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プロローグの勇者  作者: 黒板係
商港街編
13/77

13 除草作業

☆前回のあらすじ☆

めっちゃ強い雑草と戦闘中

カルボニラフラワーの特殊個体を倒すことに苦戦していたが、勇者はある1つの弱点に気がついた。


「おそらくあいつは熱に弱い」


「おい人間、さっき火炎瓶を試しただろ」


「違う、火ではなく熱に弱いんだと思う」


「どうゆうことですか勇者さま?」


勇者は小枝を手に取ると地面に簡単な図を描きながら説明を始めた。


「この立方体を見て、カルボニラフラワーの特殊個体は一般のカルボニラフラワーの10倍くらいの大きさって言ってたよね」


「はい、ですがそれと温度になんの関係が?」


「1辺が10cmの立方体があるとする。それが10倍の1辺100cmの立方体になるとき面積と体積はそれぞれ何倍になる?」


「それぞれ10²倍、10³倍だな…なるほど」


ヴィスはすぐにピンときた様子でカルボニラフラワーのほうを見た。


「気付いたみたいだね、そう、体が大きくなると体積に対する表面積の割合が小さくなり熱がこもりやすくなるんだ」


「勇者さま、だとしても他の特殊個体は熱に弱いなんて記録はありませんよ」


「その理由も説明できる。ヴィス、この森は1ヶ月前に急に枯れたんだよな」


「そうだ…」


「つまり、このカルボニラフラワーは何らかの理由で急に大きくなりすぎたんだ。だからこもる熱に対応しきれなかったんだ」


アスペラは話に飽きてだらけている。


「…勇者さま~難しい話は終わりましたか?」


「エルフ…お前バカだな、計算自体は義務教育の範囲内だぞ」


カルボニラフラワーはピクリとも動かない。


「なるほど、こいつは日が昇ってきたから日光が当たる面積を小さくするためにこうしているのか」


「まあ相手が動かないのはこちらとしても好都合だろ。作業に取りかかろう」


今回の作戦はいたってシンプルなものだ。カルボニラフラワーの周りの木々を伐採して広い火除地(ひよけち)を作り、切り倒した木の一部をカルボニラフラワーの周りにくべる。その後火をつけて弱ったところで倒すという作戦だ。


「早速取りかかろう」


ブロードソードを抜いて枯れ木を切り始める。しかし何度剣を振っても剣は木を切るための道具ではないのでなかなか倒すことが出来ず苦労した。そしてアスペラはそんな枯れ木を杖で破壊していた。


「(枯れ木とはいえ(かた)いな、アスペラの力は化物か?)」


勇者が苦労しながら木を切っているとヴィスが話しかけてきた。


「人間、何か木を切る道具を貸してくれないか?」


「それならこのナイフを貸すよ」


腰の後ろからナイフを抜いて渡す。


「ローブを身に纏っているヤツとは二度と戦いたくないな…何を持っているかわからん」


「へぇ~そう、あ、もっといいものがあった」


魔法小袋からロングソードを取り出して渡す。


「あとお前のせいでメガネかけているヤツとも戦いたくなくなった」


「ははっ、ゴメンゴメン」


みんなでキャンプしながら木を切り倒し続けそれを細かくし、カルボニラフラワーの様子を見ながら木をくべていく。2週間ほどしてようやく安全な火除地(ひよけち)が完成した。


「手が豆だらけだな…」


「勇者さま、治しますよ」


アスペラに回復されるのはとても心地よい。日が昇りまたカルボニラフラワーが動かなくなるのを待ち、くべた枯れ木に燃える水をかけた。


「キノコちゃんはしばらく魔法小袋に入ってて」


ワー!ワー!


キノコちゃんを朽ち木に乗せ魔法小袋に入れ、準備は整った。


「灯る火!」


ヴィスの短杖から放たれた火が燃える水に引火し一気に燃え上がる。カルボニラフラワーは火を消そうと必死に2本の蔓を叩きつける。カルボニラフラワーの分厚い花弁や葉には引火しないが、高温によって徐々に弱っていった。


「勇者さまやっちゃってください!」


「ああ!」


切りかかると同時、消火していた2本の蔓がこちらに飛んでくる。


「「させない」」


アスペラとヴィスの矢がボロボロになった蔓に突き刺さる。そして勇者が燃え盛る炎の中ロングソードで花弁の付け根を切断した。そして、カルボニラフラワーを無事に倒すことができた。


「とりあえず火が小さくなったら消火しよう」


火が落ち着いたのはそれから3日後の雨の日だった。


「これで一段落ですね」


「そうだけど1つ問題が…」


「どうかしましたか?」


「戦闘が長引いて食料が尽きた」


「一大事ですね」


「食料集めなら私が手伝おう、ついでにウラトまでの近道を案内してやる」


なんやかんやありウラトへ向かうルートに戻ると思いのほか食料は確保できた。キノコちゃんは山菜を、アスペラとヴィスは森育ちで狩猟が出来るからだ。


「(俺も頑張ろう)」


みんなが食料を集めて戻ってきた。


「勇者さま、その魚どうしたんですか?」


「釣った」


「どうやってですか?」


「木の棒と糸、水鳥の羽根、裁縫針を使って釣ったよ」


「水鳥の羽根をウキの代わりにしたのか、考えたな」


森での長いキャンプ生活も終わりが見えてきた。森からでると畑があり、まばらに家がありそしてウラトに到着した。


「おぉ!オリスクより都会だなぁ~電線の数が倍くらいあるし建物も3~4階建てが多いな」


「ここまで来たなら港まで送る、私もここに来るのは久しぶりだから少し観光したい」


「いいね、俺はお金が減ってきたからいくつかクエストも受けておきたい。あと配下帝についての情報収集もしないとだな」


「ヴィスは里のことはどうするんですか?」


「なんだエルフ心配してくれるのか?」


「いえ、せっかくカルボニラフラワーを討伐したんですから、早く里に帰ったらどうですか?」


「さっき電話一本いれたから平気だ」


「じゃあみんな別行動ですね」


新しい街ウラトでの滞在生活が始まる。

読んでいただきありがとうございます

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ロードウルフ

周囲の環境にあるものを狼の形にして操ることが出来る狼。怪我をしていない状態だったら主人公を圧倒していた。


カダバネズミ

菌をばらまくネズミ、本来は森で単独行動をするネズミだったが、人の街では集団で生活している。


カルボニラフラワー

生命力がとても強い花、本来は高さ40cmほどで自由に動く2本の蔓は外敵を追い払うことに使う。

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