用のスペースが割り当てられ、二階は女子三人が使用することになった。

 それに合わせてギルドも作ることになった。固定メンバーが増えることがなかったため、連絡を取り合うだけならフレンド機能で充分だったのだが、ギルドに所属していなければ購入が出来ない家具があったことが大きな理由だった。

 ギルド名は「KerBerryzケルベリーズ」。もちろん彼女達が相談して決めたもので、広人は口出しを一切していなかった。どういう意味を持つのか広人は未だに知らない。

 

「ある意味マグナは部活動的なものだし、やっぱりリアルでの交流も必要でしょ」

 リナがいつにも増して、興奮した口調で言った。

「一緒に遊び始めてから半年以上経つし、みんなリアルだと同じ高校生だからっていう話になってね」

 ユナさえもこの話には、相当乗り気になっているようだった。

「でも男が俺だけっていうのもな」

「ほ~」

 三人は声を揃えると、広人に背を向け小声で話し始めた。

 広人を取り残した状態で、時折様子を伺うように振り返っては、笑い声を上げたりする。

 確かに彼女達とマグナでプレイを始めてから、差し障りのない程度にお互いのリアル事情について話すことはあった。広人が知り得た彼女達の情報と言えば、三人とも広人と同じ高校生であることと、リアルでも友達だということくらいであった。リアルでの彼女達を想像してみたことはあったが、現実では同級生の女子との交流ですら、皆無といっていいほど無縁である広人の想像力はたかが知れていた。

 最初にカナが向き直って広人に言う。

「とりあえず、黒氏の携帯メルアド教えて」

 いつしか広人のことを「黒氏」とカナは呼ぶようになっていた。不思議とカナの言葉に広人は逆らえなかった。キャラネーム変更も外見変更コスプレも元はと言えばカナが言い出したことである。

「三人ともスケジュール調整するから、執事君の都合のいい日で構わないよ」

 とユナが続ける。

「待ち合わせ場所と時間は、こっちで決めていいかな?」

 いつもより低姿勢ながらも、リナがまとめに入る。広人が躊躇する間も、考える時間すら与える気がまるでないようだった。

 半年ほど彼女達と同じ時間を過ごしてわかったことがある。

 

 三人娘は頑固だった。


 結局、日取りから場所に至るすべてを彼女達が決めることになった。

 オフ会は六月の第一日曜午後一時、場所は予約が取れ次第、直接携帯へメールするとのことだった。

 マグナスキルオンラインを始めて一度も狩りに出なかったのは、その日が初となった。

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