純情少女の告白
才花と別れた俺は獣をまきながら屋上を目指していた。用があるアイツはきっと絶対屋上に居る、俺の勘&才花の勘がそう告げている
しっかし、アイツ等の体力は何なんだ! 行事が始まってから二時間はとっくに過ぎているのに、追いかけてくる勢いが一向に収まっていない。どんだけチョコ渡したいんだよ・・・
女とはおそろしや
やっとで三階だ。一時間掛けて三階に向かうって、普通はあり得ねぇよ。ん? 背後から大量の足音、そして廊下の奥からも大量の足音が聞こえてくる。ちっ、先に潜んでいやがったか。お、良いところに視聴覚室ハケーン。
ススー・・・
忍者よろしく視聴覚室に避難する。視聴覚室は扉の小窓からしか中が見えないから、机の下に隠れれば死角になってアイツ等に発見されることも無い
『万里くんどこーー!!』
獣、視聴覚室を通過
騒ぎ声と足音が下に向かっていった。三階には居ないと踏んだか、見つけれなくて残念だったな!ダーハハハハハハ!!(顔だけにやけて心で大笑い)
「やっとで見つけたよ、万里くん」
机の下から這い出ようとした俺の目の前に、見慣れた顔があった。びっくりして机に頭を打ちそうになったが必死に抑える。なんで春海が此処に居るんだ?
取り敢えず、四つん這いの姿勢が腰に来はじめたのでさっさと出るとしよう
「近い」
「あ、ごめんね」
「ついでにドアのカーテン閉めれねぇか?」
「うん、ちょっと待っててね」
しゃがんでいた春海が立ち上がろうとするので、俺は床に目線を移した。この行為の意味は誰でも分かるだろ? 因みに、しゃがんでいた時は顔が間近だったので見ずに済んだ。シャッとカーテンを引く音が聞こえたので机の下から出て背伸びをする。嗚呼、背骨がパキパキと泣いている。アイテテテテ(TдT)
年は取りたくないもんだ
固まっていた体を捻っていると、春海が赤い顔で俺に近づいてきた。いつにも増して真っ赤っか、アレそっくりだ。茹でると足が丸くなって赤くなるアレ、酔っぱらいが踊り食いをやるアレだ。刺身にするとコリコリした食感が旨いんだよな・・・っと、話がずれ過ぎたな。それにしても、何事だろうか?
「万里くんに渡したい物があるの・・・」
「ん? なんだ?」
「これ・・・」
「チョコ?」
ハート型の綺麗なラッピングがされている。まさに女の子!って感じだ
「そそそ、それでね・・・」
「春海?」
「私と付き合ってください!!!お願いします!!!(≧Д≦)」
マジデ?
「・・・春海」
「うにゅーー・・・///」
「悪いな・・・」
「・・・・・・・・・」
「チョコは貰えねぇ。けど・・・」
真っ赤な、珍しい薔薇を、俺は春海に渡す
「気持ちは貰っとく、ありがとな」
俯いた春海を置いて、俺は屋上に向かった
「・・・分かってたよ。万里くんが、沙弥夏ちゃんの事が好きだって・・・」
解ってたから、知ってたから、私は告白したんだよ。絶対に、想いを伝えるって決めてたから
「だから、悲しくないもん。ほんとに・・・悲しくなんが・・・っく、ひっく・・・万里ぐん・・・ずぎだよぉ・・・」
「泣くな、元気出せ」
「ふえ・・・?」
頭を撫でる大きな手・・・。いつもと違ってキリッとした目付きの・・・
「辰っちゃん・・・?」
「隠れて全部聞いてた。こんな時に言うのも悪いけど・・・」
「・・・?」
「俺の恋人になってくれないか?」
「え・・・?」
「ずっと前から好きだったんだ。春海っちが万里の事を好きだって知ってからも。嫌いなら諦める。春海っちが・・・春海が好きなんだ!」
力強い意思の籠った目が、私をまっすぐに見つめてる
「辰っちゃん・・・。ありがとう」
「え?」
「私で良かったら・・・辰っちゃんの恋人になってあげる」
「春海・・・ぐす、ありがとう・・・」
辰巳くんは泣き出しちゃった。なんだかかわいい♪
「春海・・・」
「辰巳くん・・・?」
夕陽が差し込み始めた視聴覚室で、二人は唇を重ねるのだった




