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78話

アレクはオリオン公都ブレストにいた。


湖の島を領地とするためだ。


「いらない」

「もう無理だ、手続きは終わっている。」

「やり直せ。」

「手続きのやり直しをやってやる、だがそれまではアレクが管理しろよ、いいな。手続きには時間が掛る。」

「どのくらい。」

「今立て込んでるようだな、一年ぐらいか、なあ、ルドルフ。」

「二年かかるかもしれません。」

「・・・・・・・・・・」

「母上とマリア姉とイリア姉に言いつけてやる。」

「無理だぞ、皆の了承済みだ。」

「・・・・・・」



アレク、乾杯、いや完敗である。




そんなある日、エレメルが大勢の女性を引き連れて帰ってきたのだ。

それも、貴族となる人たちとだ。


大魔王軍である。


アレクは、領主執務室に呼び出された。


「父上、母上、いかがしました。僕は押し付けられた領地の事で忙しいんです。」

父、苦笑い。「まあ、そう言うな。」

母、微笑み。


「そのことに関連しているのだが、サリーナ女爵、カリーナ女爵を紹介しよう。」

「ん。」

「この度、サリーナ女爵に湖の街の代官をカリーナ女爵に水の都の代官をすることになった。」

「おおぉ、いいですね。」

アレクは、即決していた。

「サリーナ・メルベンです。女爵に陞爵されました。宜しくお願い致します。」

「カリーナ・メルベンです、同じく女爵に陞爵されました。宜しくお願い致します。」

「アレクス・オリオン伯爵です。これから宜しく。」


「アレク、サリーナとカリーナはとても優秀です。アレクの寄子として扱ってくださいね。サリーナとカリーナもアレクスを寄り親として頑張りなさい。」


「「はい、エレメル公王妃様」」

「はい分かりました。」


「母上、カイン兄の街にも代官が行くんですか。」

「カインの所にも、二人行きますよ。大森林の領地と伯爵領ですね。」

「カイン兄、あそこは脳筋の集まりだから大変だよ。」

「大丈夫ですよ、その辺もきちんと考慮しています。」

「母上のやる事ですから、心配はしていません。」



「しかしローエム王国は大丈夫なんですか。こちらに来たのは50人ですか。」

「心配ないわよ、ローエム王国では、女性の爵位持ちはほとんどいないのよ。」

「えっ、そうなんですか、マリア姉とかイリア姉は女爵ですよね。」

「あれは特別ですよ。魔導士として、そして法律を作った功績として特別な措置だったのよ。」

「そうなんですか、知りませんでした。でも、ローエム王国はこれから大変そうですね。」

「大変になるでしょうね。ほほほほ。」  悪魔の微笑にみえるアレクであった。


そう、ローエム王国は荒れていた。貴族の子たちが50人も他国に移住してしまったのだ。

既婚者はまだいい、未婚者は不味い。貴族の結婚問題である。

貴族家では大変な騒ぎになっている。いくら女性で、平民になる子達でも今は貴族なのだ。

貴族の次男、三男などは、平民になるにしても繋がりをつくるために、貴族同士で結婚をさせたいのだ。

それが、50人近くの貴族女性がいなくなったのだ。

ローエム王国の貴族たちは、女の子供を粗雑に扱ってきたわけではない。寧ろ大事に育てていた。だが、才能があろうが、なかろうが関係ないのだ。ローエム王国では女性の社会進出は難しいのだ、特に貴族はほとんど無理なのだ。


そこにオリオン公国のエレメル公王妃がやってきたのだ。ローエム王国貴族社会をひっくり返す様に嵐を起こしたのだ。ローエム王国に残された、50人以外の女性たちは騒ぎ出していた。

自分たちもやれるのでは、やれるに違いないと皆が声を出したのだ。

ローエム王国は、貴族達と女性が騒ぎ出し、収集がつかなくなっていた。


ローエム王国、公爵邸兼オリオン公国大使館には、来客が途切れることが無くなっていた。

オリオン公国が出来てからは、来客も多く多忙だったが、今回は機能麻痺の状態である。

レオンは、オリオン公国に救援要請をだしていた。レオンは第7騎士団長でもあるため、大使の仕事はメアリーが行っており、来客の対応もほとんどがメアリーが行っている。それがまずかったのだ、女性が大使次官なのだ。事実上のオリオン公国大使なのだから。


レオンは失敗を犯した。


オリオン公国への救援要請だ。応援に来たのが、エレメルとクリスなのだ。


騒ぎを大きくしてしまったのだ。


エレメルとクリスは、ローエム王国の女性たちを勧誘したのだ。

オリオン公国にて、女性たちに仕事をさせる。さらに優秀な者達には貴族になれると宣伝したのである。

これが、エレメル公王妃だけならまだよかった。ローエム王国も他国の事だと言い訳もできた。だがクリスティーナも来ていたのだ。ローエム王国の王族だっだ者が女性進出を訴えたのだ。


ローエム王国とオリオン公国が親戚関係であると宣伝してしまっている。


ローエム王国もオリオン公国を怒るに怒れない、ローエム王国に利益が出るからだ。エレメルはしたたかだ。ローエム王国に対して、貴族の爵位を継げない子供たちに爵位を上げるのだ。ローエム王国との取り決め通りなのだ。


冷や飯食いの男性はいい、だが女性は出ていかれると困る。これがローエム王国の正直な気持ちだろう。爵位を継げない子供(次男、三男等)たちへの救済だったのだ。

オリオン公国とは、いい関係を続けたい。莫大な利益をオリオン公国がローエル王国に与えているからだ。

魔道具に始まり、飛行船、魔通機、魔法の呪文の等々をローエム王国が利益を貰っているのだ。

これが無くなると、国が傾く。傾くだけならまだましだ。貴族、民衆からの暴動でも起きれば国が無くなる。それほどにオリオン公国に依存しているのだ。


それにオリオン公国は、戦に強い。敵には絶対にしてはいけない相手なのだ。



ローエム王国はクリスティーナとエレメルを呼び出した。



「よく来てくれた。エレメル公王妃。」

「陛下もご壮健そうで何よりです。」

「クリスティーナも久しいな。」

「父上もお元気そうで何よりです。」

「まぁ、・・そうみ・・・早速で悪いが、本題に入る、・・・・・・・・・・」


ローエム国王は、今の騒ぎを収めてほしいとエレメルに依頼したのだ。


エレメルはスラスラと対策を述べていった。まるで予想していたかのように。そう予想していたのだ。

以前、家族会議の時にアレクが熱く語っていたことを、エレメルがアレンジして話をしているのだ。


「陛下、陛下はどのような結果をおのぞみですか。」

「余は、このうるさい貴族たちを黙らせたい。」

「では、今騒いでいる、貴族と女性たちの騒ぎを終わらせればよいと。それでよろしいですか。」

「そうよな、それでよい。」


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