告白
慌しい数日が過ぎた。通夜も葬式も俺には初めての経験で、俺は採寸もしていないサイズの合わない喪服を着てじっと過ごした。
「ふじのお陰で隆二は安らかな死ねたけん」祖母は泣きながら言っていた。
安らかに死ぬ権利があんな奴にあったのだろうか。俺はそれが面白く、くすくす一人で笑ってしまった。
俺はハッとさせられた。全く人の考えや想いを慮らずに、ただ自身の気持ちを優先させる浅はかさを、俺は少しくらいは参考にするべきだろう。
俺はどうして親父の手を取ってやったのだろうか。俺がその伸ばされた手を取らなくても、祖父母は仕方ないことだと思い、悲しそうな顔をしながらも俺の気持ちを尊重してくれただろう。
そうすることが善いことであると、俺が考え意識する前から真相的な心理でそう思っていたのだろう。そしてその善いことをなさねばならないと。これは俺が善良な人間だからではなく、狡賢い人間だからだ。裕福な国に生まれることができたから、人の善性に訴えかけるために善い行いをした。善い行いには善い行いで返そうとする余裕が、まだまだこの国の人たちにはある。これがスラムのような場所に生まれていればまた話は違ったはずだ。
……なんだかくだらないことばかりを考えてしまう。
「ジャスコよっちょくけえ?」
未だにこちらの方言にはまだ慣れない。
よって行くかい? ということだろう。俺は返事をしてニオンモールでようやくスマートフォンの充電器を買った。
爺さんと婆さんは色々と俺に買い与えようとした。服やら靴やら文房具やら。中華料理を食べて家に帰った。
客間に戻りスマートフォンに充電器を差した。電源がつくや否や、着信が鳴った。画面を見るとそれは嶋咲からだった。すぐに電話を取った。
「もしもし、どうしたの?」
「どうしたのって、こっちのセリフだよ。大丈夫なの? ここ数日連絡がつかなかったし、家に行っても反応がないし、いる気配もないしで本当に心配してたんだから」声は震えているような高揚しているような色々な感情が入り混じっていた。
「まあ、ちょっと色々あってさ」
「そんなのじゃ納得できないよ。ちゃんと説明して」
「親父が死んでさ。ゴタゴタしてたんだよ」
「……ごめん、無神経だったね」
「いや、気にしないでくれよ。まあ、色々思うところはあったけど、話した方が楽になれそうだし。聞いてくれるか?」
「ちょっと待ってね、泉さんにも藤村の無事を知らせたいから。一旦電話切るね」
嶋咲は通話を切ると三人のグループを作って通話を開始した。
「晶ごめんな、心配してくれてたんだろ?」
「……死んじゃったのかと思った」嗄れた声だった。
「生きてるよ。死んだのは親父でさ、ちょっとゴタゴタしてて、返事ができなかったんだよ」
「藤村くんのお父さんって……」
「死ぬのに怖気付いて、最後に会いたいってさ。身勝手な親父だよ」
二人は黙っていたのでこの数日の話をした。なるべく暗くならないように話したつもりだったが、二人にはそう感じてもらえなかったようで、俺を随分と心配していた。
「それで、明日朝イチで帰ろうと思ってるから、二人に会いたいんだけどいいかな? 精神的にも参っちゃって、二人の顔が見たいんだ」結局素直に言えばよかったのだ。
「うん、いいよ」
「ええ、わかった」
二人とも了承してくれた。
明日の予定を決めて電話を切った。俺は今、分岐点の前に立たされていることを思い出した。ある一つの想いを決めた。もうどうなってもいい。なるようになれ。明日のことは明日の俺に任せようと思った。
帰りの飛行機は穏やかな気持ちだった。今度は窓側に座り窓からの景色を楽しんだ。
見慣れた駅に着いた途端に緊張し始めた。あまりにも無謀なことをしようとしているんじゃないかと思う。誠実さのかけらもないし、二人に軽蔑されてしまうだろう。軽蔑で済めばいいが、それ以上の負の感情を持たれるかもしれない。俺は足踏みするような気持ちだった。
「あれ、藤村くん? 久しぶりだね」
ぼんやりと歩いていていると、声をかけられて顔を上げた。中学の同級生の津島さんだった。彼女は俺が陰口を言われている時に、陰口を言う女の子を咎めてくれるような正義感に溢れる優しい女性だった。俺はその話を又聞きした時にどれだけ嬉しかっただろうか。
「ああ、久しぶりだね」俺はそんなことを思い出し笑みを浮かべた。
「……なんか窶れて元気なさそうだけど大丈夫?」
「ちょっと、贅沢な悩みがあってね」
「何、お昼ご飯ラーメンにしようかハンバーグにしようかって?」駅構内の飲食店を指さして笑って言った。
「まあ、そんなとこだよ」女の勘は鋭いもので苦笑いするしかなかった。
「どっちも食べればいいじゃん」
「そんなことしていいのかな?」
「いいじゃん。誰にも迷惑かけるわけでもないんだし」
「そうだよな。確かに、俺はちょっと悩み過ぎていたのかもしれないな」
「そうだよ。男の子なんだからそれくらいヤンチャしないと」
「ありがとう、津島。そうだよな、そんくらいしないとな」俺は決めきれずにいた選択を決断した。
俺が笑ってみせると、彼女も訳が分からなそうに取り敢えずという感じで一緒に笑った。
家に帰り掃除をした。二人は今から一緒に来るという。
うじうじ時と考えている間にも時間は過ぎ、二人はやってきた。たかが、数日会わなかっただけなのに、久しぶりに会ったような気がした。
「悪いね、わざわざ来てもらって。上がってよ」
二人は妙によそよそしく、黙って目を合わせ「お邪魔します」と入ってきた。
俺はお茶と土産で買ってきたざびえるというお菓子を用意した。
「これ、お土産だから食べて」
「ありがとう」
「いただきます」
「大分っていいところでね。海を見ながら温泉も格安で入れるし、飯も美味くてさ自然も豊かで人もみんな親切でさ」
「……藤村、辛い時に無理して明るく振る舞おうとしなくてもいいからね」嶋咲は俯きがちに呟いた。
「確かに複雑な気持ちだけど、本当に辛いわけじゃないんだ。俺は親父の図々しさを見習おうとさえ思った。だけど見習おうと思って心決めたって、自身がいきなり変わるわけじゃないからね。俺が無理して明るく振る舞おうとしてるように見えたのならそれは違くて、今からの言動が二人に受け入れられるかという不安から、おかしくなっているに過ぎないんだ。二人は俺の今から言うことに、自らの心に従って素直に答えて欲しい。その結果、ー俺を軽蔑し失望してくれたって構わない。ただの俺の我儘なんだ」
二人は黙って俺を見つめていた。二人も俺がなんて言うか、凡その察しがついたのだろうと思う。嶋咲は未だに俯きながら視線だけをこちらに流し、晶はまっすぐに俺を見据えている。
心臓の鼓動は早まるばかりだった。この言葉を口にすれば、二人との築き上げた関係が一瞬にして無くなってしまうかもしれない。額に滲んだ汗を拭った。二人は俺の言葉待っている。
「俺は二人が大好きで愛しているんだ。二人とも、俺と付き合ってくれ」
頭を深く下げた。二人がどんな表情をしているのかも分からない。もう後戻りはできない。目を瞑って二人の返事を待った。その時間は永遠のように感ぜられた。
「ありがとう、私も藤村くんのこと大好き。私からも二人によろしくお願いします」
晶が恥ずかしそうな嬉しそうな声でそう言ってくれた。俺は嬉しさのあまり顔を上げた。晶はにっこり笑ってくれた。そして二人で嶋咲を見た。
「……ごめんなさい」
嶋咲は俯き、視線も落としていた。俺は何も言えなかった。こんなに堂々と二股させてくれと言われて受けれてくれた晶の方が余程おかしいのだろう。俺は嶋咲にかける言葉を持っていなかった。
「嶋咲さんは藤村くんの言動に幻滅しちゃったの?」
俺は言葉を持っていなかったが、晶は代わりの言葉を持っていたようで俺の代理として尋ねてくれた。嶋咲は首を横に振っていた。
「そうだよね。藤村くんはずっと気が多くて色んな女の子を好きになっちゃうって自分で言ってたんだもんね。嶋咲さんはそれを聴き続けてもなお、藤村くんのことが好きだったんだよね。そんなことで幻滅するわけないよ」
嶋咲は言われて黙っていた。俺も晶の言葉に対して何も口を挟めずに見守っていた。
「別の理由でもう嫌いになっちゃったの? 付き合いたくないの?」逃がさない決意が感じられる気迫だった。
「……好きだし付き合いたいけど、泉さんに悪いよ」
「よかった、私に申し訳ないってのが理由なんだ。私は気にしないよ。それとも嶋咲さんは、藤村くんの愛を一身に受けたかった? そうだとするなら私が諦めるよ」
「それは駄目。二人で幸せになって欲しかったってこと」語気は強かった。
「じゃあ、三人で幸せになればいいじゃん」
「でもやっぱりおかしいよ、二人と付き合うなんて……」
「そうやって自分を不幸に追い込んでるほうがよっぽどおかしいよ」晶は嶋咲を真っ直ぐに見据えていた。
「いや、でも……」視線を落とした。
「分かった。三人で付き合えないなら、私も藤村くんと付き合わない。嶋崎さんが選ぶの。三人で幸せになるか、三人で不幸になるか」
「なんでそんなこと言うの? 意味が分からないよ」顔を上げ困惑した表情を見せた。
「藤村くんが二人に告白した時点で三人で付き合うか、もう付き合わないかの二択だったの。だってどちらか片方が二人で付き合ったとしても、同じクラスでもう片方と過ごさなきゃいけないんだよ。藤村くんだって学校で会うたびにそうだし、三人が顔を見合わせるたびに澱んだ気持ちになるの。それに耐えられる?」
「本当におかしいよ。ねえ、考え直して?」
「藤村くんもそれでいいでしょ」急にこちらに振り向いた。「もう連絡も取らないし、家にも来ないし、デートもしないし、ご飯も作らないし、えっちなこともしてあげられないけど」
「俺も男だよ。生きるか死ぬかで申し込んだに決まってるじゃん」
「ほら、後は嶋咲さんだけ。三人で付き合うか、孤独を取るか。選んで」
「……分かった、三人で付き合うから……二人ともよろしくお願いします」
晶は俯いて恥ずかしそうに言う嶋咲を横目に俺の背中を押して嶋咲とくっつけようとした。俺は背中を押されて嶋咲を抱きしめた。
「ありがとう、まこと。大好きだよ」
「……本当、調子がいいんだから」
まことも俺の背中に手を回してくれた。夢のようだった。夢の中ではいつも優しく俺を抱きしめてくれたが、今はこの手で抱きしめている。まことも力強く俺を抱きしめてくれている。身体の熱や柔らかさが伝わってくる。幸福が全身を駆け巡っている。
まことは手を離して俺も離した。
「でも、泉さんを大事にしなかったらすぐに別れるからね。そんなの私が好きになった藤村じゃないから」
「もちろん、二人とも大切にするよ」
まことはふっと笑い、俺の後ろを指さした。慌てて振り向くと晶が自分も抱きしめろと言わんばかりに両手を広げていた。
すぐに抱きしめた。
「ありがとう。晶のお陰で勇気を出せたよ」
「私も二人に告白した時、よくやったって思った。絶対に嶋咲さんを丸めこむぞって」無邪気に笑っていた。
「そうなの? もうその時から考えてたんだ」
「だって嶋咲さんってお堅いから。それに、この前あんな別れ方して、一番いい選択肢ってこれしかなかったじゃん。私も二人で付き合って言っちゃったけど、藤村くんのこと大好きだから家に帰って泣くほど後悔したし」
「そっか、色々ありとがね」
目を瞑って顔を近づけたので軽く唇を触れ合わせた。
「嶋咲さんが羨ましそうに見てるよ。してあげたら?」
「確かに羨ましいけど、私はちゃんと順序を守ってして欲しいかな」恥ずかしそうに。
その時俺と晶は顔を見合わせて笑った。
「何が面白いのよ」少しムッとしていた。
「違うの嶋咲さん。私たちも順番が滅茶苦茶で、本当は順序通りの普通の恋愛に憧れがれるなぁって」
「よく言うよ。誘惑してきたのは晶の方だろ」
「誘って欲しそうにしてたから誘ってあげたんだよ。そんなことも分からないの?」
晶は俺の胸を押して体重をかけた。俺はされるがまま横になった。
「ほら嶋咲さん。この枕なかなか上質だから一緒に休もうよ」晶は俺の左腕を枕にして横になった。
「いきなり押し倒して、エッチし始めるのかと思ったよ。なんか手慣れてるからさ」
「エッチなことはしたことがあるんだけど、エッチはまだしてないの」
「そうなんだ。もうヤリまくりなのかと思ってたけど、意外と健全なんだね」言いながら、俺の右腕を枕にして横になった。「なかなかいいかも」
「うん、まだ焦らしてるの」
右を向き、左を向いた。こんなに幸福なことがあっていいのだろうか。二人を抱き寄せた。
「あ、おっきくなってる」晶はニヤニヤしながらと。
「ほんとだ……」呆れたような表情だった。
「大きくならない方がおかしいだろ、こんなの」
「三人でしたいなぁって考えてたの?」
「そりゃあね、男の夢だよ」
「私、最初は二人でしたいんだけどな」
「最初はってことはいつかはいいんですか?」俺は右を向いて聞いた。
「そんなことばっかり言って」と右に向けた顔を手で押し返された。
「でもよかった。こんな可愛いくて内面も素晴らしい天使のような子が二人も彼女になってくれるなんて、俺はどんな前世でどんな徳を積んだんだろう。全然モテなかった少し前の自分に教えてあげたいよ」
「前世じゃなくて現世で徳を積んでたから好きになったんだよ。藤村、本当に優しかったじゃん。藤村に酷いことしようとした子にも手を差し伸べてさ」
「そんな嬉しこと言ってくれるの?」
「それに藤村のこと好きだって女子も何人かいたけどね」
「え、まじ、何人かいたの。誰?」
「言うわけないでしょ。でも、藤村に近づいてくる女の子多かったでしょ?」
「俺に近づいてくる女子はみんな楓目当てだと思ってたから。楓を遊びに誘う時はまず俺を誘うといいって、ライフハック感覚で喋ってる女子の会話を聞いちゃって」
「その楓って?」晶は興味深そうに聞いてきた。
「あぁ、俺の幼馴染の親友だよ」
「じゃあ私のことも紹介してくれるの? 藤村くんの友達のこと知っておきたいし」
「ああ、まあ考えておくよ」
「なんか嫌そうだね」左側からの圧力は強く、身体を密着させてきた。
「いや、俺は大切な物は自慢するんじゃなくて、そっと愛でたいんだよ」
「別に自慢のためにするわけじゃないでしょ?」
「それはそうだけど」
「吉乃に取られちゃうんじゃないかって心配なんでしょ?」まことは笑いながらずけずけと。
「……そういうこと」
「取られるわけないじゃん」身体を密着させたまま抱きついてきた。「私は……藤村くん専用の肉奴隷だよ」
「私も藤村の肉便器になってぐちゃぐちゃにされたいなぁ」くっつきその豊満な胸を押し当てた。
二人は俺を揶揄い馬鹿にする時だけ、目を見張るような連携を見せた。二人はクスクス笑いながら脚まで絡め始めた。
「ちょっとシコってきていい? もう我慢の限界だ……」
「二人も女の子を侍らせて、なんで自分でしてくるって発想になるわけ?」まことはふふっと笑った。
「順序を守って欲しいって言ったのはまことだろ?」
「そうだけど、藤村を虐めるのはノーカンにしといてあげるよ。もう我慢できないんでしょ?」
「虐めるって……」
「本当に意味が分からないのか、とぼけちゃってるのか。どっちかな?」まことは俺のシャツの中に手を伸ばし、爪先でカリカリと弄り始めた。俺の身体はびくりと跳ねると、二人は押さえつけるように身体を密着させ体重をかけてきた。「意味が分かった?」まことは薄らと淫靡な笑みを浮かべている。
「私も」晶は自分の人差し指を咥えて唾液で湿らした指をシャツの中へと忍ばせた。二人に弄られるたびに頭は麻痺するようで、あまり快楽から声が漏れた。「かわいい」と晶は囁いた。
「可愛いって言われとも男は嬉しくないけど」
「ダメ、かわいいから」そう言いなが笑っている。「下脱がせるから腰あげて」
焦らされ過ぎてお頭がおかしくなりそうだった。やっと触ってもらえるのかと思ってすぐに腰を浮かせた。晶にズボンとパンツを下ろされ、血液が集まり反り返った物が姿を表した。
二人はそれを凝視したのち二人で顔を見合わせていた。
「授業中とかパンツの中でこんなことになってたんだ。いつも大きくさせてたもんね」まことが薄ら笑いを浮かべて挑発するように。
「いつもって、気がついてたの?」
「そりゃあいっつも私の胸チラチラ見てたでしょ? 女の子はそういう視線に敏感なんだから。それで下の方を見ればね」
「そう言う嶋咲さんも藤村くんの勃起おちんぽじろじろ見てたんでしょ? むっつりカップルじゃん」
「そうだそうだ!」俺もここぞばかりに言い返したが、まことにギュッと強くつままれて黙らされてしまった。
「ねえ、今一緒になって藤村を虐める流れだったじゃん。味方から撃たれるとは思ってなかったんだけど」
「でも絶対藤村くんの前で胸を寄せたり、前傾姿勢になったり、胸が強調される服を着て会ったり、こっそり押し当てたりして誘惑してたでしょ?」
「してました!」俺が言うとまことは俺の一物の先っぽをデコピンで思いっきり弾いた。
「やっぱり、見せつけて勃起されて喜んでる変態だよ。今、脳内でぐちゃぐちゃに犯されてるんだろうなぁとか考えて濡らしてたんだ。むっつり女だ」
「泉さん、恥ずかしいからそれ以上は言わないで」
「じゃあ晶がエロ自撮り送ってくれたのも、やっぱり性的な目で見られたかったの?」
「そんなことしてたの? やめなよ泉さん。もし流出とかしちゃったら大変だよ」
「うん、だから顔は隠してた」
「そうなんだ。って話でもないけどね。でも泉さんの方がよっぽど犯されたがってるじゃん」
「それはそうだけど。私みたいな貧相な身体だと全然エッチな目で見てくれないし、嶋咲さんといる時は目が血走って胸ばっかり見てるから、そうでもしないと見向きもされないと思って」
「俺は晶をメッチャ性的な目で見てたし、よくシコってたけどね。あの写真が送られる前から」
「そうなの?」
「そうだよ、あのアイコンの画像の眩しい笑顔で。それに全然貧相だなんて思わないよ。水泳をやってて引き締まった綺麗な身体だと思ってるよ。今も脱いで欲しいし」
「そうやって煽てて脱いでほしいだけでしょ。でも今日はダメ、今は虐めてるんだから脱いであげない」
「そこをなんとか」
「駄目、今日は諦めて」
「はい……」
「ねえ、なんか先っぽから出てきてない?」まことは俺の一物の先っぽを見て言った。
「そりゃあ出てくるさ。これだけ焦らされるのは正直辛い」
「しょうがないなあ。嶋咲さんは竿と先っぽどっちがいい?」
「どっちがいいって言われても、初めてだから分かんないよ。竿は扱けばいいのはなんとなくわかるけど、先っぽって何すればいいの?」
「じゃあ、私が先っぽ虐めるから、嶋咲さんは竿を扱いてあげて」
「……分かった」
二人の手が触れた。まことの手つきは辿々しくとてもゆっくりで丁寧だった。触れられているのに、お預けを食らっているような感覚は辛くも心地よかった。しかし晶は繊細だが激しく、手の平で擦り付けたり、爪を立て優しく引っ掻いた。それに二人は未だ胸に手を乗せて弄っている。あまり長く我慢できそうになかった。
「ずっと汁が漏れ続けてるよ。気持ちいんだ」晶の手の平は俺の汁で穢れていた。
「晶お願い」俺は顔を晶の方へ寄せた。
「ほんと、ずるいんだから。今は虐めてるからダメなのに」
そう言いながらも晶は口付けをして舌を絡めてくれた。悪いとは思いながらも、まことの荒くなっていく鼻息が後ろから聞こえてくるのは背徳感が凄まじかった。
「もう、嶋咲さんもしちゃえば? キスって凄いんだよ。本当に」
「……結局こうなるんだ」嫌そうに言いながらも目を瞑って唇を寄せてくれた。
まことは最初何度も軽く触れるようにしてくれた。音を立てながら、本当に接吻をしているのだと、強く実感させるようだった。そして舌が入ってきた。まことは最初は控えめだったが、次第に激しくなり俺は貪られていると感じるくらいだった。まことはどうやら気に入ってくれたみたいだ。
「嶋咲さん、続けながらでいいから聞いて。もっと手の方は激しくして大丈夫だから。多分そろそろキスしながらイキたいと思ってるだろうし」
それを聞くとまことの扱く手が速くなった。俺は我慢するために腹と尻に力を込めた。
「もっと激しくても大丈夫だよ」俺が何も言えないことをいいことに好き勝手言っている。「もっともっと」楽しそうに。
晶は俺のシャツを捲し上げ顔を胸に寄せ、今まで指先で弄っていたところを舌を添えて舐め始めた。ショートの髪を耳にかけて、舐めている姿がよく見えた。
「いつでも出していいよ。私が受け止めてあげるから」あのいつもの妖艶な微笑みだった。
俺は空いた片手で晶の頭を撫でた。晶は甘噛みした。まことはどんどん手を激しくし、俺を追い詰めた。心拍数はあまりの速さに苦しく感じた。もう耐えられなかった。
事が済み力尽きてただ脱力し横になっていた。ゆっくりと深呼吸を続けていた。
「こんなに疲れちゃうんだね」まことは未だにゆっくりと搾り取るようにしてくれていた。根本からされるとまだ白濁とした液の残りが溢れてきた。
晶手は手の平にかけられた液の匂いを嗅いだあと顔を顰め、まことの顔に近づけてまことも顔を顰めた。晶はまた自分の顔に近づけて顰めっ面。
「そりゃあそうなるのはわかるけど、それ結構ショックなんだけど」
「ごめんね」ティッシュを手に取り拭き取った。
「呼吸も落ち着いて来たし、柔らかくなってきたね。ようやく落ち着いた?」
「そう言えば私、柔らかいの触ったことない。触っていい?」触っていいと聞く頃には既に握っていた。「こんな感じなんだね」
「また勃っちゃいそう」
「そんな節操ないわけ?」まことは驚いていた。
「もうちょっと時間はかかるけどね」
「そうなんだ」
「またしてくれる?」
「ねえ、順序通りしたかったのに。もうお構いなし?」
「仕方ないよ。藤村くんと付き合うってのはそういうことだよ。もう諦めるしかない」
「それもそうか」
二人は顔を合わせて笑っていた。
二人は俺を挟んで他愛のない会話をしていた。二人はもう三人で遊びにいく予定を立てていた。俺は握り締められながら目を瞑り、意識を遠くへ追いやった。あまりに色々な事がありすぎた。




