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12 特殊個体

☆前回のあらすじ☆

スナイパーは多くを語らないのだよ

鍋がグツグツ音をならす。


「勇者さま~なに入れます?」


「ああ、それならもうすぐ来るよ」


ワー!ワー!モッテキタ!


「キノコちゃんついてきたの⁉気付かなかった」


「オリスクは地面が舗装されていて菌糸を伸ばして移動することができないから迂回していたらしい」


「正気ですか⁉あとなんで勇者さまはキノコちゃんと当たり前かのように意志疎通してるんですか?」


「なんとなく」


「私ですらキノコちゃんに勇者さまの顔を見かけたら案内するよう伝えるのに苦労したんですが…」


「まあとにかくご飯にしよう」


「何を作ってくれるんですか?」


「うどんだよこの前のすいとんから学びまな板を買ってきた」


エルフの里に向かったときのように乾魚と塩でスープを作り、キノコちゃんの山菜を切っていれる。


「うどん生地は魔法小袋にいれて保存しておいたものがあるから伸ばして切って入れる」


「いいですねその魔法小袋、袋内の時間が止まっているみたい」


4人前の塩うどんが完成した。


「何かあったとき用に食器は5人分オリスクで買っておいたよ」


「ありがとうございます勇者さま」


「人間、私ももらっていいのか?」


ワーイ!ワーイ!ウマウマ!


「みんなで食べよう」


疲れた身体に塩分が染み渡る。ヴィスは縛られた手で器用に食べている。


「それで?ダークエルフさんはなんで攻撃してきたの?」


食べながら情報を聞き出す。


「私の名はヴィス。襲った理由は単に私の住む里が貧しくなったからだ」


「何故です?ここ100年は私の住む里との争いもなく平穏に暮らしていたはずですが」


「ここから北に数十km進むと一帯の植物が枯れている場所に出る。そのせいで山の恵みを利用できないんだ」


「わかった、行ってみよう」


「まあ、勇者さまがそう言うなら…」


食事を終え3人とキノコちゃんで森の奥に進む。


「なあ人間、これほどいてくれないか?」


「ああ」


ヴィスの縄をほどいた。そして3日程進むと徐々に周囲の木々が枯れているのを確認できた。


「何かあるんだろうけど全くわからん」


「勇者さま~ちょっと飛んできてくれませんか?」


「どうやって?」


「私が魔法で吹き飛ばすので、木に登って体が地面と平行になるような体勢をとってください」


「わかった」


荷物をおいて言われた通りに木に登り二股にわかれた場所で仰向けになった。


「全力で吹き飛ばしますね」


「風速40m/s以上あれば吹き飛ぶはずだよ」


「(私の魔力じゃ足りないな…そうだ!)」


ヴィスの手を握る。


「あぁ、そう言うことか」


ヴィスはアスペラに自分の魔力を送った。


「よし!いきますよ」


アスペラの杖の先の魔石が薄緑色に光輝き周囲の気流が乱れる。


「吹き上げる風!」


詠唱して杖を振り上げたと同時、とんでもない勢いの風が吹いた。そして一気にからだが空へと吹き飛んだ。


「お~高いな、でもなんとなく原因はわかった」


辺りを見回すと森は円形に木が枯れていることがわかった。そして重力に引っ張られ地面に落ちていく。


「エルフ!受け止めるぞ」


バキバキ!ドサッ


大きな木の枝によって勢いが落ち着いた体をアスペラとヴィスがキャッチした。


「お疲れ様です勇者さま、なにかわかりましたか?」


「森が円形に枯れていたここから北西に進むと中心にいけるはずだ。近くに大きな枯れ木が見えたからそこに行ってみよう」


ワー!ワー!


「キノコちゃんは枯れ木をよく食べますね…」


また3人とキノコちゃんで道の無い森の奥に進みついに見つけた。


「あれは~カルニボラフラワーですね、自分の知っているものと大きさが10倍ほど違いますが…」


大きな葉っぱが一周はえておりその真ん中に高さ4mほどの大きな壺型の花が咲いている。そして触手のように動く(つる)が2本見える。


「ちっ…特殊個体の類いか…」


「特殊個体?」


「勇者さまは知らないですよね、特殊個体というのは長い時間をかけ規格外の大きさに成長した魔物です。」


「1ヶ月前急に森が枯れたのはこいつのせいか」


ヴィスはカルニボラフラワーを睨んでいる。


「取り敢えず倒しましょう勇者さま!」


「わかった!」


アスペラは杖を握り、そして自分はブロードソードを抜いて突撃する。


シュルルルルッ!


カルニボラフラワーの2本の蔓がバネのような形になり、二人はそれに気付いた。


「マズい!」


シュッ! ドゴッ!


しかし高速で伸びた蔓がアスペラのあばら骨と自分の右肩の骨を砕き、後方へ吹っ飛ばされた。


「うぅ、痛い、回復頼む」


「わかった、温もりの火」


ヴィスの短杖に灯る小さな火の温もりで骨が治っていく。


「大丈夫ですか勇者さま?」


アスペラも癒しの風で自身の骨を治していた。


「ああ、大丈夫だ」


「よかったですでもどうやって倒します?」


「アスペラとヴィスの弓矢でどうにかならない?」


「やってみるぞエルフ」


アスペラとヴィスがそれぞれ自分の弓矢で攻撃してみる。しかし、花弁が想像より厚く効果があるようには見えない。


「ちっ…ダメか…」


「二人ともちょっと下がってくれ」


アスペラとヴィスが後ろに下がる。


「勇者さまなにする気ですか?」


「これだよ」


燃える水に布を突っ込んだ火炎瓶を見せる。


「くさタイプにはほのおタイプが有効だと相場は決まっている」


そう言って火炎瓶にライターで火をつけてカルニボラフラワーに投げつけた。


バチン!バチン!


カルニボラフラワーは蔓を使い器用に火を叩いて消してしまった。


「お手上げですねどうします勇者さま?3人で攻撃します?」


「3人で攻め込んでも蔓でぶっとばされるのがオチだろうね~」


あまり良い案が思い付かず日が真上に昇ってきた。


シュルルルルルル


するとカルニボラフラワーの蔓が花弁に巻き付き、さらに大きな葉っぱも花弁を守るように張り付いた。


「あの行動はなに?」


「わかりません、普通のカルニボラフラワーはこんな動きしませんから」


「…なるほど勝てるかもしれない」


伐採の始まりだ。

読んでいただきありがとうございます

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ヴィス

身長170cm 体重 58kg 属性 赤

固有魔法 無し

ダークエルフの戦士、ロングボウの扱いが上手い、100m以内ならほぼ確実に命中させることが出きる。赤属性だが魔法は弱く、接近戦も苦手。

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