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第15話 ロディ、フェイからの教え(2)

「ロディ、魔力の輪は出来ておるの?」

「はい。」


 魔力による索敵を教わっているのだが、まだ道は半ばである。・・・というか、半ばなのかどうかさえも判らない。できているのは魔力の輪を自分の体の周りに作るだけ。これでどうやって索敵をするのかわからない。

 それに対してフェイがロディに教える。


「その輪を少しずつ体から離していくんじゃ。ただし体を中心にして、円を確保しつつ、じゃ。」

「え・・・そうしたら魔力が薄くなりますよ。」

「薄くなっていくのは当たり前じゃ。しかし、円を切ってはいかんぞ。薄くなりながらも均一に、つながったままでじゃ。」


 フェイの指示は、円を大きくしながらも形を保つこと。大きくなるにつれその分魔力は薄く細くならざるを得ないが、それでも魔力の円を保たなければならないようだ。

 ロディは指示通り、魔力の輪を体から少しずつ、前後左右同じ速さで離していく。ロディは集中して魔力を操作しており、額には脂汗がにじんでいる。


「あ!」


 体から5mくらい離したところでロディの魔力の輪は一部が切れてしまい、それでロディの集中力も切れてしまったため魔力の輪はすぐに至る所でぶつ切りになり、一瞬で霧散してしまった。


「ふむ、5mか。最初にしてはまずまずじゃな。ひとまず20mを目標に練習するんじゃ。」

「は・・・はい。」


 ロディは輪を広げるべく集中していたため精神的に疲労していたが、フェイは容赦なく次の目標を指定する。

 最初の魔力の輪は体を中心に半径1mくらいのサイズだった。それを半径20mに広げるのだから、単純計算では400倍の長さになり、その分コントロールが難しくなる。ロディは目の前が真っ暗になりそうだった。




 翌日もロディは四苦八苦しながら魔力の輪を広げていると、フェイが近づいてきてロディに言った。


「どうやら苦しんでおるようじゃのう。」

「はい・・・。」


 フェイの言葉にロディは疲れた目を向ける。魔力の輪を気につに広げていくのはかなり難しいのだ。

 ロディの様子を見てフェイはあごひげをさすりながら考えていたが、おもむろに口を開いた。


「本当は自分で気づいてもらいたいところじゃが、仕方がない。ワシのやり方を教えてやろう。」

「フェイさんのやり方ですか!・・・俺とは違うのですか?」

「そうじゃ。」


 フェイはロディの目の前に進み出る。


「ロディ。おぬしは魔力の輪を制御するのに、輪を各部分ごとに区分けしてそれぞれを点のように制御しておるのう?」

「はい。」

「それがいかん、とは言わんが、今回の事にはそのやり方は向かんぞ。」

「・・・」

「この索敵用の魔力の制御は、『面』でやるのじゃ。」

「『面』・・・ですか?」

「そうじゃ。」


 フェイは手を前に差し出して、手のひらを下に向けるしぐさをし、そして言った


「この地面と平行に、紙のように薄く制御用の魔力を広げるのじゃ。そしてその魔力の上に、魔力の輪を乗せるような感覚で取り扱うのじゃ。」


 そう言うと前に出した手を横に滑るように動かした。腕が、平らな面の軌跡を描く。


「!そうか」


 ロディはフェイの言わんとすることを瞬間に理解した。

 これまでのロディのやり方では、魔力を制御するための情報が多すぎたのだ。

 一方、フェイのように魔力を1つの面で制御するようにすれば、制御用の情報量は格段に少なくて済む。

 少し考えればわかりそうだったが、輪を作る際に部分ごとの制御で成功していたことから、視野が狭まっていて柔軟な考えを持てなかったのだ。


 ロディはやはりフェイは素晴らしい、と感心する反面、自分を情けなく感じてしまった。


「ん?なんじゃ。わかったようじゃがその割には浮かない顔じゃのぅ。」

「いえ、何でもありません。」


 フェイが優れているのは当然だ。魔法にかけてきた年月が違うのだ。比較する意味もない。それよりせっかくフェイが自分の知識を教えてくれたのだ。情けなく思う暇があるなら練習するべきなのだ。

 ロディは気を取り直して、フェイの教えてくれたやり方で訓練を続けるのだった。


◇◇


 成果はすぐに表れた。

 2日後にはロディは魔力の輪を半径20mに広げることに成功した。


 フェイがロディから20m離れたところに立つ。

 ロディが魔力の輪を広げる。広がった魔力の輪は薄く、細くなりながらも、円を崩すことなく広がっていく。

 やがてその円の一端はフェイにたどり着いた。


「!」


 魔力がフェイにたどり着いた時、ロディにはわかった。自分の魔力が”何か”に触れた、と。


「どうやら分かったようじゃな。」


 フェイはそう言うと、笑顔でロディに近づいてきた。


「はい。輪がフェイさんまでたどり着いたときに『魔力が何かに接触した』と感じました。」

「そうじゃ。おぬしの魔力で物体を感じる。それで周囲に何かがいると知ることができる。これが魔力「索敵」じゃ。」


 魔力索敵は、自身の魔力を周囲に広げることにより、魔力に触れた何かとその場所を感知するのだ。


「まだ広げるのが遅いが、もっと早く広げるようにできれば素早い索敵が可能になる、対象物の動きも感じ取れるじゃろう。」

「はい。」

「さて、索敵の授業はこれで終わりじゃ。基礎は教えた。あとは応用じゃ。」


 フェイの言うには、魔力索敵は際限がないものだという。

 まず索敵スピードを速くするために、魔力の広がる速度を早くする。

 サイズも問題だ。20mは最低限。出来れば魔法の索敵と同じく50mくらいには広げたい。

 また輪が一つでは隙が多く見逃す可能性が高いため、並行して数個の輪を形成したほうが良い。複数を広げていけば隙間が少なくなって見逃しの可能性も低くなる。

 上方への備えも必要だ。垂直方向に輪を形成して上からの敵に対しての索敵を行うことも考えなければならない。


「うへぇ・・・」


 魔力索敵の進むべき方向を教えられて、気が遠くなりそうになるロディだった。


「ま、簡単に出来はせん。何年もかけて地道にやっていくんじゃ。まず速度を速めることからじゃぞ。」

「はい。」


 ということで、フェイによる魔力索敵の『授業』は10日間でひとまず終わりを迎えた。以降はロディの自主練、努力次第ということになる。

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